別居の家族に関する健康保険の被扶養者の要件 | 静岡県三島市の社会保険労務士 ひるみ人事サポート 蛭海直隆

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このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とそ の顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

 

<総務部長>

母親を健康保険の被扶養者としている従業員が、一人暮らしをすることになりました。母親とは別居になりますが、健康保険の被扶養者のままにできますか?

<社労士>

従業員の直系尊属や配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹であれば別居であっても被扶養者として認められることになっています。その際、被扶養者となる方が、従業員に生計を維持されている必要があります。

<総務部長>

「生計維持されている」というのは、どのような状態でしょうか。

<社労士>

従業員と被扶養者となる方が同居の場合、原則として収入が従業員の収入の半分未満でなければなりません。別居の場合は、収入が従業員からの仕送り額未満でなければなりません。なお、前提として被扶養者の年収額は、130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、180万円未満)であることが必要です。

<総務部長>

母親の年収を確認したところ、100万円弱の年金収入があるだけとのことでしたので、年収額は問題ありません。さらに、従業員が少なくとも年間100万円の仕送りをする必要があるということですね。

<社労士>

そのとおりです。

<総務部長>

ちなみに従業員と母親が同居から別居へと変更になったことで、年金事務所等への届出は必要になるのでしょうか。

<社労士>

同居から別居へ変更になったことに関する届出は不要です。ただし、被扶養者の要件に該当しなくなったのであれば、被扶養者から削除する届出が必要になります。

<総務部長>

なるほど。今回の場合、仕送り額の確認をする必要がありますね。ちなみに、仕送り額の証明書は必要ですか。

<社労士>

仕送り額の証明書の届出も不要ですが、新たに被扶養者とするときには、預金通帳等の写し(振込の場合)、現金書留の控えの写し(送金の場合)によって仕送り額が確認されることになります。なお、例年10月頃に実施される協会けんぽの被扶養者資格再確認では、今年度、別居の場合には証明書の提出が求められました(被扶養者が学生の場合を除く)。

<総務部長>

いずれにしても仕送りの状況と、仕送り額、そして仕送りの方法を確認しておく必要がありますね。

 

【ワンポイントアドバイス】

1. 直系尊属や配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹であれば別居であっても被扶養者となることができる。

2. 別居の場合には、被扶養者となる人の収入が従業員からの仕送り額未満である必要がある。

3. 仕送り額の証明として、預金通帳等の写しや現金書留の控えの写しが用いられる。