‘16年・博多座 エリザベート② 「ダブルキャストの比較など」 | To TAKARAZUKA once a month at leastー観劇・備忘録

To TAKARAZUKA once a month at leastー観劇・備忘録

My Favorites:
①ちーずちゃん ②はばまいちゃん ③たけちゃん ④こっちゃん ⑤キキちゃん
①20世紀号 ②1789 ③ファントム ④王家に捧ぐ歌
①とうこさん ②あさこさん
①あすかさん ②おはなさま 

博多座 2016年『エリザベート』 
脚本・歌詞/ミヒャエル・クンツェ  音楽/シルヴェスター・リーヴァイ
演出・訳詩/小池 修一郎  音楽監督/甲斐 正人
平成28年8月14日 12時公演 1階G列下手側A席


さて、翌日は、昼公演です。G列は7列目ではなく、オケピット設置のため、3列目となります。また、博多座はS席がなく、A席が一番良い席になります。
わざわざ九州まで行った、もう一つの理由は...、東京では到底入手できない、このような良い席が買えたからでした(笑)



● 公演雑感
この公演では、ルキーニが成河、ゾフィーがたーたん様に替わりました。たーたん様は、帝劇で観ましたが、成河君は初見です。こんな前の席は、昨年の公演を含めても初めて。上手だと、トートが間近だったのですが、下手はルキーニポジションで、ちょっと残念でした(笑)

これだけ前に来ると、ただでさえ凄い、主役二人のビジュアル力の威力倍増でしたでしょうか。おはな様の細やかな演技、様々な表情の動き、そして、勿論トート閣下の凄みのある美貌。それに、成河と山崎君の違いも見やすかったかな。

黒天使のダンスは勿論、缶をたたく音が直で聞こえてくるミルクの迫力も凄かった (でも、宝塚版の方が好きかも (笑))。

二日連続で観て、改めて感じたのは、当たり前ですが、主演がエリザベートだということ。宝塚版よりも、ずっと歌も多くて、はるかに大変な役どころになっています。公演時間も5分程長く、さらにフィナーレはないのですから、場面数も多い。これを連日公演するのですから、やはり役替わりは必須なのでしょう。


● ダブルキャスト比較

先ずは、この二日で違っていたキャストから (忘れないうちに (笑))

ルイジ・ルキーニ
山崎育三郎  歌唱 ☆☆☆☆☆  演技 ☆☆☆☆☆
成河  歌唱 ☆☆☆☆  演技 ☆☆☆


成河君の方が、地声で歌える音域は広そう、というか、声自体が山崎君よりも高めで、ルキーニの音域により合っており、殆どファルセットなしで歌い切りました。それに。歌自体の美しさも、成河君の方が上かもしれない (ただし、ちょっと軽めの声)。山崎君がファルセットで歌うところも、地声で強く発声して、高らかに声を響かせることができている。
でも...、それだけでは、ミュージカル「エリザベート」のルキーニは務まり切らない。山崎君の多彩な表現、地声、裏声、叫ぶ、ささやく、キレル、様々な発声法、表現法を駆使して、作り上げるルキーニの歌唱表現は、まさに一級品です。
演技にも同じことが言えるでしょう。成河君の役作りはよく練り上げられた見事なものでしたが、間近でみても、ゾッとはしない...。声の迫力は凄いし、表情も豊かなのに...、怖さはあまり感じない。
その理由の一つは、ぶっちゃけ、ルックスの違いでしょう。昨年の○也にも感じましたが、ルキーニは痩せてないと...。成河君、太っているわけではないけど、お顔が少し丸く (かつ○が少し短く)、メイクで良く分からない感もあるけど、ややベビーフェイスかな。山崎君のシャープな風貌とは、かなりの差があります。
そして、山崎君、昨年よりも、歌の向上は明らかなのですが、それは、演技の表現の向上と一体のもので、この二つの相乗効果で、とにかく、ルキーニがさらにおりていて、ゾッとする凄みが増している。多分、役作りを意識してできている部分以外の、役自体が下りてきて、自然と動く部分が増しているのだと思います。これは、昨年も演じていることもあるし、東京公演から始まって、1か月半以上となり、さらに深まっていることもあるのでしょう。
成河君は、今年からの役。しっかりとした役作りは感じられますが、それ以上ではない。しっかりこなすだけで精一杯なところもあるでしょう。でも、先にも書いた通り、歌唱レベルはものすごく高い (でも、ファルセットは苦手かも。昨年の松○のようなどうしようもない酷さはありませんが)。勿論、○組公演よりも、はるかにレベルは高いです (ビジュアルを除いては (笑))


ゾフィー
涼風真世  歌唱 ☆☆☆☆  演技 ☆☆☆☆
香寿たつき  歌唱 ☆☆☆☆☆  演技 ☆☆☆☆☆

「かなめさん」の歌唱は見事なものでしたが、やはりわずかにたーたん様には及ばない。少し、声が伸びきらず、わずかに音程がずれる感じがある (あくまでも、わずかだけ)。声量、そして声に込められた気品と威厳もたーたん様の方が上でしょう。
演技についても、お二人とも気品と威厳に満ちた皇太后を見事に演じていました。私には、たーたん様ゾフィーの方が、よりこの役にふさわしい”威厳に満ちた峻厳さ”をもっているように感じましたが、これは、好みの違いの範疇だと思います。
印象的だったのは、フランツがシシィを選んだ時と結婚式、そして最後の場面で、涼風ゾフィーが浮かべる深い不安の表情。そして、初孫を抱きかかえる時に浮かんだ、香寿ゾフィーの優しそうな笑顔。
いずれも、ひたすらおっかない (だけの) 嫁いびりの (い○わる) 皇太后 (ば○さん) といったイメージとは、対極にある真のゾフィーの内面を見事に表現してました。この辺は、せーこさんは、まだまだですね (まあ、ここも好みの範疇かもしれませんが)

さて、続いては、この二日間では役替わりなしでしたが、私の東京での観劇とは替わっていたのが、

フランツ
田代万里生  歌唱 ☆☆☆☆  演技 ☆☆☆
佐藤隆紀  歌唱 ☆☆☆☆  演技 ☆☆☆☆

歌唱・演技ともに甲乙つけがたい二人。素晴らしい出来でした。
あえていえば、やはり佐藤君は体格が良すぎるので、最初から堂々としすぎていて、「若くてハンサムな皇帝」とはいかなかったかも。でも、壮年期以後の表現は高レベルで、声量ではより勝っており、特に『夜のボート』の出来は、佐藤君をわずかに上回っていたと思います (多分...(笑))
それに対して、『若くてハンサムな (マザコン) 皇帝』という役作りと、そこから、年月ともに、どんどん老けていく変化の表現は、田代君の方が一枚上。そして、『あなたが側にいれば』の二重唱は、田代君の方が良かったでしょう (ビジュアル面が評価に影響してそうですが...)

ルドルフ
古川雄大  歌唱 ☆☆☆☆  演技 ☆☆☆
京本大我  歌唱 ☆☆☆☆  演技 ☆☆☆☆

前回もびっくりさせられた京本ルドルフ。今回も驚きの出来。とにかく歌が良い。昨年よりも、声が良く響いていると思います。音程もしっかりしており、表情豊かに、地声で歌い上げる。高域を響かせる。その切り替えにも難がない。情報がなければ、普通に実力あるミュージカル俳優にしか思えません。
勿論、古川君の歌も見事な出来。美しい声で繊細に歌い上げる。ただし、少し声量が足りない。
ルックスも甲乙つけがたいのですが、小柄な京本君と巨大なトートの組み合わせには、独特の魅力がある...。そして、撃つ前に笑い、浮かべる表情...。京本君のルドルフの方が、個人的には好印象です。

少年ルドルフ
大内 天  歌唱 ☆☆☆☆
加藤 憲史郎  歌唱 ☆☆☆

加藤君も悪くなかったけど、大内君は、本当に上手。わずかに音程がずれるところがないわけではないけれど、(本当に小さい子なのに) 声の響きがとても良い。昨日も書いた通り、昨年の公演も含めて、聞いた中では、傑出していました。


役替わりではないけれど、このOG二人はさすがの実力

マダム・ヴォルフ/ルドヴィカ
未来優希(79期・主席 「ハマコ」)  歌唱 ☆☆☆☆☆

このマダムは、文句のつけようがない。これ以上はあり得ないでしょう。さすがでした。

ヴィンデッシュ
真瀬 はるか(92期 イマッチ) 歌唱 ☆☆☆☆  演技 ☆☆☆☆

プロローグの最後近くの一人踊りで、すでにひときわ目立っていたヴィンデッシュ。エリザベートとの対峙。おはな様に全く引けをとらない見事な歌唱でした。92期2番、らんちゃんの同期なんですね。

○ 長くなったので、主役二人については、明日...
は、宙組「エリザベート」でした...
いつか、書きます(笑)


ルキーニ1
(どっちも、すごいけど...)




にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村