潤色/演出: 小池修一郎
平成30年6月21日 新歌舞伎座 午後17時公演 1階17列上手側S席
○ 演出変更なし?
東京公演は勿論、二年前の宝塚以外初演 (?) からも、演出の変更は、特になかったかな? 細部の変更はありそうにも思うのですが...よく思い出せません(笑)。
ソレーヌたちのパン屋襲撃~ダントンの胸で泣き崩れるあたりとか、ソレーヌが躊躇いながら、革命家の列に加わるところとか、今回ようやく気づいた点は、幾つかあるのですが、単に気づいてなかっただけの可能性も大なので...。
今回の大阪で、もう一つ気づいたのは、ネッケルが辞任してはけていくシーン。舞台奥に立ち去る前に
「ヘッ! 馬鹿な貴族どもめ」
といった表情と仕草をしていること。かなり強烈な印象があったので、以前にはなかった演出かなと思います。
〇 宝塚には決してないもの
外部μは、あまり見ていないのですが、それでも、宝塚では決して見れないものが、歴然ではありました。
① 岡幸二郎(50) ラザール・ペイロール 歌唱 ☆☆☆☆☆ / 芝居 ☆☆☆☆☆
② 上原理生(31) ジョルジュ・ジャック・ダントン 歌唱 ☆☆☆☆☆ / 芝居 ☆☆☆☆☆
見れないというか聞けないというか、本物の男性の
「バリトン~バスの歌声」
音の低さは勿論、その音量もまた、「男役さん」には望みえないものですね。ヅカファン的には
「こんな発声をして、どーしてノドを痛めないの?」
とか、つい考えてしまいますが、勿論、全然大丈夫(笑)。しかも伯爵は50歳ですものね...。その、あまりに凄まじい発声に、何か
「ゾクゾク」
するようなカタルシスを感じます。でも、これは、ミュージカル的な発声なのでしょう。オペラ界では、ああいった発声は聞いたことがありません。
それに対して、上原君の歌声には
「上質のオペラ・バリトン・ヴォイス」
を思い起こさせるところがあって、何か
「懐かしい...」
感じがしました。
〇 こちらも
音域が近くても、響きが全然違いますね
③ 渡辺大輔(35) カミーユ・デムーラン 歌唱 ☆☆☆☆ / 芝居 ☆☆☆☆
④ 広瀬友祐(32) ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン 歌唱 ☆☆☆ / 芝居 ☆☆☆☆☆
こちらも2年前と同じキャストですが、渡辺君は、歌がとてもよくなったように思います。特に、宝塚版とは楽曲が異なりますが、木の葉を掲げての
「武器をとれ」
テノールの美声がよく響いて、聴きごたえのあるとても良いシーンになっていました。この声の響きも、宝塚ではなかなか聞けないものですね。まあ、「だいもん」の
「カポネ」
とかも凄かったですけど...。
そして、何といっても、広瀬君...
「本物のフェルゼン...」
じゃなくて、
「ベルばらのフェルゼン」
の実写版かと思いました(笑)。彫が深く、日本人離れしたギリシャ彫刻のような顔貌、そして身長も高く、しかも逞しい体型。「まさおさん」が小さく見えて...お二人には
「ベストカップル賞」
を差し上げたいと思います(笑)。ちなみに、本物よりも明らかに「イケメン」のようです。歌もかなりイケてました。そういえば
⑤ 三浦涼介(31) マクシミリアン・ロベスピエール 歌唱 ☆☆ / 芝居 ☆☆☆☆
オーズ...じゃなくて、三浦君。東京よりも、歌声の響きがよくなっていました。ただし、↑の4人、本職のミュージカル男優との差も歴然でした。声量、声域の広さだけではなく、声質の部分
「声のハリ、耀き」
といったものが、全然違うんですよね。そこは、前回書いた「徹平君」にも言えることです。
〇 やっぱり節穴だった...
さて、宝塚版の『1789』から不思議だったのは
ただの農民が、革命家たちのリーダーたちに交わる。パレロワイヤルでは、剣の達人と立ち回りをする。パリ中の戦える男たちを集める...といった
「ロナンのスーパーマン (?) ぶり」
でした。
「主人公ならでは、無茶ぶり?」
とか思いつつも、何となく、納得できずにいましたが、今回の観劇で
「自分の目の節穴ぶり」
を痛感しました。
〇 気づくのに3年もかかるとは...
今回のMy楽で、3年がかりの謎が解けたような気がしています。目がド節穴でも、ようやく気付けた理由は
⑥ 加藤和樹(33) ロナン・マズリエ 歌唱 ☆☆☆☆ / 芝居 ☆☆☆☆☆
二年前の公演を合わせると、8回以上は観劇しているはずなのですが
「初・加藤ロナン」
でした...。ヅカ観劇の合間みたいなスケジュールになりがちで、どうしても日程が合わなくて...ようやくMy楽で...しかし...
「もっと、早く見るべきだった...」
背丈は二回り位大きくなりましたが、徹平君と比べると、最初は
「何か地味」
な印象でした。でも、観劇が進むにつれて、
「本来のロナン像」
に見えてくる。ボース地方から出てきた貧しい農夫に過ぎない青年。しかし
「パリ市民と比べ、一段と骨太で逞しく、その強靭さが際立つ」
しかも
「背も高く、群衆の中にいても、すぐに目に留まる」
しかも、(フェルゼンのような洗練されたイケメンとは全く違うタイプだが)
「強く真っすぐな意思、正義感を感じさせる整った顔立ち」
そして
「張りがあり、よく通る声」
そういった、彼の持つ性質全てが
「人を惹きつける」
それ故に
デムーランたちは、ロナンの言葉に反応し、すぐに彼を仲間に引き入れようとする。印刷所では、自然と職人たちのリーダー的存在になる。その物腰にただならぬものを感じて、フェルゼンは剣を抜く。そして、宮廷などでは出会ったことのない、そのワイルドな魅力に
「オランプちゃんは、すぐにメロメロ」
になってしまう(笑)。革命前夜には、その大きさと強靭さ (実際にメッチャ腕っぷしが立つ) で、自然と平民たちのリーダー的存在となり、テニスクラブの集会では王たちに立ち向かい、革命が起これば、その呼びかけで多くの市民を集めることが出来る。まあ、こうして書いていくと、やっぱり人間離れしているけど(笑)、
「生まれながらの屈強な戦士でありリーダー」
たる人物なのでしょう。ちなみに貧窮した農夫の息子が、どうしてそんなに頑健で立派な人物なのかといえば、
「彼の成長期は豊作続きで、栄養がきちんと取れていた (し、教会で文字を習うこともできた)」
ためと思われます(笑)。
加藤君、そういったキャラクターにピッタリでした。背が高く、たくましい体型。どこか朴訥とした印象のある真面目そうで好感のもてる顔立ち。そして、歌声の質もレベルも、やはり徹平君よりも一枚上。加藤君のおかげで、ようやく
「ロナンの正体」
が分かったような気がします...。
...しかし、こういった記述って、どこかで見かけた気がするし、ちょっと考えればわかりそうなもの...やっぱり、私の目は
「ド節穴」
そのものでした...(笑)。
...でも、「まさおさんロナン」って、背は高いけど、全然強そうじゃなかったし、キラキラしすぎてたし、「徹平君ロナン」も、強そうにみせる役作りは、きちんとしてたけど、実際にはあんまり強そうには見えないし、やっぱりキラキラ系で (何かチャラいし)、朴訥な魅力とかじゃ全然なかったから...。
まあ、とにかく、次はいつ見れるのか、もう見れないのかはわかりませんが、
「最後に気付けてよかった(笑)」

(My楽。いつか再会できるだろうか...)
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