作・演出/上田 久美子
作曲・編曲/青木朝子,高橋恵 指揮/佐々田愛一郎 振付/若央りさ,麻咲梨乃 擬闘/栗原直樹 装置/新宮有希 衣装監修/任田幾英 衣装/薄井香菜 照明/勝柴次朗 音響/実吉英一 小道具/下農直幸 演技指導/立ともみ 所作指導/花柳寿楽 歌唱指導/ちあきしん 演出助手/熊倉飛鳥 舞台進行/安達祥恵 制作/真加部隼 制作補/西尾雅彦
令和3年7月31日 午後3時30分公演 東京宝塚劇場 1階16列上手側S席
2回目の観劇 (新公を含めれば3回目) で、残念ながら「My楽」でした。この舞台の「物語」に触発されたのか、
「南北朝の歴史」
が気になってしまい、昨日は、手元にあった『後醍醐天皇』という新書を読み、その他、ネットで数冊、注文してしまいました。届くころに、熱が冷めてないといいのですが...(って、もう1冊届きました。流石○マゾン (笑))。
[解説]
南北朝の動乱期。京を失い吉野の山中へ逃れた南朝の行く末には滅亡しかないことを知りながら、父の遺志を継ぎ、弟・正時、正儀と力を合わせ戦いに明け暮れる日々を送る楠木正行(まさつら)。度重なる争乱で縁者を失い、復讐だけを心の支えとしてきた後村上天皇の侍女・弁内侍。生きる希望を持たぬ二人が、桜花咲き乱れる春の吉野で束の間の恋を得、生きる喜びを知る。愛する人の為、初めて自らが生きる為の戦いへと臨む正行を待つものは…。
「太平記」や「吉野拾遺」などに伝承の残る南朝の武将・楠木正行の、儚くも鮮烈な命の軌跡を、一閃の光のような弁内侍との恋と共に描く。
正直なところ、この舞台を見るまでは
「楠木三兄弟」
については、全く知りませんでしたが、その他は、見知った名前も多く、「史実」との差異とかが、どうしても気になってしまうんですよね。この作品のストーリーは、所謂
「太平記史観」
と呼ばれるものを元にしているように思われますが、最近では
「後醍醐=無能」「師直=悪党」「尊氏=源氏の後継者」
といった考え方は、改められてきているようです。
○ ○作の世界へ
さて、上田先生は、4年前、2017年に
ミュージカル・プレイ『神々の土地〜ロマノフたちの黄昏〜』
という
「傑作」
を作り上げたものの、その後は、2019年の
Once upon a time in Takarazuka『霧深きエルベのほとり』
という、やや、
「何で、今この作品?」
的な再演もの (ところで、この「Once upon a time」って、続くのかな?)...は、まあともかく、3年ぶりの「待望の新作」が、2020年
『FLYING SAPA -フライング サパ-』
だったわけですが...ちょっと
「ぶっ飛び過ぎ (?)」
ていて、ほぼ「了○不能」の、まあ何というか
「怪作 (?)」
とでも呼ぶべき作品でした。続いての、2021年
ミュージカル・シンフォニア『f f f -フォルティッシッシモ- ~歓喜に歌え!~』
についても、ストーリーに、あまりに
「観念的」
な要素が多く、『FLYING SAPA』ほどではないにしても、相当に分かりにくい (というか、単純な理解は出来ない) 物語であったことは否めないと思います。ということで、わたし的には、ウエクミ先生、ひょっとして
「迷走中?」
という気がしていましたが、この作品は、前2作と、全く違っていました。基本的には、
「4年前」
の「傑作の世界」に戻ってきた...って感じでしょうか?
○ The Best
私の初観劇は
「新人公演」
であり、当然ながら、全体的に、本公演よりも「薄味」な舞台であった訳ですが、それでも、初めて、このシーンを見た時の衝撃は忘れえません...。
第15場B 出陣式 音楽/青木朝子,振付/若央りさ ☆☆☆☆☆☆
ある意味、あまりの素晴らしさに茫然自失...
「魂を持っていかれそう」
な体験といっても過言ではないかも...(いや、ちょっと過言か (笑))。1シーンで、これほどの衝撃を受けたのは、『神々の大地』の
「近衛騎兵任官式」
以来だったでしょう。このシーンを見るだけでも、十分に観劇の価値がある...けど、勿論、ここだけじゃないですから...。
○ ならでは?
とはいえ、正直、第8場までは、宝塚舞台の
「正統的 (非現実的/理想論的?)」
...というか、やや「ありがち」な物語展開、人物設定という印象もあったのですが (注:「師直」を除く (笑))...
第9場 吉野行宮 前庭 ☆☆☆☆☆
での、
「現実世界に過去が侵入」
する場面の迫力に圧倒され、以後は、物語世界に、見事に
「飲み込まれて」
しまいました。↑の第「15場B」もそうですが、こういった「現実を超えた」かのような
「衝撃 Impact」
は、他の先生の作品では、なかなか、体験できないものですね...。そして、作品全体、全ての場面における
「シーン転換の巧みさ」
も特筆すべきものでしょうし、その最良の例こそ「第15場B」と言えるでしょう。そういったところにも、上田先生の
「卓越したセンス/技術力/構成力」
が現れているように思います。
○ 正統的?
さて、前2作とは違って、
「主役/ヒロイン」
の関係性も、きちんと
「宝塚的」
でしたね。それだけでなく「3番目/次期娘1」の関係性も同様でした。そして、その他にも
「兄弟」「親子」「主従」「友情」
など、様々な
「愛の形」
が、しっかりと描かれていて、それによっても (前2作とは異なり)、しっかりと
「観る者の心」
を動かしてくれたように思います。
● 作品評 ☆☆☆☆☆
『神々の大地』のように
「一部の隙もない」
とまでは言えないように思いますが、これは、やはり、オリジナルの中では
「最良の作品」
の一つと言わざるを得ないでしょう。
「前2作は、何だったのかな?」
と思わないわけではありませんが、今回のような作品ならば
「いつでも書ける」
が故に、色々と試行錯誤したくなるのかもしれませんね...。しかしながら、
「舞台興行」
というものは、いつの時代も
「多額の投資」
を要するものです。それ故に
「作家の描きたいもの>>>観客の嗜好」
となってはいけないと思います。
さて、このペース (?) だと、次回作は
「ゆりかちゃんの○団公演」
でしょうか?(笑) まあ、いずれにしろ、わたしにとっては、(もう一人の「うえだ先生」と同様に)
「次回作が待ち遠しい」
存在に、
”COME BACK”
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