家 族 | 新宿 鼠通り

新宿 鼠通り

逃れよ…強壮な風の吹くところへ…







10日ほど前…



アメリカに住んでいる姉が…帰国して…



いま…



我が家に…滞在している…



姉とは…



20年ほど前に…関係を…断絶したままだから…



できれば…



顔を合わせたくない…



会話をしたくない…



もちろん…一緒に食事などしたくないから…




僕は…



毎晩…0時過ぎに帰宅し…



朝は…誰よりも早く家を出る…



外泊も増える…



いつまで滞在するのか…知らないけれど…



いっそう…仕事とお酒に…逃げている…



情けないでしょ…イカンでしょ…



ダサいでしょ…みっともないでしょ…



ダメ人間でしょ…弱すぎるでしょ…



わかってるけれど…



どうすりゃいいの?



家族って言葉は…



どんなときも…神のように…絶対…



長い断絶を…乗り越え…愛を信じ…



困難に立ち向かう勇気を…持たなければならない…



他人であれば…嫌なことは…しなくていいのに…



家族であれば…それは…赦されない…



画一的なシアワセのカタチに…邁進する努力を…強制される…



その暴力性が…幼い頃から…ずっと嫌だった…



家族という言葉を使えば…どんなことでも…美しく輝いてしまう…



その盲目的な普遍性が…とても嫌だった…



屁理屈や…詭弁ってわけじゃないの…



僕は…わからない…ほんとうにわからないの…



家族って…なによりも大切…なのですか…









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電 話










衝突を…畏れているから…




近づきたくない…




この歳で…また…ぶつかってしまったら…




もう…生涯…修復は…不可能だろう…




そして…僕は…




家族というものを…ずっと考え続け…




死んでゆくしかないだろう…