二宮厚美 氏「『憲法』体制を”掘り崩す”<地域主権>と<新しい公共>」 |   「生きる権利、生きる自由、いのち」が危ない!

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徳冨蘆花「謀叛論」を再発見してたら、
「ソクラテスの弁明」が、なぜ好きなのか、最近になって納得し始めた今日この頃です。

国民主権」や「住民主権」という事柄や言葉は、
理解・成立できても、
地域主権
敢えて忖度(そんたく)すれば、
地域に主権がある状態と解釈できる言葉は、
デタラメである
二宮厚美神戸大学名誉教授(財政学・福祉国家論)は
『月刊クレスコ』2011年1月号で指摘しています。


民主党政権のときに打ち出された
地域主権改革・戦略という所の
地域主権”についての、
地域主権」についての定義
民主党の文献何処にも見当たらない
が、
それでも努めて、
その謂わんとするところを推し量ると、
その「地域主権」とは、
立法権にまで踏み込んだ分権化”を
意味するのではないか、と言います。

これまでに進められてきた
従来の「地方分権化」というものは、
”<行政>の「業務の分権」”や”
<中央>と<地方>との間の「財源配分の分権」”を
中心にしていたものであったのが、
民主党政権になるとさらに進展していて
”「国の立法権に属する権限」までも
地方に移譲することから、
権限の移譲の分
地方自治体の条例制定権」が拡大される
性格が加わっている、と指摘しています。

中央集権省庁>に対する
庶民の反感追い風にして
民主党政権が、「主権」という紛らわしい言葉を、
わざわざ利用して国民の支持を集めつつ
進めようとしていたことは、
別の研究者による指摘によれば、
新自由主義型地方分権改革」だと言います。
(後述)

なぜ、そうした仕組みが、
新自由主義型地方分権改革」と言えるのか、
今回と次回とに分けて、見ていきたいと思います。


地域主権戦略」で、

まず進めようとされていた事は、
教育保育福祉などの分野における
自治体行政」に対するの「義務づけ」や「枠づけ」の”廃止・緩和”であった、
と二宮厚美 名誉教授は指摘します。

国からの義務づけというのは、
”たとえば、
保育園や学校を施設したり運営するのに、
自治体に守らせる基準」を「国が設定する」こと
を言うようです。

また国からの枠づけ」というのは、
たとえば学校の場合、
学校クラス定員の「」を「国が設定する」こと
などを言うようです。

>から<自治体>への
義務づけ」や「枠づけ」が”廃止”されれば

保育所や学校の施設・運営のための
基準・ルール」などを
今度は<自治体>が決定できるようになります

この事から、
保育・教育に対する
自治体>の「条例制定権拡大されることが、
わかります。

一見すると、
”<自治体>の「自主性」や「自由」が
もたらされるのだから、好いことじゃないか”
と思ってしまいますが、
じつは、その帰結結末は、
オイシイ話ではなくコワいものであるのが
地域主権」改革の正体で、
すくなくとも、
”<自治体>に対する
>からの「義務づけ」や「枠づけ」が
廃止される”という事は

が設ける義務」や「」など
国の基準」に基づいて教育保育を、
地方自治体>に運営してもらう代わりに
責任を持って
その保育教育財政を請け負う責任」から
義務・枠廃止により
>が解放される”ことをも、
同時に意味するのでした。


以下に、
『月刊クレスコ』の記事を引用します。


自治体にたいする国の義務付け・枠付けが廃止される
国の側は、国基準に基づく保育や教育のための財政責任から
免れる
ことになる
たとえば、保育所における保育士の配置基準や学校クラス定員、
教師の配置基準にたいする自治体の義務を廃止してしまえば、

それらの基準に基づいて負担しなしなければならない財政責任

(保育士や教師の人件費にたいする国庫負担義務)
から解放されることになるわけである。
(中略)
 国が
保育所や学校に保育士や教師の最低限の配置義務を課しているのは
最低限の基準を満たす保育所や学校には、
逆に国が財政負担の義務を負うがためにほかならない。
自治体から見れば
国が設定した最低限の義務果たせば
同時に、保育所や学校の運営にたいする
国の財政責任を問うことができるのである。
 この国の財政責任を果たすための財源
国庫負担金」と呼ばれるものである。
保育・教育にたいする国庫負担金とは、
保育所や学校の運営にたいする義務付けセットになった
国の義務的負担金である、といってよい。
自治体に義務を課す見返りの国庫負担金は、
当然、使いみちが特定されたものになるから、
使途の特定された国庫補助
いわゆる ひも付き補助金になる。

 これを逆にいうと、
自治体にたいする義務づけ・枠付け廃止される
義務付けや枠付けセットになっていた国庫負担金
無用のものになる
ひも付き補助金が、使いみち自由な一般財源
すなわち一括交付金変貌するわけである。

(引用者中略)

 以上のことをまとめると、
地域主権戦略」は
国の義務付け枠付け廃止国庫負担金一括交付金化
という動きをつくりだす
これ自治体から見れば、国の義務付けないから
自治体が保育所や学校を自由に運営できる
自治体に入るからの財源
ひもの付かない一般財源だから自由に使えるということになって、
自治体条例によって決めることができる立法範囲拡大する
ここから、
国の義務付け枠付け廃止国庫負担金一括交付金化
自治体条例制定権拡大」というコースが生まれる

 これが地域主権戦略概要である。”


以上に見てきた分を読むかぎりでは、
この地域主権」改革の深刻さは、
想像できにくいでしょう。

しかし、(前)石原慎太郎 都政が、
『戦後憲法』が保障しているはずの
教育介護生活保護など、
最低限度の社会保障などに使うべき財源
――盲導犬関連の予算までも――を、
非情にも削減して、築地市場移転をふくめて、
大企業などのインフラ整備
大企業のための事業
独裁裁量的”に回した都政13年間も
念頭におきつつ、

地域主権のおかげで
一括交付金」と化して「一般財源として
地方自治体広域自治体>が
自由に使えるようになる」ということは
どういう意味でもあるのか
次回記事で、見ていきたいと思います。


キーワードは、<日本経団連>や
その前会長の御手洗冨士夫 キャノン会長が
唱える「選択集中」という考え方です。


(つづく)

参考記事

石原都政の実態についてのまとめ
○ 4月6日(土)「宇都宮健児・井戸川克隆 未来を語る」/(前)石原都政の「まとめ評価」 
(渡辺治氏の講演動画)

1990年代以降の「財界の思考回路」について
○ 「<麻生政権バッシング>と<鳩山政権バッシング>との背景の違い」考
○ 
「生きる権利・生きる自由・いのち」が危ない!~危機意識の温度差(火宅の有権者)問題~

「道州制/地方分権/地域主権戦略」について
○ 二宮厚美氏「アベノミクスとは何か-安倍政権の経済政策批判」/岡田知弘氏「安倍政権の地域支配戦略」
○ 
「岡田知弘 教授講演 3.11後の地域主権改革・道州制をめぐる情熱と対抗軸」 ○ 「道州制」は「究極の構造改革!?」(自民/民主/公明//維新/みんな/減税日本/国民生活が第一)




―――――――――――――――――――――――――
「宇都宮健児・井戸川克隆 未来を語る」
日本弁護士連合会前会長と福島県双葉町前町長との対談 
日時:4月6日(土) 18:30開場  19:00開演
会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール

(渋谷駅から徒歩5分)    
地図 http://www.shibu-cul.jp/access.html
参加費:チケット前売り700円、当日800円
対談:宇都宮健児(前日本弁護士連合会会長)、
井戸川克隆(前福島県双葉町長)
司会:マエキタミヤコ

主催:市民グループ「私が東京を変える」    http://watashiga.org/ 

協賛:『週刊金曜日』 『えこ&ぴーすActio』 
賛同団体:「平和への結集」をめざす市民の風
地域から未来をつくる・ひがし広場
世田谷から未来をつくる会
山口あずさと原発ゼロにする会
地球の子ども新聞アジェンダ・プロジェクト
電気代一時不払いプロジェクト
アジア太平洋資料センター(PARC)
プロジェクト99%
地球を清める会
都政わいわい勉強会
 賛同
個人:西村 トシ子(もんじゅ・西村裁判の元原告)

予約方法①3月上旬チケット販売開始 前売り700円(当日800円)
②電子チケットPeaTixで前売り販売中! 
(下記で購入できます) http://peatix.com/event/10669
③メールでの予約受付 20130406@watashiga.org

※詳細は「私が東京を変える」ホームページ http://watashiga.org/ 
会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール(渋谷区桜丘町23-21)
※ホールには駐車場がございません。
公共交通機関をご利用ください。

アクセス1 
渋谷駅から徒歩5分地図
http://www.shibu-cul.jp/access.html
アクセス2 
大和田シャトル(ハチ公口-文化総合センター大和田)
直行バスハチ公バス(夕やけこやけルート)
コミュニティバス

※どちらもバス停「渋谷駅ハチ公口」から乗車、
次のバス停 「文化総合センター大和田」下車

山口代表の訴え
「福島を風化させてはいけない」という宇都宮健児氏、
「多くの人に聞いてほしい」と願う井戸川克隆氏の対談が実現! 
聞くということ。
忍耐強く耳を傾けるということ。
宇都宮健児氏のこれまでの活動は実に忍耐強く「聞く」ことから始まった。
真実の声を聞き逃さない、そして権力に立ち向かう姿は、
わたしたちにとって
「真のやさしさに裏打ちされた強さ」を感じさせてくれる。
現代社会においてこれほど頼りになる人物を
他に思い浮かべることができない。 
「風がどちらに吹いているか」… 福島第一原発が危ないと聞いたとき、
井戸川克隆町長は風を読んだ。
「町民を被曝させてはならない」その一念で県外への避難を決めた。
強い意志が町民を放射能から守った。
そして井戸川克隆氏の闘いは始まった。
このお二人の対談は、私たちの未来に一筋の光をもたらしてくれる。
そんな予感がする。
市民グループ「私が東京を変える」代表 山口あずさ

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ジュネーブ市長 レミー・パガーニから、
前双葉町長 井戸川克隆への書簡
http://rollienne.jp/?p=340 

井戸川克隆様
 ジュネーブ 2013年2月13日
拝啓 昨年のジュネーブご訪問に改めて感謝申し上げます。
Palais Eynard(市庁舎)に井戸川さんをお迎えでき、大変光栄に存じます。
2011年3月に発生した原発事故後、
日本国民の皆さんが直面している問題の理解がより深まりました。
1月23日に双葉町長を辞職されたと伺いました。
苦渋の決断だったとお察しいたします。
井戸川さんは福島県の首長の中でただ一人住民を県外に避難させ、
原発事故の深刻な状況に対し無策、無責任な態度を取る政府、
東電を公然と糾弾されてきました。
放射能被害から町民の皆さんを守るために、
あらゆる措置を講じられてきました。
辞職されたことは残念に思います。
昨年10月にお会いした際、
チェルノブイリと日本の避難基準を比較した表を見せて下さいましたね。
日本政府が、直ちに健康への影響はないとの見解から、
年間の放射線許容量を20mSvまで引き上げたと知り驚きました。
ご存知の通り、ICRPは
一般公衆の年間被曝許容限度を1mSvと勧告しているほか
(原発作業員の被曝許容限度は年間20mSv)、
子供は大人よりも放射能に対する感受性がより高いことは
周知の事実です。
また、放射能が及ぼす健康被害についても幅広く論文化されており、
最近ではニューヨーク・サイエンス・アカデミーが
2009年に発行した研究書に詳細が述べられています
(脚注にあるA.ヤブロコフ博士、A.ネステレンコ、V.ネステレンコ著の「チェルノブイリ:事故が人々と環境に与えた影響」が該当する研究書です)。
そして、多くの独立した研究者が数十年来の研究結果から、
被爆に安全なレベルはないと唱えています
(ICRPも閾値なし直線仮説を認めています)。
ICRPが勧告した年間被曝許容限度の引き上げ正当化の立証責任は、
日本政府にあります。
しかし、そんなことを実証できるのでしょうか。
実際には、これ(1mSv)以下の低線量被爆による健康被害が
認められていることから、許容限度などは意味を持たないのです。
政府に福島県民の皆さんがモルモットにされている事態は
許しがたいです。
事実、政府は
IAEAとWHOの協力のもとに、福島県民の健康実態のデータを
集めようとしています。
これは人権侵害であり、即刻阻止されなければなりません。
井戸川さんは、今後も政府当局による非人道的な扱いから
市民の皆さんを守るために戦っていかれると伺いました。
もっと多くの人々が共闘することを望みます。
人々が高濃度汚染地域での生活を強いられていることは
到底受け入れられません。
政府と福島県が、
双葉町の皆さんを致死的なレベルに汚染された地域に帰還させよう
と画策していることは狂気の沙汰としか言いようがありません。
また、福島県の約40%の子供達に甲状腺の異常が認められたことは
由々しき事態です。
福島県外でも、甲状腺異常の発生率が増加していると伺いました。
このような非常事態の中、医療関係者は真実を隠蔽し、
被曝の影響を否定しています。
お会いした時にも井戸川さんが強調なさっていた通り、
日本人はチェルノブイリから学ばなければなりません。
福島の状況は、住民の皆さんの健康被害の発生頻度を見る限り、
チェルノブイリよりも更に深刻に思えます。
ご存知かと存じますが、
チェルノブイリ周辺で甲状腺ガンの発生率は
1990年代に入ってから増加し始めました。
双葉町では約300人の住民の皆さんが、
福島第一原発の第1号機爆発により発生した高濃度の放射能の灰を
浴びたと仰っ ていましたね。
にもかかわらず、政府や医療関係者は、被害者の皆さんに対して
健康調査を実施しなかったとのこと。
会合の際お約束しましたが、ジュネーブ市は、
医療関係者やIndependentWHOなどをはじめとする団体と協同して、
適切な健康調査が実施されるよう、最大限サポートしていく所存です。
他に何か協力できることがありましたら、遠慮なく仰って下さい。
今後益々のご活躍をお祈りするとともに、
正義を勝ち取るための戦いに
多くの皆さんが団結することを望んでやみません。
くれぐれも健康に留意され、
またジュネーブでお目にかかれることを楽しみにしております。                                          敬具ジュネーブ市長レミー・パガーニ