「…あと…2年…お願いできないかな?」
大学4年の息子が…
真面目な顔をして…僕に言った…
「…大学院に…進学したいんだ…」
「…も…もちろんだとも!…学費のことは心配しなくていいぞ…」
僕の…息子が…
理系の修士を目指すとは…
かなり…驚きだった…
なんだか…
確実な人生を…歩んでいるなぁ…
いいな…いいな…
眩しいな…羨ましいな…
ピカピカの未来に…
嫉妬すら覚える…
仕事がなくなった…この数年…
息子と娘がいたから…なんとか…生きていることができた…
子供たちに…心配をかけてはいけない…
無職になって…オロオロする姿を…見せてはいけない…
悲しませてはいけない…不幸にしてはいけない…
ただ…その想いだけが…僕を動かし続けた…
疲れ果て…自信喪失の…憔悴の夜も…
打ちひしがれて…明日が見えない…絶望の夜も…
子供たちに「おかえり…」と声をかけてもらっただけで…
涙を止め…顔をあげることができた…
でも…
それは…いいことなのだろうか…
酒だ…女だ…酒だ…酒だ…男だ…
旅だ…音楽だ…文学だ…
仕事だ…仕事だ…仕事だ!
家族なんて…二の次…三の次で…
誰にも縛られず…どこにもひれ伏さず…
感じるまま…思うまま…なにかを掴みたくて…
新宿で…ずっと踏ん張っているのに…
子供たちに…命を捧げる人生にしちゃって…いいのかよ?
この1年半…
結局…何者にもなれない…負け犬人生であることが…
残酷に…炙り出されてしまったから…
僕は…生きなければならない意味を…
子供たちの成長を見守る…ということに…
すり替えてしまったのかもしれない…
それは…ダメでしょ…