学費を支払うために…
銀行にお金を引き出しに行った…
銀行は…かなり苦手だから…
精一杯…派手な服を着て…向かう…
決して…スーツなんか着ていかないの…
緊張しながら…銀行の扉を開け…
整理券を受け取り…
イスに座っていると…
以前…ウチの担当だった…男性行員が…
僕を見つけて…出てきてくれたので…
少し…雑談をした…
番号が呼ばれたので…
預金払戻請求書と通帳を…
窓口の女性行員に…渡す…
ほどなく…
「ひるまさーん」と呼ばれる…
嫌な予感…とても嫌な予感…
今度は…僕が…目を逸らした…
翌週…
事務所に…その銀行の営業さんが…集金にやってきた…
「ひるまさーん…先週…来行されたんですね…」
「…あ…ごめん…またやっちゃった…」
「…言ってましたよ…本人確認を断られちゃったって…」
「ごめん…ごめん…その女性にも…申し訳ありませんでした…と伝えておいて…」
「大丈夫っす…ひるまさんは…そういうひとだから…って言っておきました…」
「…そうなんだ…ありがとう…」
「ひるまさんは…本人確認をわざと断って…楽しんでるんだ…って言っておきましたよw」
「…た…楽しんでる!そんなことないよ!こっちは小心者だから…ビクビクして…」
「いやいや…断ったらどうなるのか…楽しんでますって!プレイでしょ!」
「………」
若いのに…なかなか…鋭い観察眼を持っている営業さんだな…
もう少し…いろいろ話をしたくなった…
「…ねぇ…あなた…お酒飲むの?」
「もちろん!記憶がなくなって…玄関で寝てた…なんて…しょっちゅうです…」
「へぇ…そんなふうに…見えなかったよ…」
「…お酒は…なんでもいけます!」
「…僕がアルバイトしてる居酒屋一緒に行く?」
「!!アルバイトしてるんですか!是非是非!行きたいっす!」
「オッケー明日はどう?何時にあがれるの?」
彼に安い酒をごちそうして…
銀行のルールに従わなかったことを…
なんとなく…自分の中で…うやむやにした…