ある人の思い出話。 | バイクとサーキットと旅と生活。

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のんびり、マイペース。
真実だけではなく虚構も入り混じっております。
チラシの裏の落書き程度にご覧くださいませ。

ある男性のオハナシ。




僕の話を聞いて欲しい。

明日、僕は結婚する。


自分にはもったいないぐらいな素敵な女性と結婚するんだ。


そんな彼女との馴れ初めを少し話そうと思う。



自分がまだ駆け出しの頃の話だ。


最初に始めた仕事では紆余曲折あり辞めざるをえなかったのだが、

それでもそれなりの地位を得る事が出来ていたので少し形を変えて業界に残る事ができた。

しかし、理不尽な事や、少し考え込む癖の影響で自分の決めたルールに縛られ心労がたたったりする毎日。

しかし、そんな自分も頑張っていると他から少しずつ認められて、仲の良い友達もたくさん出来て来た。

中には誕生日に当時の僕の自宅アパートの玄関ドアにスプレーで「誕生日おめでとう!」と過激(?)なサプライズをする輩までいたけれど(笑)、仲間も多く仕事もプライベートも充実してきた。

そして、仕事を通じてある女性と知り合う。


明るく朗らかでコミュニケーションの塊みたいな自分とは全く逆な人だけれど、よく一緒に食事に行くし、出掛けたりもするようになった。

交際しているとも言い難く、かといって「ただの友だち」と括るのもなんだか異なる存在。


はっきり言えば、僕は彼女が好きなのだ。

でも、それを口にするのはなんだかもどかしくて言えずにいた。


ある日の事だった。

普段からの不摂生や仕事の激務、それと以前よりヘルニアを抱えていた自分は腰が痛くて痛くてたまらなかった。

病院で処方された痛み止めの薬は座薬で、でもコレを使わないと仕事ができない。

1人、控え室でズボンとパンツを下ろし座薬を今、入れようとしていた時だ。

ノックも無しに控え室のドアがガチャっと開き、

『おぉ~い!』と例の彼女が入って来たのだ!



最悪だ!


今の自分はオケツ丸出し!それだけでなく、お尻の全てをさらけ出しているのだ!

なんで、控え室のドアの鍵をかけていなかったのかと、僕は自分を呪った。

彼女との楽しい思い出がガラガラと崩れて行く、、、。

あの楽しい日々は二度と帰ってこないのだ、、

悔やんでも悔やみきれない。

彼女に嫌われても、きっと暫くの間は僕は彼女の事を引きずり続けるだろう。

もう、あの時のような楽しい思いは二度と出来やしないのに、、、。


では、彼女を完全に諦めるにはどうしたら良いのだろうか?

彼女に完全に嫌われてしまえば自分はきっと諦めがつく。

彼女に幻滅されれば良い、簡単な事じゃないか!

僕の脳が導き出した答えは、、、

「座薬、入れてもらって良い?」

この短時間でよく思いついた物だ。みっともない姿にプラスして、さらにセクハラめいたこの言葉なら彼女は怒って出て行くだろう。

さあ、激怒しこの場からたちさるが良いさ!そして僕の恋よ思い出よ、サヨウナラ、、、。


一瞬、時間が止まった。


刹那、彼女が口を開く「良いよぉ~」と、

彼女は僕の手の上にある座薬を取り、躊躇なく僕のお尻に座薬を入れた。

僕は「ありがとう、、、」と言うのがせいいっぱい。

彼女は「何か困った事が有ったら、何時でも連絡して来てね」と良い、ニッコリ笑って控え室から立ち去った。


え?コレ、どう言う事?嫌われてないの?

『また連絡して来てね』って事は、、、!?


その後、僕は彼女に正式な交際を申し込んだ。

彼女からOKを貰い、交際が続き、結婚する事になる。


そう、

これこそが「座薬が結んだ恋」なのである。