そこで、無意識を個人的無意識と普遍的無意識とに分けて考え、
コンプレックスとは個人的無意識の内容であると考えた。
講談社学術文庫 河合隼雄『影の現象学』43ページ
ユングは精神分裂病者の妄想や幻覚を研究しているうちに、
それが夢、未開人の心性、神話、昔話などに現れるイメージと
深い共通点があることに気づいた。
そして、それが生じるときには深い情動体験がともない、
イメージの普遍性が全人類に共通に認められるので、
人間の無意識の層には、人類に共通と思われる普遍的な層が
存在すると考えるにいたった。(43ページ)
河合隼雄は日本を代表する心理学者であり、カール・ユング
研究の第一人者である。惜しくも2007年7月に亡くなった。
文化庁長官を務めた経歴もある。
氏の研究対象であったカール・ユング(1875-1961)はスイスの
精神科医であり後に深層心理を研究対象として分析心理学という
分野を開拓した人である。フロイトの並ぶ心理学者である。
ユングはフロイトが想定した人間の無意識の領域を大きく
二つに分けて分析を試みた。「個人的無意識」と「普遍的無意識」
である。この二つの上に「意識」が存在しているので、人間の
心理の世界は3つの層から構成されることになる。
意識
↑↓
個人的無意識(個人が体験を元に獲得したもの)
↑↓
普遍的無意識(全人類が共通して持っているもの)
上記の引用文の中で河合隼雄が紹介しているユングの考えは、
各地方に伝わる神話や昔話に共通した題材が数多く見られること、
比較的文明の発達していない少数民族や部族では、現在も
多くの迷信や自然信仰が残されていることに注目した。
つまり、「全人類は根っこの部分で同じ意識を共有している」
というのである。
共有しているイメージをユングは「元型」と名付けた。
元型にはいろいろなキャラクターがイメージとして登場してくる。
専門性が高いのでわかりにくいが紹介する。
(私も難しいので理解し切れていない)
・ アニマ
・ アニムス
・ 太母(グレート・マザー)
・ 老賢者
・ 影
・ 英雄
・ 門番
・ 兵士
・ トリックスター(道化師)
・ 永遠の少年と永遠の少女
・ 自我(エゴ)
・ ペルソナ
このようなイメージが夢に数多く登場してくる傾向があるのは、
そもそも、無意識が夢となって現れる過程で、このキャラクター
たちが個人の体験の影響で変形されながら意識されるからだという。
さらに、これらの元型はDNAによって遺伝し子孫に引きつがれていく。
このため、これらの元型は全人類が現時点で共有しているのではなく
時空を超えて歴史的にも共有されているというのである。
私がユングの名前を初めて知ったのは、英国のロックバンド、
ポリスが1983年に発表したアルバム“Synchronicity”による。
ユング心理学にとりつかれたのは1985年6月に出た村上春樹の長編小説、
『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』を読んでからだ。
村上春樹はユングの心理学とも結びつきについて否定的な見解を
持っているようだが、この作品以降の村上作品にはユング心理学の
影響が強いと見ている。
ちなみに同小説にはロックやレゲエ音楽を流すユニークなタクシー
運転手が登場するが、そのシーンでポリスが登場する。これは偶然
ではないはずだ。
河合隼雄の本の紹介のはずが大きく脱線してしまった。
そこで最後に氏の分析で紹介された28歳の女性の夢をもとに書かれた
詩を紹介する。
夢の中の少年
少年は海辺で私を待っていた
波のしぶきの荒々しい岩だらけの海辺で
少年のぬれた手が私の手をしっかりとにぎり
二人ははだしで岩棚を走った
ああ 金色の髪をした小さなお前は誰?
あの血のように赤い水平線の彼方まで
お前は私と共に行こうというのか
(241ページ)
影の現象学 (講談社学術文庫)/河合 隼雄

¥1,050
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今日のBGM Synchronicity II / The Police
シンクロニシティー/ポリス

¥1,980
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コンプレックスとは個人的無意識の内容であると考えた。
講談社学術文庫 河合隼雄『影の現象学』43ページ
ユングは精神分裂病者の妄想や幻覚を研究しているうちに、
それが夢、未開人の心性、神話、昔話などに現れるイメージと
深い共通点があることに気づいた。
そして、それが生じるときには深い情動体験がともない、
イメージの普遍性が全人類に共通に認められるので、
人間の無意識の層には、人類に共通と思われる普遍的な層が
存在すると考えるにいたった。(43ページ)
河合隼雄は日本を代表する心理学者であり、カール・ユング
研究の第一人者である。惜しくも2007年7月に亡くなった。
文化庁長官を務めた経歴もある。
氏の研究対象であったカール・ユング(1875-1961)はスイスの
精神科医であり後に深層心理を研究対象として分析心理学という
分野を開拓した人である。フロイトの並ぶ心理学者である。
ユングはフロイトが想定した人間の無意識の領域を大きく
二つに分けて分析を試みた。「個人的無意識」と「普遍的無意識」
である。この二つの上に「意識」が存在しているので、人間の
心理の世界は3つの層から構成されることになる。
意識
↑↓
個人的無意識(個人が体験を元に獲得したもの)
↑↓
普遍的無意識(全人類が共通して持っているもの)
上記の引用文の中で河合隼雄が紹介しているユングの考えは、
各地方に伝わる神話や昔話に共通した題材が数多く見られること、
比較的文明の発達していない少数民族や部族では、現在も
多くの迷信や自然信仰が残されていることに注目した。
つまり、「全人類は根っこの部分で同じ意識を共有している」
というのである。
共有しているイメージをユングは「元型」と名付けた。
元型にはいろいろなキャラクターがイメージとして登場してくる。
専門性が高いのでわかりにくいが紹介する。
(私も難しいので理解し切れていない)
・ アニマ
・ アニムス
・ 太母(グレート・マザー)
・ 老賢者
・ 影
・ 英雄
・ 門番
・ 兵士
・ トリックスター(道化師)
・ 永遠の少年と永遠の少女
・ 自我(エゴ)
・ ペルソナ
このようなイメージが夢に数多く登場してくる傾向があるのは、
そもそも、無意識が夢となって現れる過程で、このキャラクター
たちが個人の体験の影響で変形されながら意識されるからだという。
さらに、これらの元型はDNAによって遺伝し子孫に引きつがれていく。
このため、これらの元型は全人類が現時点で共有しているのではなく
時空を超えて歴史的にも共有されているというのである。
私がユングの名前を初めて知ったのは、英国のロックバンド、
ポリスが1983年に発表したアルバム“Synchronicity”による。
ユング心理学にとりつかれたのは1985年6月に出た村上春樹の長編小説、
『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』を読んでからだ。
村上春樹はユングの心理学とも結びつきについて否定的な見解を
持っているようだが、この作品以降の村上作品にはユング心理学の
影響が強いと見ている。
ちなみに同小説にはロックやレゲエ音楽を流すユニークなタクシー
運転手が登場するが、そのシーンでポリスが登場する。これは偶然
ではないはずだ。
河合隼雄の本の紹介のはずが大きく脱線してしまった。
そこで最後に氏の分析で紹介された28歳の女性の夢をもとに書かれた
詩を紹介する。
夢の中の少年
少年は海辺で私を待っていた
波のしぶきの荒々しい岩だらけの海辺で
少年のぬれた手が私の手をしっかりとにぎり
二人ははだしで岩棚を走った
ああ 金色の髪をした小さなお前は誰?
あの血のように赤い水平線の彼方まで
お前は私と共に行こうというのか
(241ページ)
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