原作/カレル・チャペック 脚本・演出/木村 信司
平成30年1月28日 日本青年会大ホール 15時公演 1階H列センターやや下手側S席
午前、午後と2回連続観劇でした。2時間半の公演ですから、公演間が1時間以上あり。たべログで探したお鮨さんで、ちらし寿司...+オチョウシ1本(笑)。渋い店でしたけど、美味しかったし、とてもリーズナブルでした。
さて、H列って、8列目、銀橋もオケボックスもないので、舞台が近いです。目のあまり良くない私ですが、肉眼でもはっきり表情の動きが見えました。
<『ポーの一族』についてのネタバレみたいなものが少しありますので、ご注意ください>
○ 15年ぶり!の再演
初演を映像で見た時の感想の一つは
「よくこんな作品を...」
だったでしょう。作品の良し悪しは別にして、宝塚の舞台に相応しい作品とは全く思えなくて、
「快作というよりも怪作」
であり、これを宝塚の舞台にかけるチャレンジ精神に感服はしましたが、この作品が、TAKARAZUKA Madamesの多くに受け入れられたとは、トーテー思えず
「多分、入りも...だったんじゃ」
それ故、さらに再演などは全く考えませんでした。それに実際、私が映像を見た時点で、13年間、再演されていなかったわけだったし、それが覆されるなど、夢にも思わなかった(笑)。でも、他の方の記事を見ると
「名作」
という評価だったらしい...
「Hmm...さすが...懐が深いですね...」
○ 実際に観てみると
実は
『鳳凰伝』
も、そんな風に考えていたんですよね。
二つとも、宝塚の舞台には、あまりにも
「強烈すぎる」
ように思えて...。『鳳凰伝』は、首が飛びまくるは、いきなり全滅するは、だし...。
この作品も、いきなりブスブスから始まり、ドボーンで止めをさされるし...。
でも、実際に生の舞台を見てみると、『鳳凰伝』も『不滅の棘』も、そういった残酷なシーンからのインパクトばかりが大きい訳ではなく、それを含めた全体から、何かよく分かんないけど、何かのテーマ性みたいなものが伝わってきて、
「何かズシーン」
ときて、決して不快とかではなく、きちんと鑑賞できる作品でした (意味不明文章の自覚はちゃんとあります (笑))。
○ 永遠の生命
不死性や最後の消え方など、どうしても
『ポーの一族』
を思い起こさせるところがありますね。勿論、原作はこちらの方が古いので、真似したということではありませんが。『ポー』に合わせての再演なのかなとかも考えましたけど、前回書いたように
「あいちゃんにピッタリ」
の作品だったし、そういうことではないのでしょう。でも、15年間埋もれていた (?)、この作品を思い出させるヒントとかにはなったのかも?
『ポーの一族』は、初日と1/8の2回観劇しています。東京公演の観劇感想を書くつもりもあって、他の方の感想記事は全く読んでいないのですが、タイトルなどからは、世評は良さそうでしょうか?
ただ、『不滅の棘』を観てみて、同じ不死の存在であっても、
「エロールの心情」
の方が、よく表現されているように思いました。
ヴァンパイア(バンパネラ)とか荒唐無稽のファンタジーにしか過ぎず、それ故に
「エドガーの苦悩」
などに共感できるはずがないとハナから思い込んでいたし、実際に、あの舞台を見ても、
「ピチピチの美少年として、いつまでも生き続けられることに、何の不満があるの?」
と、どーしても感じてしまう (「はなちゃん」を失った悲しみにだけは共感できるけど (笑))。原作では
「どーせ、メリーベルの身代わりなんだろう!」
といったアランの言葉がありましたが、この舞台でこそ、まさにそんな風に見えたし、どこか
「egoistic/narcissistic」
な印象がつきまとい、どうしても、その心情に
「共感出来かねる」
ところがありました。
○ エロールの選択
でも、エロールが、さらなる生を望まずに、消え去ることを選択する
「不死への絶望感」
というものには、現実にはそんなことは絶対にありえないと分かっていても
「どこか共感できる」
ものを感じました (あのタイミングだと、薬を作ろうとしても、間に合わないという気もしましたが (笑))。
「フリーダ、フリーダ」 → 「フリーダ、Oh! フェルディナンド」
に移り変わって、切々と歌われるところは、この作品のハイライトでもありますよね。
○ もう一人のヒロイン?
また、この作品は
「こちらは犯人が分かっている系ミステリー」
のようにも楽しめる仕掛けにもなっていて、
“アルベルトの名推理の大外れぶり~周囲の人物の驚愕~ラスト”
の一連の流れでのフィニッシュの作りは、実に見事な本だと思います (勿論、原作がありますけど)。
さて、↑に書いたように現実には存在しえない荒唐無稽な存在の心情に共感できるとすれば、それは
「本の質の高さ」
の一つの傍証でしょう。
ただし、その共感は、主人公一人からもたらされるものではない。かなり
「濃厚にがっちりと人物造形」
がなされた周囲の人間たちの存在も、それに大きく寄与しているように思います。
一人は、勿論、
「ヒロイン/フリーダ」
と、アルベルトよりも、人物造形がずっと深い
「マザコン・アル中/ハンス」
この二人の闇が、この物語に奥行きを与えている。そして、もう一人は
⑤ 華妃 まいあ(99期・3番 「れいな」) クリスティーナ 演技 ☆☆☆☆
人のことばかりを思いやり続ける“天使”のような男爵令嬢クリスティーナ。でも、それはフリーダ・プルスの“天使/聖女性”とは、どこか明白に違っていて、不幸な家庭環境で育ったきた故の“脆さとある種の闇”を秘めている。ハンスに
「死なないで」
と必死に懇願していたこの女性のラストは、ハンスと共に、いやそれ以上に
「現実以上の迫真性」
をもっていて、この荒唐無稽な設定の世界を、強力に現実世界につなぎとめているようにも感じます。
そして、こういった
「人間存在のリアルさの表現」
の見事さが、エロールの苦悩への共感にもつながっていそうです。
初演は、超実力派娘役「あすかさん」でした。さすがに、そこには一歩及びませんでしたが、とてもよい演技だったと思います。
「れいなちゃん」も成績に見合った実力派娘役さんですね。歌も上手いし、ダンスもOK! でも、「まどかちゃん」とは持ち味が違いすぎて、次も新公ヒロインは難しいかな...。一度、ヒロインで見てみたい一人なのですが...。
○ 二幕の幕開け?
ところで、二幕開演前 (?) の掃除夫2人と掃除婦さんのコント (?) も、とても洒落た演出でしたね。二回続けてみたら、午後は午前の話の続きになっていました。
午前は
「つきあってほしい」
とコクったら
「付き合うのはいやだけど...結婚ならしてもいい」
と言われた、で大うけ!(でも、よく考えると○性の本音が...(笑))
午後はおばさんの
「ところで、プロポーズは、ちゃんとしてんのかい?」
で、話がさらに展開し、男 (役) 二人で、プロポーズの練習を始めて...(ややスベリ気味になるも)、最後は、
「あの曲歌おうぜ! せーの、ババンバ、バンバンバン」
で、大爆笑!! まあ、それはともかく、
「おばさん、あのあと、どうなったんだろう...」
タチアナさんよりも幸せになったのかもしれませんね...。

(れいなちゃん、主メンバースチール初登場おめでとう! あーちゃんもかな?
ところで、初演では、この4人、「あさこさん」「ハッチさん」「ゆみこさん」「あすかさん」でしたから...ほぼドリームチーム状態でしたよね (私は、映像しか知りませんが))
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