作・演出・振付/謝 珠栄
令和4年11月27日 KAAT 神奈川芸術劇場 3階B1列センター上手側B席
公演解説と実際に上演された作品とでは、微妙~かなりの変更を感じることが多い...
のは、本が書きあがる前に、こういったレジメを出すから、あるいは、舞台化の中で種々変更されていくことも多いからなのかな...
[解説]
植民地が次々と独立し、隆盛を極めたスペイン帝国が終焉を迎えた20世紀初頭のマドリード。国の将来を憂える男達が集う酒場 Camino(道)に、仲間たちからロレンシオと呼ばれる男の姿があった。かつて死に直面しながらも命を取り留めた過去を持つ彼は、生きる意味を求め彷徨う中、この街へと辿りついたのだった。ある夜、何者かに襲われたロレンシオが連行されたのは、軍の大佐でもあるアルバレス侯爵の館。侯爵と瓜二つの顔を持つロレンシオは偽の身分証を所持していたことで脅され、替え玉となるよう迫られる。ELPIDIOというペンネームで新聞に詩を投稿していた彼は、それを続けることを条件に替え玉となることを受け入れるが、侯爵の妻パトリシアに偽物と見破られてしまう。侯爵と離婚協議中であったパトリシアは福祉活動に従事しており、同じ思想を抱くロレンシオと次第に惹かれ合い、二人は恋に落ちていく。侯爵家の人々に見守られながら様々な事柄に向き合ううち、ロレンシオはようやく自らの使命を見出していき…。
弱者に寄り添うELPIDIOの詩に触発された人々が“希望”を胸に行動を始める中、この世に蔓延する嘘の在り方に対峙する偽侯爵ロレンシオは、スペインが抱える問題を如何に解決していくのか。そして、彼の本当の名に込められた意味を見出すことが出来るのか。
なるほど、当初はこういったコンセプトで作品が構想されていたってことですね。この作品では、大きな変更はなかったようですが...
○ 開幕アナウンスで
作・演出・振付/謝 珠栄
と聞いて、結構期待値が高まりました。前作の
『眩曜の谷』
では、「斬新かつ骨太な主題」を見事に描き切っていて
「次作を楽しみ」
にしていましたから。きっと「ダンスシーン」から入るのだろうな...って思っていると
S1 プロローグ
予想以上に
「インパクト」
のあるダンスシーン...まあ、踊り切れていない感のある方もいたような気もするけど...とはいえ、舞台から
「はるか遠い」
席なので、しっかりと見れなかったのかもしれないし...って、そういえば、3階席の最前列だったのですが、どうしても
「手すりのバー」
が舞台にかぶってしまう...とはいえ、この高さがないと落っこちそうだし...2列目以後だったらよかったのに...って思いました(笑)。
○ The...
ところで、主役は別にして、カーテンコールで最も拍手が多かったのは
① 輝月 ゆうま(95期・研14 「ゆうま」「ぽん」) ゴメス 芝居 ☆☆☆☆☆ / 歌唱 ☆☆☆☆
「まゆぽん」
でした。まあ、そりゃそうでしょう。彼女が出るだけで、舞台の
「レベルが一段階上がる」
感が半端ないですものね。素晴らしい芝居...主役を立てつつ、脇で抜群の存在感...。まさに
「The 専科」
って感じでした。↑には
「超上級生+ここ数年で組長から異動」
といった面々もいらっしゃいますが、専科の中で、現在、実力的に
「一つ抜けている」
感じですね。長くその舞台姿を見ていたいけれど...どうなんでしょう...。
○ THE NEXT?
まあ、まゆぽんについては、ある意味
「予想通り」
って感じともいえるわけですが、こちらは、やや予想外だったかな...。
② きよら 羽龍(104期・5番・研5 「おはね」 新公ヒロイン2回 バウヒロイン1回) ベニータ 芝居 ☆☆☆
一応、主役には少し絡むものの...
「娘役二番手」
...とは言い難い役どころ。どちらかというと
「コミカルな役どころ」
で、芝居自体は悪くないけれど...
「次期候補」
がこなす役どころとも言い難い感じ...。最初の新公ヒロインの時にも感じましたが、ある意味、非常に
「独特の声質」
ですよね。大勢の中でも、「一声」聞くだけで、すぐにその存在が分かる
「非常に響きが強い美声」
で、「歌い手としては傑出」した存在になり得ると思うけれど、芝居、特に
「ヒロイン適性」
的にはどうなんだろう...って感じというか...。そして、これって、元花組の
「くりすちゃん」
に感じていたことと似ている気がしますね。
○ ○伸ばし?
さて、プロローグに続いて
S2 Camino(道という名の酒場)
酒場シーンとなります。酒場シーンは、ここだけではなく
S6, S8, S12-2, S14, S17
と、多分
「一番多いシーン」
でした。まず、このS2で、今まで宝塚の楽曲では聞いたことのない
「地域社会」
っていう歌詞が連呼される楽曲が歌われるのですが、それに象徴されるように、これらのの酒場のシーンでは、登場人物それぞれの故郷
「アンダルシア」「カスティーリャ」「カタルーニャ」「バスク」「バレンシア」 (だったかな?)
のお国自慢ネタが展開されます。多くの同様のシーンがあって、そういった部分に
「かなりの尺」
をとっているので、こういった要素が、この作品の
「メインテーマ」
の一つになってくるのかと思いきや...主役の物語とは、ほぼ
「無縁」
なんですよね...。月組らしい
「芸達者ぶり」
は、十分に楽しめましたが、2つ、3つならともかく、
「計6シーン」
もあって、メインテーマと無関係のお話が延々と続くのって...こういった作品構成は、あまり良いものとは思えませんでした (メインストーリーを十分に膨らませられず、こういったシーンで尺を伸ばした感がなきにしもあらずかな...)。。
● 作品評 ☆☆
元月組生「まゆぽん」を筆頭に、「からんちゃん」「れんこん君」「やす君」「あみ君 (元雪組だけど、月組に合ってそうな芸風)」等々、月組公演らしい
「芸」
は十分に楽しめましたが、作品全体としての完成度は
「今一つ」
でしょう...。謝先生、次は
「雪組新トップコンビお披露目」+「初舞台公演」
ですね。気合入りそうなシチュエーションですので、きっと良い作品に仕上げてくることでしょう。謝先生の
「The NEXT」
を楽しみにしています。
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