ハリル解任3、2010年南アフリカ大会・岡田ジャパン | 平和について、少年少女が考えるきっかけになるためのブログ「論考空間」

平和について、少年少女が考えるきっかけになるためのブログ「論考空間」

「平和」の重要性は日常生活の中にあり、それを中高生に考えてもらうことを目的に、近代の歴史からテレビでのスキャンダルまで幅広く取り上げます。
(「エヴァ」など、全く関係ないこともテーマにすると思います。)

W杯ロシア大会が終わった。
 
15日0:00から、テレビで試合を見た。フランス4-2クロアチア、という結果。
1点目はオウンゴール、2点目は、手に当たったボールがVARの判定によってPK(コロンビア戦のコロンビアのように、レッドカードはもらっていない)クロアチアにとって不運なところはあったようだが、サッカーという競技では、許される運の範囲である。後半、クロアチアが積極的にボールを奪いに行ったが、逆に逆襲されて2失点、勝負はついた。3回の延長+2回のPK戦を勝ち抜いて、しかもフランスよりも1日少ない中3日での決勝戦を戦った。前回大会のアルゼンチンと、状況がよく似ている。
クロアチアのマンジュキッチがキーパーへのバックパスにキーパーがもたつく間にキーパーに迫ってボールを奪ってゴール。はっきり言って、キーパーのミスだが、鍛えられたクロアチアの執念を見せつける価値ある1点だったと感じる。
 
決勝戦では、5,6枚のイエローカードが乱れ飛ぶ試合になることも少なくないが、イエローカードも少なく、気持ちの良い決勝戦であった。(これには、VARが導入され、審判が、より厳しく選手を見ることができるようになったことが作用したと思われる。VARにはいろいろ議論があるようだが、今大会に関していえば、導入は成功だったと私は考えている。)

この大会の勝者はフランスだが、クロアチアをはじめ、いくつかの国は、大きなものを得た大会であったと思う。
 
しかし、さすがW杯、ただでは終わらない。
表彰式、フランスのマクロン大統領やクロアチアのグラバルキタロビッチ大統領がいる中で、プーチン大統領だけが傘をさしてもらって、国内外から批判を浴びたという。
 
 
さて、日本代表。
 
今回のW杯で、日本はこれまでで最も世界に近づいた、という論評がある。グループリーグを突破し、決勝トーナメント1回戦、世界ランキング3位のベルギーに対して後半、乾のスーパーゴールで2-0にしたときが「世界に最も近づいた」瞬間だとメディアが騒いでいる。

私にはよくわからない。
サッカーで、世界に最も近づいたのは南アフリカ大会の岡田ジャパンである。

ロシア大会における日本代表は、初戦のコロンビア戦で、試合のほとんどを11人対10人で戦って勝利。第3戦のポーランド戦で、最後の「10分」で物議をかもす戦術をとって、何とかグループリーグ突破。

運+不評と引き換えに、やっとグループリーグを突破した、ということは、それらがなければ、グループリーグが突破できなかった実力だったとも言える。
 
ベルギー戦では、後半2-0から、後半で3点取られて敗退した。
決勝トーナメントで2-0からの逆転負けはこれまで6例のみ、48年ぶりと報道されている。しかし、48年前の1970年メキシコ大会の準々決勝で西ドイツが3-2でイングランドに勝ったときは、前半にイングランドが2点、後半に西ドイツが2点で、前後半終了時点で2-2。西ドイツの逆転は延長に入ってからのものだ。
2-0から90分の間で逆転されたのは、もっと過去にさかのぼることになると思われる。日本は、それほどあり得ない状況で逆転負けを喫した。

 

岡田ジャパンは、決勝トーナメント1回戦、対パラグアイ戦をPK戦まで持ち込んで負けている。サッカーでは、PK戦での決着は、公式記録上は引き分けになるので、総合成績では2勝1敗1分け。一方、西野ジャパンは1回戦を90分で負けている。1勝2敗1分け。

 
日韓共催大会におけるトルシエジャパンでは、グループリーグを2勝0敗1分で1位通過。決勝トーナメントで1回戦でトルコに負けて、総合成績で2勝1敗1分け。(ただしこの大会では、日本や韓国がFIFAランキングの高いチームと当たらない組み方でグループリーグが作られている。)
 
しかも、日韓共催大会のグループリーグで、トルシエジャパンはベルギーと対戦して、2-2で引き分けている。

ロシア大会前の段階での国際Aマッチ(親善試合を含む)の対ベルギー戦の通算成績は日本の2勝1敗2分で、何と、ロシアW杯の前の段階で、日本がベルギーに勝ち越しているのである。(西野ジャパンが負けたことで、2勝2敗2分と対等になった。)
これまでの対ベルギーの戦績を、メディアはどれほど報じただろうか?そして、ベルギー戦の「大善戦!」との評価は果たして妥当なのだろうか?(ベルギーは本大会で3位になった事実はあるが。)
 
岡田ジャパンと西野ジャパンを比較する、別の視点として、南アフリカ大会からロシア大会までの8年の間の日本代表の変化に注目するがある。
それは、代表選手23人の中の「海外組」「国内組」の比率だ。
2010年の南アフリカ大会では、23人の代表選手の中で、「海外組」は8人(「国内組」は15人)、それに対して、ロシア大会では「国内組」が8人で、人数比が逆転しているのである。
ブラジル大会では「海外組」が12人だったので、すでに「海外組」が半数を越えていた。
「海外組」が「国内組」よりワンランク上の選手だと単純に仮定した場合、8年前の南アフリカ大会における岡田ジャパンに比べ、西野ジャパンは、選手層が格段に違うことになる。
 
その条件で、ロシア大会の日本代表は、グループリーグ突破にこれだけ苦戦した、とは言えないだろうか。
 
(つづく)