通夜女:大山淳子 | 図書館司書の読書日記

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こちらは主に備忘録的読書日記と映画の感想を記しています。
著作権法上、ネタばれしないように書いているので味気ないとは思いますが、こんな本があるのだと興味を持っていただけたら幸いです。


 タイトルからホラーかと思いましたが…。

 引きこもり女性が外へ出ていくお話です。

 内弁慶の主人公。

 弟に対してはいばりんぼでやってこられましたが、就職活動に失敗して引きこもり。

 そのうちに弟が小学校からの恋を実らせて結婚してしまいます。

 未婚の姉24歳ですが、ブラックフォーマルで結婚式に参列。その帰り道に紛れ込んだ赤の他人の通夜で、承認欲求が満たされて、以後他人の通夜に紛れ込むことに執着します。

 同じように他人の通夜に紛れ込んでいる老婆に出会い、その立ち居振る舞いを見習いたいと思う主人公。

 ですがプライドの高い主人公は、自分のことを棚に上げて他人のアラばかり探しています。

 私立のエスカレーター校に中学から通わせてくれて、引きこもっているのにご飯を作ってくれる親がいる自分の方が、社会に揉まれて中卒で働いている人より賢いと思っているような主人公。

 嫌な性格を拗らせている主人公ですが、ある出来事から少しだけマシになっていきます。

 ある意味過去の自分の通夜だと思われました。

 卒業すべきことは学校が終わってもあるのだと感じました。