「あんた…仕事…してんのか?」
連休最終日の…午前8時…
新宿中央公園で…チャリンコに乗ったおじさんに…声をかけられた…
「…最近…よく声をかけられます…ひとが…足りないんですか?」
「ん…ああ…オレは…手配師なんだ…」
「…すみませんが…僕…仕事…あります…」
それから…しばらく…手配師と…お話をしてみた…
求人条件は…
60歳以下…日本人の男性であること…
風呂に入っていること…
会話ができること…
精神異常者ではないこと…
1ヶ月の寮生活ができること…
日当は…1万円だが…いろいろ引かれて…手取り5~6千円ほど…
未経験者でもできる…簡単な作業…とのことだが…
劣悪な装具で…放射能の除去でもやらされるのか…
でも…声をかけられて…
ちょっと…ほっとした…
たとえ…孤立…しても…
身体さえ…丈夫であれば…
たったひとり…生きてゆく道もある…
なによりも…
ひとと喋ったのが…久しぶりだったから…
ほっこり…
温かくなった…
「…仕事を探しているように…見えたんですか?」
この数ヶ月…ここで…声をかけられたのは…3度目…
僕は…よっぽど…無職に見えるのだろう…
「ん…スーツ姿はダメ…犬連れもダメ…急いでるヤツ…携帯いじってるヤツもダメ…」
「なるほど…みんな職がありそうなひとたちですね…」
「声をかけるのは…私服で…荷物が多いヤツだ…」
「…僕は…少ないけど…」
「…わかってるよ…ダメ元で…声をかけた…」
「荷物が多いって…宿無しってことでしょ…」
「ああ…寮生活が条件…ただ…ひどいタコ部屋で…いざこざも…すぐ起きるぞ…」
「……」
換気扇の音がちょっとうるさいくらいで…
お店に…怒鳴り込んでしまうような…僕が…
やさぐれた男たちと…共同生活なんて…できるだろうか…
「仕事があってよぅ…寝る場所があってよ…金もらえるんだから…
文句ねぇだろ…ありがてぇだろ…」
「はい…その通りだと思います…」
急に…
事務所に行って…仕事をしたくなった…
いま…いまを…丁寧に…
僕が…僕を…手配しなくっちゃ…