あかねさす紫の花 ④ ‘18年・花組・博多座 「この場面がなくては...」 | To TAKARAZUKA once a month at leastー観劇・備忘録

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①20世紀号 ②1789 ③ファントム ④王家に捧ぐ歌
①とうこさん ②あさこさん
①あすかさん ②おはなさま 

万葉ロマン『あかねさす紫の花』 役替わり【B】
作/柴田 侑宏 演出/大野 拓史

博多座 平成30年5月20日 午前11時公演 2階J列下手側B席

この公演も見納め...。せめて名古屋だったら、もっと...。
良い公演の“My楽”は、やはりさびしいものですね...。とにかく、一作でも長く勤めて頂きたいものです。

○ やっぱり
「こっちが本物 (?)
のような気がしました。というか
「大海人版だけでは、分かり切らないことが多すぎる」
というか...。でも、とにかく、今回の博多座では
「両方観れる幸運」
に感謝すべきでしょう。本公演のBDはよく買うのですが、いつも外箱公演は放送待ち...(笑)、でも、今回はDVDを購入しようと思っています。


○ こっちは勘違い...
以前の記事
「それぞれの年齢に合わせた芝居の作りについては、あれ以上は望めない」
とか書いてしましましたが、それは
「大間違い」
でした...。この場をお借りして陳謝申し上げたいと思います。

最初の場面 
第一場 蒲生野の御狩
で、舟坂の十市皇女をみての「姫様にそっくり」という言葉に対し、額田も「あんなに幼かったか」と答え、次の場面に続いていくわけですが、その
第二場 「額田の郷」
に出てくる、15歳 (満14歳ってこと?) の少女、5月4日、5日にみた時には、正直
「十市とは全然違うじゃない...」
という感じ...。役作りとしては見事だと思いましたが、やはり違いは大きかった。ところが

① 額田女王(15歳)  仙名 彩世(94期・首席 「ゆき」)  芝居 ☆☆☆☆☆

もう
「前にみたのと全然違う...」
2階席後方から見ると、十市と同じくらい幼い少女が、舞台を跳ね回っているようにさえみえます (オペラ見すれば、やっぱり「ゆきちゃん」ですけど (笑))。前回の観劇が初日と二日目の公演だったとはいえ...(やはり、持ちキャラには合わないとは思うのですが...)ここまで作って来るとは...。
「さすが 総合・優」
といったところでしょうか(笑)。


○ はまり役
前回は弟君、今回は兄君となりました。とはいえ、最初の「せり上がり」での登場シーンでは
「どっちがどっちだっけ?」
みたいだったかも...(笑)。
「主役が役替わり」
って、凄くインパクトがありますけど、勿論、同じ人だし、最初は兄弟の衣装も大差ない...。「ちなつちゃん」は、ガタイで兄らしさを出すこともできましたが、「みりれい」では、そーはいかないし...。
「ちょっと、物足りない...」
と思った気もします。ある意味「ちなつ中大兄」って、かなりのハマリぶりだったことを再確認したかも...。


○ 段々違ってくる...
最初のうちは、どーしても、見たばかりの
「大海人みりりん」
の印象を引きずりながらというところがありました。違う人になってくるのは、やはり
第四場 難波長柄豊碕宮
以後、額田と本格的に絡んでからでしょうか。
それに、ここまでは「刺客」の場面に大海人がいなかった位で、それほど演出の差はなかったのですが、ここからは、色々と、かなり大切な違いが出来てきます。この場面でも、一度出て、一旦はけて、再び現れるといった違いがありました。
「額田と中大兄の絡み」
が濃くなり、中大兄のセリフが増えてくる。そういった
「芝居の密度が高まった」
時こそが
「トップスターの実力発揮」
の場面ですね。


○ 懐かしい?
印象的な芝居の一つは
第八場 有馬の温泉
での「有馬皇子」について語る時の冷徹な眼差しでした。
「あれっ、これってトート?」
...っていう感じというか(笑)。その後、額田をグッと抱き寄せるまでの芝居は、はっきりと「ちなつちゃん」との差を見せていました。まあ、セリフも違うんですけどね。
それにしても
「みりりんトート」
って良かったですよね...。最後までにもう一回やってくれないかな...。


○ ここがなくては...
そして、最も印象的な場面は、
第十一場 紫に匂える花
でしょうか。ここは「大海人」のソロ歌場面から
「大海人と中大兄の二重唱」
場面へと変わっています。最初のうち、
「歌の見事さでは...」
とか要らんことを考えている最中に
「みりりんがせり上がって」
きて...結構ビックリ。でも、みりりんが加わると、
「歌のクオリティーが...」
グッと↑↑。そして、ここの場面が、ある意味
「中大兄の大きさと大海人の未熟さ」
の対比を感じさせる重要シーンにもなっています。これを見てしまうと、もはや、この二重唱なしの
『あかねさす紫の花』
はあり得ない...みたいな(笑)


② 中大兄皇子 明日海 りお(89期・8番 「みりお」「さゆみし」「みりりん」)  芝居 ☆☆☆☆ / 歌唱 ☆☆☆☆  / はまり役度 ☆☆☆

③ 大海人皇子 明日海 りお(89期・8番)  芝居 ☆☆☆☆☆ / 歌唱 ☆☆☆☆  / はまり役度 ☆☆☆☆☆


人物的な大きさでは、明らかに「中大兄皇子」が上であり、この
「役替わりB:中大兄皇子版」
の方が、作品としても、より魅力的な気はします。

ただし、「みりりん」のスター特性的には
「役替わりA:大海人皇子版」
の方が、ハマっているとも感じます。この舞台を見ながら
「ちなつ中大兄」
で、「中大兄皇子版」を見てみたい気持ちになっていたような気がするし...。持ちキャラ的にも、人物の大きさの対照的にも、そういった兄弟らしさ的にも、
「みりちな」
コンビのはまりっぷりは凄かったから...。

ただし、↑にも書いた
第八場 有馬の温泉
での
「緻密でかつ激しい感情表現」
などは、「みりりん」でないと出せないものがしっかりと感じられるし、それに
「ゆきちゃんへの執着」
的にも圧勝していそうなので(笑)、この舞台を超えるものまでは難しいかもしれません。とにかく
「両方見れてよかった...(再掲)
ということです。

額田
(まあ、やっぱり、普通、こっちを選ぶかな...というか...(笑))

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