研究員の晴れ舞台 | 子どもヤマビル研究会

子どもヤマビル研究会

2011年から市内の小中生とともにヤマビルの生態研究をしています。「ヒルは木から落ちてこない」の著者です。



どんよりした天気だが、研究員たちは、三泗教育科学研究発表会に集まってきた。午後1時に受け付け、私も15分頃に到着しました。

緊張してご機嫌斜めな研究員、いつもの笑顔が全く消えている研究員。余裕をかましている研究員と、それぞれです。

今日は、小学生しか出られないので、3人の発表となりました。

ヒル研のトップバッターは、Y研究員です。


 


パソコン操作を、高校生ボランティアに頼んで、「ヤマビルの飼い方調べ」の発表でした。

ヤマビル研究会のたびに、山にヒルを採りに行くには大変なので、何とか飼えないかと始めた研究です。

ビンに入れていると死んでしまうので、大きなビンに変えたり、いろいろ試行錯誤して、ビンの口にマスクを当てて空気の出入りをよくしたら生きるようになった。

というような内容でした。必要は発明の母、というような研究内容で、そのプロセスもよくわかりました。

一見単純な研究のように見えますが、ヒルの生態をよく調べてその特徴をつかみ、それを飼育という手段で具体化していくというプロセスは、大事な科学の手法です。分かりやすくまとめてありました。

いつもと違って、とても真剣に聞いてほしいという気持ちを込めて発表できました。よかったです。


次は、O研究員です。


 


「ヤマビルを解剖しておなかのなかを見てみたら2016」という、タイトルからして、みんなを驚かせるような中身です。

去年のヒル研の解剖は、背中側を切り開いていて、中身がよくわからなかった。一番目立つていたピンク色の袋は心臓ではなかったので、なんだろうということから今年の解剖は始まりました。手術と同じように
腹の側から切り開いたら、チスイビルの解剖図とそっくりで、ピンクの袋は膣だった。睾丸も見つけた。でも、消化管は・・・・、というように、調べていった研究です。まさに解剖学の手法です。

講評の時も、質の高い研究です。このまま続けていつてください、というコメントでした。

とても緊張して、自分の原稿に入り込んでしまって、皆の方を向く余裕もなかったようです。でも、素晴らしい発表でした。


最後は、Y研究員です。


 


「ヒルは何を食べて生きているの」という問いかけのテーマです。

生きた動物の血しか吸わないと言われているヤマビルも、その棲息数からして動物に出会う確率は低く、生き血以外のものを食べてないと食料は足りないのではないかという疑問から、とりあえず、生きている動物から一度出た血を吸わせてみたら、吸った。それで他のものからでもと、肉汁や牛乳、豚のレバーなどから吸血するか調べたら、牛乳以外は全部吸った。

たまたま、色の黒いヒルを手でもんでいたら、口からドロをはきだした。偶然の発見から、腐葉土がえさになってないのか、という問題ができた。来年この続きをします。

という内容です。

この研究は、講評の先生も言っておられたが、当たり前と思っていることから、疑問を持ち追及していくところに科学の素晴らしさがあるという評価でした。私も、同じことを思います。これって、とても質の高い研究テーマで、この先どんどんいろいろなことが解明されていくものだと期待しています。

本当に来年が待てないくらい、私は楽しみにしているものです。


ということで、小学生研究員の発表は終わりました。

昨年発表会の講評で、ヒルもいいけどもっと人間が困っているゴキブリの研究でもしたら、とあしらわれて不愉快な思いをした研究員たち。今年はそのリベンジという意気込みで出掛けていました。先生たちも、高く評価してくれて、とりあえず溜飲は収まったでしょう。

よかった、よく頑張った。これからも、続けよう。


この研究に興味関心を強くもち、来年は自分もやってみようという小中学生。年明けに募集をしますので、ぜひ参加してください。待っています。