ストレスチェックは、常時50人以上の労働者を使用する事業場に実施が義務付けられているものです。常時50人未満の事業場については努力義務とされていますが、現在、この規模要件を撤廃し、すべての事業場で義務化する法改正に係る議論が行われています。以下では、ストレスチェックの概要と活用についてとり上げます。
1. ストレスチェックの実施
ストレスチェックを実施する主な目的は、労働者自身のストレスへの気付きを促し、労働者がメンタルヘルス不調となることを未然に防止することにあります。
ストレスチェックは、常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回実施することになっています。義務となっていることは会社に対して、従業員にストレスチェックの受検の機会を与えることであり、実際にストレスチェックを受検するか否かは従業員の判断に委ねられています。
2. ストレスチェック受検後の流れ
ストレスチェックを受検した後、その結果は直接本人に通知され、本人の同意がない限りは会社に提供されることはありません。
ストレスチェック受検後に会社がやるべきことは、高ストレスと評価された労働者から、医師による面接指導の申出があった際に面接指導を実施することです。そして、医師による面接指導を実施した後、会社は必要に応じて就業上の措置を講じる必要があります。
3. ストレスチェックの活用
ストレスチェックには、労働者自身のストレスへの気付きのほかに、検査結果を集団分析し、職場環境の改善につなげることも目的に含まれていることから、厚生労働省も集団分析の実施を推奨しています。
集団分析は、原則10人以上を集計単位とする必要があり、部署の人数が10人を下回る場合は、複数の部署を合算して分析したり、分析を直接部門と間接部門としたりするなど、集計の単位を大きくして集計することが求められます。
集団分析については、会社の総務担当者だけでは結果の解釈が難しいことがあります。このような場合、例えば、外部の機関の産業保健総合支援センター(さんぽセンター)を活用し、メンタルヘルス対策促進員に集団分析結果の解釈等について助言をもらうという方法も考えられます。
ストレスチェックは 2015年12月からスタートし、丸9年が経過しました。ストレスチェックはその必要性を伝えて、できるだけ多くの従業員に受検してもらえるようにしたいものです。そして、必要に応じて集団分析を行うなどして、職場環境の改善につなげていきましょう。