最近の資格試験受験者の減少を思うに | 横浜 コーディアル司法書士 所博之

横浜 コーディアル司法書士 所博之

LECと伊藤塾を通じて司法書士講師業25年のキャリアを活かしたブログ

前回のブログ掲載のあと、信託銀行に遺言信託をしていた老人ホーム入居者の方から、今までの遺言の撤回及び私を遺言執行者とする遺言を残したいと依頼があり、公証人と一緒に、逗子駅近くの葉山にある当該施設を訪れ、公正証書遺言を作成致しました。大手の信託銀行より、私などに一生かかって築きあげた大切な財産の処分をすべて任せていただいたことに大きな使命を感じています。


最近では、遺言執行者として本人死亡後に本人の財産をその意向通りに処分する依頼も増えてくるなかで、生前に本人の意向に基づいて本人財産を相続人に渡すことができる民事信託(家族信託)にも、大きな関心を持っています。


ちょうど、先週末には、民事信託がらみで、遠藤英嗣弁護士や大貫正男、山北英仁司法書士等と一緒に飲む機会に恵まれ、今後の民事信託のあり方について学ぶことができましたし、4月からは民事信託の講座が始まるので、楽しみの一つにもなっています。




事務所開設までは遺言執行の業務など、私は思いもよらなかったのですが、現在では後見業務よりも、遺言執行者リストを作らなければならないほど、依頼者が増えているのですから不思議なものです。


昨今では、司法書士試験の受験者が減少していますが、これは司法書士の資格だけに限定されることではなく、士業全体に及んでいます。特に受験資格が問われない司法書士は、ピーク時の66%まで減っていますが、司法試験も行政書士試験も70%程度と、どれも減少しています。


これは、「資格を金儲けの道具として捉え、手っ取り早く取得して開業しよう」と考える「にわか受験生」が、SNS等を通じて、現場で仕事をしている資格者の実態を垣間見ることで、生半可な気持ちでは目指せないし、費用対効果を考えるととても短期間では採算が合うものではないと、敬遠していることが伺えます。


私たち現場で仕事をする資格者にとって、この傾向はむしろ望ましい傾向で、本当に資格を使って仕事をしたい人が目指していると受け止めていますし、そろそろ受験者の減少も底を打ちつつあるという感想を持っています。


合格後が保証されればともかく、受かるかどうか分からない試験に合格まで多大なエネルギーを注ぎ、合格後もすぐに事務所開設は難しく、面倒で嫌な仕事も多いのが法律家の仕事ということであれば、敬遠されるのは仕方のないことでしょう。

ですが、それ以上の志や情熱をもった人が、法律家として活躍する場が現場には多くありますし、現場ではそういった人材が求められています。


昨年の合格者には、10年以上の受験期間を経た人が多くいたことからも、地道でコツコツタイプが浮かばれる試験にもなっています。

本当に頭の良い優秀な人が、この資格を取得しても活用しないままで終わるより、長年の受験生活で積み重ねた想いを、合格後に現場で実現できる司法書士が増えることを願っています。

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