乙女の密告:赤染晶子 | 図書館司書の読書日記

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こちらは主に備忘録的読書日記と映画の感想を記しています。
著作権法上、ネタばれしないように書いているので味気ないとは思いますが、こんな本があるのだと興味を持っていただけたら幸いです。

 

  なんだかドキドキするタイトルです。


 著者も主人公も外国語大学の学生です。


 主人公は「アンネの日記」に感化されて、ドイツ語を専攻し、ドイツ人のバッハマン教授は変人でスパルタという環境にいます。


 外大は女子学生が多く、バッハマン教授は彼女たちを「乙女の皆さん」と呼びます。


 「乙女」たちは文字通り「乙女」であることを自らに課していて、男性と2人きり(たとえ教授であっても)でいたら、「乙女ではない」と噂が立ち周りから遠巻きにされる存在となってしまいます。


 独特の清らかさは「アンネ」に通じるものがあるのかもしれません。


 彼女たちはつねに「アンネの日記」の一節を暗唱しています。発音も完璧に、時間内に暗唱することに全力を注ぐ彼女たち。


 ひとつのことに専心する清々しさが「乙女」の証なのかもしれません。