「ひるまさ〜ん…今日飲みにいきましょうよ！」
「え…今日…何曜日だっけ？」
「木曜日…」
「あっバイトだ！シフト入ってる…」
「ぶふっ！シフト…って…高校生じゃないんだから〜」
電話で…メールで…
シフト…なんていう言葉を…使うと…
みんなに…笑われる…
考えてみれば…
定職を持ち…家族を持ち…家を持つ…
ごく普通の…社会人とばかり…仕事をしてきた…
彼らにとって…シフトという言葉は…
はるか昔…高校生以来…聞くことのなかった言葉…
色がどうした…写真がどうした…デザインがどうした…
納期がどうした…ギャラがどうした…と…
喧喧諤諤やりあったあとに…
シフト…なんていう懐かしい言葉を…僕が使うものだから…
ずっこける…らしい…
もちろん…僕だって…
40年以上…口にしたことのなかった…言葉…
だから…いま…口にできることが…嬉しいの…
まだ…社会に出る前の…
働く意味を…何も知らない…高校生に…
僕だけ戻れたようで…
「ごめ〜ん…今日…シフト入ってるから…またね！」
なんて…ちょっと得意げに…
話してしまうのです…
人生…100年の時代…
ひとつの仕事だけに…
ひとつの会社だけに…
しがみついている時代ではない…と思うの…
数年もしないうちに…
老若男女…
誰も彼もが…
シフト…シフト…と…
口にするだろう…