【寄付&辺野古署名の署名と拡散のお願い】
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〈【11月03日改訂】情報などお知らせ〉
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〈【前ページ】からの続き〉
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※以下の引用分中での
太字や色彩、フォント拡張での強調、
〔〕は、引用者によるものです。
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“世界の最も重要なタックスヘイブンは、
多くの人が思っているような
ヤシの木に囲まれたエキゾチックエキゾチックな島々ではなく、
世界の最も強力な国々だ。
守秘法域の著名な支持者であるマーシャル・ランガーは、
この認識と現実のギャップをうまく表現している。
「世界で最も重要なタックスヘイブンは島だと言っても
誰も驚かない。
だが、その島の名はマンハッタンだと言ったら、
人々はビックリする。
さらに言うと、
世界で2番目に重要なタックスヘイブンは島にある。
それはイギリスのロンドンと呼ばれる都市だ」”
(ニコラス・シャクソン【著】/藤井清美【訳】
『タックスヘイヴンの闇』、2012年、朝日新聞出版、P.36)
――――――――――――――――――――――
“2009年11月、
タックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)は、
献身的なチームの2年にわたる作業によって作成された新しい指標を
発表した。
この金融守秘性指標は、
グローバル金融における守秘性の提供に、
その国が どれくらい重要な役割を果たしているか によって、
国をランクづけしたものだ。
ランクづけは、
まず、
守秘性をあらわすいくつかの重要な数値や仕組を検討して、
その法域が
どれくらい守秘的かを判定し、
それから、
その法域が中心的役割を果たしている
国境を超えた金融サービス活動の根拠に応じて、
それぞれの法域に軽重をつける
という方法で行っている。
このようなことは
それまで行われたことがなかったので、
世界中の新分野テレビが
この結果を報道したが、
従来は
世界で最もクリーンとみなされていたいくつかは、
世界で最も透明性の低い国とされた。
金融守秘性指数で
第5位にランクされていたのがイギリスだった。
イギリスは、
オフショアの誕生にダントツで最も重要な歴史的役割を果たし、
イギリス系オフショア・ネットワークの中心ではあるが、
国内の仕組みは比較的透明性が高い。
第3位はスイス、
第4位はケイマン諸島で、
巨大な、だがほとんど注目されていない守秘法域、ルクセンブルクが
第2位を占めていた。
では、いったいどの国が、
2位以下に大差をつけて
世界で最も重要な守秘法域とされていたのだろう。
それは、他ならぬアメリカだった。”
(ニコラス・シャクソン【著】/藤井清美【訳】
『タックスヘイヴンの闇』、2012年、朝日新聞出版、P.210-211)
――――――――――――――――――
“ 初めてリーブルヴィルを訪れるずっと前から、
私は
アフリカから どのように資本が流出しているかに
気づいていたが、
オフショア世界を取り巻く守秘性のために、
そのつながりを追っていくのは不可能だった。
金融機関や弁護士たちは、
個別の事件で表に出ることがあっても、
この後は営業機密や職業上の守秘義務というオフショアの暗闇に
消え去ったものだった。
どのスキャンダルでも、
これらのプレイヤーのきわめて重要な役割は
真剣な調査を免れた。
そして、アフリカの問題は
その文化や支配者のせいだ、石油会社のせいだ、
植民地主義の遺産のせいだ、
といった主張が展開された。
オフショアの守秘性を提供する者たちが
明らかにすべてのドラマの主役だったが、
その商売は
実態を見抜くのがきわめて難しいかったし、
大きな関心を寄せる者もいないようだった。
私にとって、
切れ切れの糸がようやくきちんとつながり始めたのは、
2005年のことだった。
私はそのとき、以前シティコープにいたニューヨークの弁護士、
デイヴィッド・スペンサーと、
西アフリカの産油国の公的資金調査における透明性について
話していた。
スペンサーは
私にはまったく関心のない話題、
すなわち
会計規則や利子所得の課税免除や移転価格について
熱弁をふるっていた。
西アフリカの腐敗の話にいつ移るのだろうといらいらしていた私は、
ついにそのきっかけを作った。
アメリカは
海外から資金を引き寄せるために
税制優遇措置と守秘性を提供することで、
タックスヘイヴンと化している、と。
アメリカ政府は
海外資金の流入を必要としており、
無税扱いと守秘性を提供することで
それを引き寄せている。
これは
アメリカ政府のグローバル戦略にとって不可欠になっていると、
スペンサーは説明した。
この種のインセンティヴの小さな変化に反応して、
大量の金融資本が世界中を駆け巡る。
だが、このことは
理解している人が
ほとんどいないだけでなく、
知りたがっている人も
ほとんどいないと、
スペンサーは言った。
彼は
かつて国連の重要な行事で
この基本原理を説明する講演を行ったが、
講演後にアメリカ代表団の高官から、
この問題に光を当てたら君は
「自分の国を裏切る」ことになると言われたのだそうだ。
ハーバード・クラブのこうした会話から、
私は、
アフリカの貧困と不平等の途方もない人的コストが、
会計規則や課税免除のような一見人間味のない世界と
どのようにつながっているかを理解し始めた。
当然もしくは必然とされているアフリカの不幸には、
一つの共通点がある。
タックスヘイヴンと堅気の銀行家・会計士の集団に助けられて、
資金がアフリカから流出し、
ヨーロッパやアメリカに流入していることだ。
だが、
アフリカの向こうに目をやって、
これを可能にしているシステムを見たいとは、
誰一人思っていなかった。
(ニコラス・シャクソン【著】/藤井清美【訳】
『タックスヘイヴンの闇』、2012年、朝日新聞出版、P.14-15)
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〔オフショア/守秘法域=タックスヘイブンの〕それぞれの法域が、
それぞれ異なるレベルの汚さを黙認している。
テロリストやコロンビアの麻薬密輸組織は、
おそらくジャージーよりパナマを使うだろう。
最も、ジャージーの信託会社は
それでもテロリストや麻薬密輸組織の資金の一部を
受け入れているだろうし、
ジャージーは依然として
不正な活動や違法資金の巨大な受け皿だろう。
バミューダは、
概して租税回避や脱税を目的とするオフショア保険やオフショア再保険を
引き寄せている。
ケイマン諸島は
ヘッジファンドのお気に入りの地で、
ヘッジファンドは
合法的にもしくは不法に課税を逃れたり、
金融規制を回避したりするために
ここを使っている。
ウォール街は長年、
特別目的法人(SPV)をケイマン諸島やデラウェアに置くのを好んできた。
ヨーロッパで人気の場所は
ジャージー、アイルランド、ルクセンブルク、シティで、
いずれも重要な守秘法域だ。
〔オフショアという〕このエコシステムの内部では、
それぞれの法域が
他の法域に後れをとらないよう絶えず競争している。
どこか一カ所が
よそからホットマネーを引き寄せるために
税率を下げたり規制を緩めたり、
新しい秘密保護手段を編み出したりしたら、
他のタックスヘイブンも
競争から脱落しないよう同様の措置をとる。
その一方で、金融業者たちは、
アメリカをはじめとする経済大国の政治家たちに
オフショアという棍棒で脅しをかける。
「課税や規制を厳しくしすぎたら、
われわれはオフショアに行くぞ」と。
オンショアの政治家たちは
怖(お)じ気づいて、
自国の法律や規制を緩和する。
こうした流れによって、
オンショアであるはずの法域が
次第にオフショアの特徴を帯びてきており、
経済規模の大きい国では租税負担が
移動可能な資本や企業から
普通の市民の肩に
移ってきている。
アメリカの企業は
1950年代には
アメリカの所得税総額の約5分の2を負担していたが、
その割合は今では5分の1に低下している。
アメリカの納税者の上位0.1パーセントにとっては、
1960年代には60パーセントだった実効税率が、
所得の増大にもかかわらず
2007年には33パーセントに低下していた。
上位0.1パーセントが
1960年代の税率で所得税を払っていたら、
連邦政府の2007年の税収は
2810億ドル以上増えていただろう。
億万長者のウォーレン・バフェットが
自分の会社について調べたとき、
受付係を含む全社員のなかで
彼の税率が最も低いことが
わかった。
全体を見渡すと、
税金は全般的に下がっているわけではない。
実際に起きているのは、
豊かな人々の払う額が減っており、
他のすべての人が
その減少分を負担しなければならなくなっている、
という変化なのだ。
この大きな変化とグローバル化というより大きな変化に、
ロナルド・レーガンとマーガレット・サッチャーと
経済学者ミルトン・フリードマンが
大きな役割を果たしたことは、
よく知られている。
だが、
守秘性法域が果たした役割には
ほとんど関心が払われてこなかった。
守秘法域は、
豊かな国にも貧し国にも
そこを利用して競争することを強い、
これらの国が望むまいが、
その過程で
これらの国の税制や監督制度や規制を破壊してきた
グローバル化の沈黙の戦士なのだ。”
(ニコラス・シャクソン【著】/藤井清美 【訳】
『タックスヘイブンの闇 ~世界の富は盗まれている!~』
2012年、朝日新聞出版、P.40-41)
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オフショア世界は
富と権力を
貧しい人々から豊かな人々に
移転する市場最大の力
であるにもかかわらず、
その影響は
ほとんど目に見えないという事実を、だ。
フランスの社会学者、ピエール・ブルデューが言ったように、
「最も成功するイデオロギー効果とは
言葉を必要とせず、
共謀的沈黙しか求めないものだ」。
言葉自体が見えない状態を助長する。”
(ニコラス・シャクソン【著】/藤井清美 【訳】
『タックスヘイブンの闇 ~世界の富は盗まれている!~』
2012年、朝日新聞出版、P.47)
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【前ページ】では、
ウォール街などの都合や利害から、
ブレトンウッズ体制の《制度的綻び》が、
その体制の創設過程の時点で、
ロビイスト活動などにより作られた側面などを
見ました。
このページ以降は、字数制限の都合上から、
2つ、3つに分かれる格好で、
アメリカをはじめ先進国の財務省の官僚が
現に反対し、懸念していた、
ブレトンウッズ体制を‟崩壊”させる
《オフショア・システム》を、
(一部の高官が消極的に容認するだけでなく、)
ブレトンウッズ体制の
その〈覇権国であるアメリカ合州国連邦〉が、
なぜ“或る時期”から、
自らの国家戦略として採用するようになったのか?
を見ていきます。
拙ブログの〈このシリーズ(AI&監視&テクノロジー&メガFTA&資本)〉における過去記事で、
〈☆【《新》19-⑫】《ペトロダラー戦争》と《資源の呪い》〉
〈☆【17-④】「USドル」を❝支える汎用資源❞としての《石油》 ~監視-AI-メガFTA-資本~〉
〈☆【17-③】《国際基軸通貨》としての「USドル」 ~監視-AI-メガFTA-資本~〉
《米ドルが国際基軸通貨》であるからこその
〈米ドル〉と〈石油〉と〈戦争〉との繋がりの側面を、
ウィリアム・R・クラーク【著】/高沢洋志【訳】
『ペトロダラー戦争』(作品社、2013年)や
西谷文和【著】
『報道されなかったイラク戦争』(せせらぎ出版、2007年)
『戦場からの告発~アメリカがイラクにこだわる5つの理由~』
(せせらぎ出版、2008年)
を通じて垣間見たことがありましたが、
以降2、3つほどの、このページでは、
《オフショア》の側面やテーマを通しての、
《基軸通貨USドル(をもつアメリカ合州国が
見せた動き)》を、以下に御覧いただきます。
ちなみに、過去記事でも引用した文章と重複するものもありますが、
この文脈での引用という格好で、再度引用します。
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“ ジョン・メイナード・ケインズの伝記作家のなかでも
最も有名なロバート・スキデルスキーは、
この偉大なイギリス人経済学者の3巻からなる伝記のアメリカ版に、
妙に自己防衛的な序文をつけた。
スキデルスキーは
「イギリスの帝国主義的保守主義者の異様で邪悪な一派」の影響下にある
という、
著名なアメリカ人経済学者、
ブラッドフォード・デロングの批判に反論したのである。
【The CIA's analysis of a countervailling view in R. Bruce Craig
‘Treasonable Doubt:
The Harry Dexter Spy Case,
Intelligence in Recent Public Literature by R.Bruce Craig,
University of Kansas Press,2004,Reviewed by James C.Van Hook,
www.cia.gov .】
イギリスにとって第二次世界大戦は事実上、
2つの戦争だったと、スキデルスキーは主張した。
1つは、
ウィンストン・チャーチルの指揮のもとで
イギリスがナチス・ドイツと戦った戦争、
もう1つは、
西洋連合という表の顔の裏で、
ジョン・メイナード・ケインズ率いるイギリス帝国が
アメリカに立ち向かった戦争だ、と。
枢軸国を打ち破った後のアメリカの主な戦争目的は、
イギリス帝国を破壊することだったと、
彼〔スキデルスキー〕は主張した
「チャーチルは
イギリスとその帝国を
ナチス・ドイツから守るために戦った。
ケインズは
アメリカに対抗できる大国としてのイギリスを守るために戦った。
イギリスは
ドイツとの戦争には勝ったが、
その勝利を得る過程で莫大な資源を費やしたため、
帝国も
大国としての地位を失うことを運命づけられた。」
【Rovert Skidelsky,
John meynard Keynes:Fighting for Britain,1937-1946,
Macmillan,2002,pxv.】
この反論はかなり複雑だ。
それは1つには、
1944年のブレトンウッズ会議で
ケインズの主な交渉相手だった
アメリカのハリー・デクスター・ホワイトが、
ほぼ間違いなくソ連に情報を流していたと思われるためでもある。
だが、
2つの大国が
金融分野での優位をめぐって
ひそかに巨大な戦いを繰り広げていたことは、
スキデルスキーの記述から明白だ。
経済で競争していた2つの大国が
ようやく解決策を編み出したのは、
戦後ずいぶん時間が経ってからのことだった。
次の章で述べるように、
それは
現代のオフショア・システムを
構築することによって
〔米英間の対立の解消が〕達成された。
本章では、
その前に存在していたもの、
すなわち
ケインズが設計に尽力し、
諸国の緊密な協力と国境を越えた資本移動に対する激しい規制を
ともなう国際システムを見ていく。
このシステムは、
ある意味で、
今日の細分化された自由放任のオフショア・システムとは
正反対のものだった。
そして、
多くの問題点にもかかわらず、
驚異的な成功を収めたのだ。”
(ニコラス・シャクソン【著】/藤井清美【訳】
『タックスヘイヴンの闇』、2012年、朝日新聞出版、
P.94-95)
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‟ タックスヘイブンの利用に
徹底的に反対していたアメリカ政府は、
時とともに考えを変えて、
「やっつけられないなら参加しよう」
といういいかげんな姿勢をとるようになった。
アメリカの金融業者たちは
1960年代から、
国内の規制や課税を逃れるために
群れをなしてオフショアに
――最初はロンドンのユーロ市場に、
それからイギリスのクモの巣やさらにその先へ――
出ていくようになった。
このオフショアという選択肢は、
ウォール街が
アメリカの厳しい金融規制を回避し、
自身の力とアメリカの政治システムに対する影響力を
徐々に取り戻し、
その後、
主として1980年代から、アメリカ自身を、
見方によっては
世界で最も重要なタックスヘイブンと言えるものに
変貌させる助けになった。”
(ニコラス・シャクソン【著】/藤井清美【訳】
『タックスヘイヴンの闇』、2012年、朝日新聞出版、P.32-33)
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“ 世界には
2500本以上の条約がある。
これは
グローバル貿易・投資体制の、
広範囲にわたるが、
ほとんど認識されていない相棒だ。
この分野の規則やモデルや基準は
2つの国際機関が定めている。
豊かな国々のクラブであるOECD(経済協力開発機構)と、
貧しい国々が より大きな発言権を持っている国連だ。
驚くには当たらないが、
OECDのほうが優位に立っている。
貧しい国々を犠牲にして豊かな国に有利なように
土俵を傾ける
OECDの租税条約モデルを勝利させるために、
OECDは精力的に活動している。
また、
競争相手の国連を間接的に攻撃することにも
精を出している。
元ジャージーのアドバイザーで、
現在は透明性を高める運動を推進している
ジョン・クリステンセンは、
2009年にジュネーブで開かれた国連の租税に関する会議で、
イギリス代表が
リヒテンシュタイン代表と示し合わせて
議事を妨害したときのことを
振り返る。
「彼は話をさえぎり続けた。
それは途上国が
自分たちの利益を
より多く資源を与えることに対する全面的攻撃だった。
その会議では、
国連租税委員会に
より多くの資源を与えることについて
話合われていたんだからね。
彼は
とにかくしゃべり続けた。
議長が
『われわれに話をさせてください』と、
二度も注意をしなけらばならなかった。
出席者たちは
彼に本当に怒っていた。
彼が
イギリスとアメリカの利益を守るために進行を邪魔していることは、
われわれみんなの目に明白だった」”
(ニコラス・シャンクソンニコラス・シャクソン【著】/藤井清美【訳】
『タックスヘイヴンの闇』、2012年、朝日新聞出版、P.236)
―――――――――――――――――――――――――
〈【次のページ】に続く〉