【12-④】《現代テクノロジーと効率主義による貧困と死角》【~監視社会=AI=メガFTA=資本~ |   「生きる権利、生きる自由、いのち」が危ない!

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徳冨蘆花「謀叛論」を再発見してたら、
「ソクラテスの弁明」が、なぜ好きなのか、最近になって納得し始めた今日この頃です。


ジェリー・マンダー
科学技術を礼賛する人々は、
科学技術のおかげで
私たちの生活水準が上がったという。
移動が速くなり、選択の幅が広がり、
余暇が増え、贅沢ができるようになった。
しかし、それによって
人間の満足感、幸福、安全、あるいは生命力
向上したかどうか別問題だ。”

―――――――――――――――――

短期間で利潤を上げる必要に迫られた大会社は、
ダウンサイジングで人員と部門を縮小するようになった。
だが、これによって大会社の力が弱まったわけではない。
彼ら〔大会社〕が
吸収合併や戦略的提携で市場や技術を独占したため、
下請業者や地域住民の間で競争が激化し、
低価格・低賃金に甘んじてでも
仕事をとらざるを得なくなった。
市場原理主義の圧力によって
身体や社会や環境や精神の健康よりも
会社の利益を優先
社会と環境破壊する科学技術への依存
ますます強まっている


 ビジネスや市場そのものが悪いのではなく、
もはや人間にはコントロールできないまでに肥大した
グローバルな経済システム問題
なのだ。
この経済システムとにかく強大で、
しかも本末転倒な性格を持つため
今はどれほど責任感と熱意にあふれる会社経営でも
公益を考えた経営を行なうこと難しい

 儲けを至上命題とするシステムにとって
人間効率原因でしかないため、
あらゆるレベルの人員削減されている
第一次産業革命で
肉体労働の必要性が低下したように、
情報化革命
人間の目や耳や脳
不要なものにしようとしている

第一次産業革命で大量に発生した失業者は、
植民地へ移民したり、
辺境へ開拓民として移住することで吸収された

植民地にされた国の人々は、
伝統的な社会を頼りに
何とか生活することができた

物理的フロンティアほぼなくなり
市場原理の侵略地域社会崩壊した今
かつてのような安全弁残っていない
つまり、今失業すれば
餓死するか、
暴力事件で命を落とすか、
ホームレスになって物乞いするか、
生活保護にすがるか、
難民キャンプに転がり込むしかない

このままだと、
いずれ社会自然環境取り返しのつかない状態に陥るのは
目に見えている

 しかし、金の亡者奪われた力を取り戻し、
文化的・生物的な多様性を重んじる新しい社会を
作り出すこと
不可能ではない。”

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“わたしが経済学に出会ったのは、
学部時代の専攻で経済学を選んだからである。
しかし、
その機械的で退屈で現実離れした内容に嫌気がさし、
人間行動学と組織論に専攻を変更した
それらを学んでわかったのは、
現代社会における人間行動
経済システムによって規定されるため

経済システム行動システムとしてとらえる必要がある
ということだった。”
(デビッド・コーテン/西川 潤 ほか(訳)
『グローバル経済という怪物』)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
2014/06/26 IUCN/TFSFによるメディアと政策決定者のための「浸透性農薬世界総合評価書(WIA)」研究成果発表会

菅原文太氏のスペシャルゲストあいさつ


〔手話付き〕樋口陽一氏 スピーチ
[平和といのちと人権を!5・3憲法集会
~戦争・原発・貧困・差別を許さない~]
2015.5.3 @横浜みなとみらい・臨港パーク



前ページでは、

見田宗介氏による
貨幣への疎外=GNPへの疎外
=市場社会への疎外
》について取り出しました。

私は、この見田氏の指摘を、
或る種の《根源的独占だと位置づけて認識しています。

この《根源的独占》状況であっても、
生活できるのならばいいではないか
と思うかもしれませんが、
市場社会自体無理が来はじめていて
奨学金ローン》だの
いのちの市場化(医療・水など)》など
そこに暮らす人々の生活や生存にまで
市場経済の見えざる触手伸びて来て》て、
楽観視できない状況なってきています

また、仮に
〈この《根源的独占状況生きて行ける
としても、
ここ1世紀間くらいのデータから成る
いま現在の閾だけ想定しての
資本主義催促される形
科学技術が増改築してきた人工殻
》は、
地震活動期に突入してきた
日本列島の自然災害
》には、
耐えられない”と、
ボクは思っています。

具体的どう‟耐えられない”のか
見てみたいと思います。

『現代思想』 (2015年3月臨時増刊号)
総特集 宇沢弘文 ~人間のための経済~
の中に
宮本憲一氏×西谷修氏
〈「公害」の時代を生きて〉

という対談企画が掲載されており、
その中の、
〈イリイチとの関わり〉
という項目に、
今回の一連記事の文脈にとって
非常に興味ぶかい発言内容が
形成されています。



”(宮本氏)
“イリイチは、メキシコの地震があった直後に
我々の公害研究委員会にぜひ会いたいという要望があったので
お招きしました。
帰国寸前で、質疑には45分位しか時間がなかったですが、
彼はどうしても一つだけ意見が聞きたいと言う。
都留〔重人〕さんや宇沢さん、私も会場にいました。
それで、イリイチが何を言ったかというと、
日本なぜ溜め込みの便所やめたのか、ということでした(笑)。
何で下水道にしてしまったのかその理由を聞きたいというのですね。
我々のほうは意外な質問でどきっとしたのです。
下水道一つの近代化の象徴なわけですからね。

 イリイチが言うには、
メキシコの地震のとき一番困ったのは、
地震下水道やられてしまって
伝染病大変流行ったこと
そうです。
むしろ、郊外にあった貧困者の住宅
屎尿〔しにょう〕溜め込み便所その地域無事であった、と。
完全循環方式から言うと
溜め込んだ屎尿を肥料にするという
日本の江戸期以来の都市と農村を共生する方式理想的

その理想何で簡単にやめてしまったのか聞きたい
と言われました。
それで困ってしまってね(笑)
確かに、そう言われれば、
地震でもし下水道破壊されたら大変です。
それは確かに阪神淡路大震災の時に経験したのですね。
下水道駄目になったところ雪隠詰めになって
どうしようもなかった
しかし今では
都市では溜め込み方式の便所の中身を
持って行って処理して肥料にする方式

ほとんどなくなってしまっています

 これは確かに考えさせられる質問でした。
下水道つくる公共事業の補助金がでる
生活基盤の社会資本では最も大きな補助金です
それを獲得すれば政治家には大きな功績になる
そうすると
全然必要のない農村部下水道作られるようになる

しかし、農村部などの広い土地で
点々と住宅があるところ下水道をつくるには
ものすごくお金がかかり
下水道つくったこと
農村部の上流の水汚れるような問題も出てきた

今は技術が発達して、
それほど河川が汚れるとは言われないけれど、
とはいえ、
もっと簡単な簡易浄化槽もあるわけですね。

 農村部地方財政の赤字の大きな原因
下水道会計なのです。
例えば、沖縄の離島なんかでも
赤字になっている最大の原因は下水道です。
そういう意味では、
確かに完全循環方式合うようなもっと別な方式
近代化のなか編み出さなけらばいけない

イリイチの言う通り、
画一的になぜ国土の隅々まで下水道をつくる必要あったのか
ということです。
確かにこれまでの溜め込み式便所
臭くて非衛生的だったという問題はある
のですが、
それは今ではかなり簡単に技術的に解決できるのです。

 私は長野県の山荘をつくったときに
溜め込み式でやっていたのですが、
全然臭くなく水をほとんど使わない衛生的な方式ができています。
屎尿を二年くらい溜め込んだら処理に来てくれるのですね。
それで結構うまくいく
それなのに、
農村部で膨大な投資と、毎日大量の水とエネルギーを使って
長いパイプと下水処理場をつくるのは
イリイチの言う通り
近代の技術画一的補助金制度持っている欠陥であるところがあると思います。”
(『現代思想 2015年3月臨時増刊号』P.125-126)

個人的に、この上記の引用文には、
様々なテーマが含まれていて
内容が濃くて気に入っているのですが、
上記の引用文では、

・〈(下水道という)近現代テクノロジー〉、

・〈相応しくない場所にも、
画一的に近代技術補助金制度当てて
膨大なカネ大量の水やエネルギー使っている

・〈補助金権益

・(屎尿溜め込み便所のような)
貨幣への疎外の枠組み》から
外れつつ生活的必要を満たす
(=プラグを抜きつつ、必要を満たす
完全循環方式


など多くの事柄が含まれていますが、
前回記事につづく今回記事の要諦は、
地震に見舞われたときに、
近代テクノロジーの象徴である下水道》が
想定外に破壊され使用できず
想定していなかった被害と事態とに遭遇した
》ことについてです。


効率性合理性の論理
構築され、運営されてきた
近現代テクノロジー・システム〉は、
311東北大地震・津波による
原子炉配管の損傷」や
津波による電源喪失」を
想定入れていない原子炉モデル
のように、
地震など自然災害》によって、
その絶対(的安全)性を「剥ぎ取られ」、
その当たり前さ/自明性を「剥ぎ取られ」、
その絶対から「相対化」された

のではないでしょうか?


関良基『自由貿易解体新書』での
《社会主義による森林破壊》、
《資本主義による森林破壊》よろしく、
地震のような想定外の事態》のときに
オルタナティヴセーフティーネット〉が
市場的淘汰や効率化によってであれ、
補助金行政によってであれ、
毛沢東時代の大躍進政策のようなものによってであっても、《残っていない》のだとしたら、
徴発性》に‟急かされる
現代テクノロジー》のおかげで
平時の都市的生活の中での
私たちの生活水準
上がっていても
安全生存力向上してる」とは
言えず、別問題》だと思いつつ、
この“ブログ”記事を書いています。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

いま、この一連での記事では、
現代テクノロジーによる/に囲まれた

根源的独占》状況においては、
《地震などの自然災害》に見舞われた時の
《供給システム自体の麻痺》
による
‟想定外”の国内難民化》への不安について
記事を書いているのですが、
この《現代テクノロジー》問題
および《根源的独占》問題を“抜きにして”、
《地震や災害》への対策や準備について
政治で大々的に議論されたのは、
高樹が見聞きしてきた限りにおいては、

☆(2012年時の公約は、
時代の変転が激しくて憶えていないのですが、)
少なくとも2014年東京都知事選に於いての
宇都宮健児さん陣営の公約」(18頁~20頁)と

☆2015年の大阪‟都構想”での
「学者の方々による指摘や反論」と
反「大阪都構想」研究者が会見 防災、経済政策取り組み不足
『大阪都構想』の危険性を明らかにする学者記者会見

ーです。

――・――・――・――・――・――・――

いま一つ更にフワフワした話になり
恐縮しますが、
話を本旨に戻しますと、
次の最初の話は、
事例としてではなく、
喩えとして御読み頂きたいのですが、
もう10年前の映画になりますが、
ダイハード4』という映画が公開されました。

交通インフラ、通信インフラ、電力インフラ、
水道インフラなど全米のあらゆるインフラの
コンピュータ監視システム
が、
ハッキングされる事態が起こり、
首都ワシントンが麻痺するのです。

マットというハッカーの青年を
主人公の刑事のマクレーンが
ワシントンDCに連行する途中で、
ハッキングによる
信号システムの混乱からくる
ワシントンDCの交通の渋滞・麻痺とを
目の当たりにして、
怪訝に思ったマットは、
交通システムだけでなく、
インフラ・システムの混乱による
異常な事態を知り
マットは、
“これは、ファイアー・セールだ”
と言います。

コンピュータで管理されているライフラインの全て》が
テロリスト組織によって、
サイバー攻撃を受けて
コントロール下に置かれる
》ことで
ライフライン≒社会が人質になる、という話なのです。

これは、フィクションの映画だから、
楽しんで観ていられるのですが、
映画『スノーデン』や
巨大な権力とカネを操るNSA司令官の謎めいた実像──米国の諜報活動を牛耳る“皇帝”」という記事をみると、
フィクションではなく、
現実に行われた事実だった
と知らされるのでした
――しかも〈イランの原発施設〉に
サイバーテロ攻撃を行って破壊したのは
アメリカ国家》!――。

そんな中、つぎのような記事があります。

☞八山幸司「米国における電力インフラとITをめぐる動向

(「ニューヨークだより」2016年6月)
この報告には、次のような記述があります。

「電力インフラは、安定した電力供給のために様々な取り組みが進められてきたが、効率的な電力の使用や多様化する電源の統合を目指してITの導入加速している。これまで、消費者の需要に応じて電力を送る形であった電力インフラだが、インターネットやスマート機器の普及によって電力需要の細かい制御が可能となり、電力網の信頼性向上のためにビッグデータや人工知能が使われ始めている。」


都会圏の人びとを騙すために、
東京電力は《計画停電に巻き込んで》
「原発が無いと、
電気をまともに供給できないよ洗脳キャンペーン」
――エアコンに当たれず、
高齢者の方の死者を出してまで行われたんですよね――
が展開されましたよね。

ところが、その後、
原発が無くても電力は足りることが判明しました
――しかも、原発が停まっても、
その電力供給分を確保する」ために、
遊び分の火力発電所を確保しておくこと〉
ちゃんと法律で定められていたのですよね――。
(2011年3月11日以降の何年間か、
〈ウヨ系の人ら〉は
〈ウヨ系の御意見番役ら〉の扇動を
そのまま鵜呑みにして、
原発が稼働‟しなければ、
電力供給が制限されてきて、
日本の循環経済に悪影響を及ぼす

というコメントを信じ込んで、
オウム返しに反論してきたものです
――この種の言説は、
朝鮮戦争特需の時に、
戦争特需はあっても、
当時の日本には、
戦争特需に応えられるだけの
生産技術水準も、
生産現場に電力を供給するだけの
電力供給力も無かったから、
日本政府が、
電源開発に力を入れた頃の話

そのまま現在に
当て嵌めた話ではないだろうか?――。
(斎藤貴男『東京電力研究』P.116-120参考)

しかし、
原発事故による原発停止に対する
火力発電による代替フォロー
〉は、
それでもまだ、
電力発電の手段選択肢の代替
である訳ですが、
しかし、もう一方の
地震》や《ファイアーセール》に見られる現象は、
供給システム/伝導システム自体の麻痺
流通システム自体の麻痺
》です。


「コンヴィヴィアリティ」についての譬えで、

仮に、コーラ市場やソフトドリンク市場を
コカコーラが独占したり席捲する事があっても
のどの渇きを、
コーラで癒そうが、コーヒーで癒そうが、
お茶で癒そうが、水で癒そうが、
いくつも選択肢があれば
それは根源的独占とは言わない
といった喩えがありましたよね。

のどが渇いた時に、
選択の余地なく直結的に
コーラで渇きを癒すしかない状態になっている》場合、
そこには《根源的独占》が成立している、と。

原発事故をうけて、
〈原発での電力供給〉という選択肢が
無くなった場合の、
それをカヴァーする選択肢として、
〈さらに火力発電での電力供給〉を
選び、切り替えることができた」訳ですが、
供給システム/伝導システム自体の麻痺
流通システム自体の麻痺》の場合は、
〈原発を停止させ、火力発電でカヴァーする〉
という訳には行きません》。

エネルギーを獲得する手段として、
エネルギーを得る「知識技術技能
ノウハウ」も、
自分たちの手元無く、依存的》で
選択しなく直結的かつ必然的に
仮に、火力発電(という産業)からの供給
頼るしかない状況》も、
根源的独占と言えますが、
――ぜんぶ自給自足すべき、とか
言っているのではなりません――。
今回記事の文脈での場合
《供給システム自体や物流システム自体、
伝導システム自体が、
そのシステムを構成する素材や資源も、
その素材や資源を調達することができる場所も、
その仕組みやノウハウも、
自分たちの手元に無く、
《大規模な自然災害》や《ファイアーセール》に
‟見舞われた時になって初めて”
社会的運用システムに対する
《無力を痛感するしか無く
国内難民化してしまう状況》も、
《現代テクノロジーによる
(市場淘汰/コスト格差の結果の)
社会システムに対する根源的独占》
と言えるのではないでしょうか。

何度も言いますように、
その《現代テクノロジー》は、
ハイデガーによれば、
徴発性(の論理)》に支配されている、と。

高樹が思うに、
その徴発性は、
徴発であるが故に、
効率的に徴発した》ほうが、
より多く徴発できるワケですが、
市場淘汰コスト競争》や《開発》や
新自由主義政策》によって、
自分たちの身近な場で調達でき
自分たちの手元に置いておく事ができる
ほかの選択肢/オルタナティヴ
〉を、
非常事態時に手元に無く失っていることこそ
成長戦略に浮かされて
アタマにお花畑が咲き誇っている
安全保障感覚の欠落した平和ボケ
》だと言えると思います。

そして、ちなみに、
この《在り方の根源的独占による貧困》は
宮本憲一氏が指摘したほうの「現代的貧困」と、
或る点で、共通するところがあります。

というのは、
この種の在り方の根源的独占による貧困》には、
その社会システムに住む住民の貧富の差関係なく
おそらく《ほぼ全員が貧困》だからです。
――でも、この社会では、おカネは大事ですので、
拒みません――

【12-⑤】につづく