特集社説2012年08月05日(日)
食品表示 消費者が正しく選べる一助に
8月は「食品衛生月間」。例年、夏場には食中毒が増える。殊に今年は7月から、牛の肝臓(レバー)を生食用として販売することが禁止された。常にも増して食の安全、安心に関心を持ちたい。
そうした中、消費者庁はおととい、検討会の報告書を受けて、食品の安全性や品質に関する表示を見直し、分かりやすい新たな制度をつくることを正式に決めた。遅きに失した感は否めないが、消費者に配慮した表示の改善は当然であり、評価できる。
食品の包装に記される表示の基準は現在、日本農林規格(JAS)法、食品衛生法、健康増進法の3法で別々に規定されている。そのため情報が混在し、用語や定義が統一されていない上、内容も多く判読しづらかった。消費者庁は基準を改善、一元化した新たな法案を来年1月の通常国会に提出するという。
見直しでは、簡素化して字を大きくする。確かに、従来の虫眼鏡がなければ読めないような、また読めても理解できない表示では、せっかくの表示も意味がない。情報が、出す側の都合ではなく、受け手の消費者にとって活用しやすい、正確で分かりやすい表示を工夫してもらいたい。
個別の項目は検討中だが、安全性の観点からは、原料原産地や加工業者の情報は不可欠。アレルギー表示も命に関わる問題で、目立つ表示を考えてほしい。簡素化が、重要な情報の欠落や業者のコスト削減だけにつながらないよう目を光らせたい。
また、健康志向の高まりを受け、任意だった脂質などの栄養成分の表示を、原則すべての加工食品に義務づける。カロリーやビタミンを重視する消費者も多く、義務化は歓迎できるが、同時に、情報を正しく読み解く「消費者力」も高めていかねばならない。
6月発表の2011年度版食育白書の調査で、「食品の安全性に関する知識がある」と答えた人が66・0%。うち「十分ある」は13・8%と過去最多だった。東京電力福島第1原発事故の影響もあって食の安全への関心が強まっていることは間違いない。
一方で、サプリメントや特定保健用食品(トクホ)のように、「食品」でありながら医薬品のような効果を期待したり、「これだけを食べていれば大丈夫」などと妄信したりする風潮は依然、根強い。逆に「おいしく食べられる期限」にすぎない賞味期限を、消費者や業者が過剰に意識することで、まだ食べられる食品が大量に廃棄されている現実も見過ごせない。
食品の多くは多少のリスクを抱える。そのことを正しく理解し、正しく恐れ、自分なりに選択する。表示改善を、そんな当たり前の安全意識を根づかせる契機としたい。
食品表示 消費者が正しく選べる一助に
8月は「食品衛生月間」。例年、夏場には食中毒が増える。殊に今年は7月から、牛の肝臓(レバー)を生食用として販売することが禁止された。常にも増して食の安全、安心に関心を持ちたい。
そうした中、消費者庁はおととい、検討会の報告書を受けて、食品の安全性や品質に関する表示を見直し、分かりやすい新たな制度をつくることを正式に決めた。遅きに失した感は否めないが、消費者に配慮した表示の改善は当然であり、評価できる。
食品の包装に記される表示の基準は現在、日本農林規格(JAS)法、食品衛生法、健康増進法の3法で別々に規定されている。そのため情報が混在し、用語や定義が統一されていない上、内容も多く判読しづらかった。消費者庁は基準を改善、一元化した新たな法案を来年1月の通常国会に提出するという。
見直しでは、簡素化して字を大きくする。確かに、従来の虫眼鏡がなければ読めないような、また読めても理解できない表示では、せっかくの表示も意味がない。情報が、出す側の都合ではなく、受け手の消費者にとって活用しやすい、正確で分かりやすい表示を工夫してもらいたい。
個別の項目は検討中だが、安全性の観点からは、原料原産地や加工業者の情報は不可欠。アレルギー表示も命に関わる問題で、目立つ表示を考えてほしい。簡素化が、重要な情報の欠落や業者のコスト削減だけにつながらないよう目を光らせたい。
また、健康志向の高まりを受け、任意だった脂質などの栄養成分の表示を、原則すべての加工食品に義務づける。カロリーやビタミンを重視する消費者も多く、義務化は歓迎できるが、同時に、情報を正しく読み解く「消費者力」も高めていかねばならない。
6月発表の2011年度版食育白書の調査で、「食品の安全性に関する知識がある」と答えた人が66・0%。うち「十分ある」は13・8%と過去最多だった。東京電力福島第1原発事故の影響もあって食の安全への関心が強まっていることは間違いない。
一方で、サプリメントや特定保健用食品(トクホ)のように、「食品」でありながら医薬品のような効果を期待したり、「これだけを食べていれば大丈夫」などと妄信したりする風潮は依然、根強い。逆に「おいしく食べられる期限」にすぎない賞味期限を、消費者や業者が過剰に意識することで、まだ食べられる食品が大量に廃棄されている現実も見過ごせない。
食品の多くは多少のリスクを抱える。そのことを正しく理解し、正しく恐れ、自分なりに選択する。表示改善を、そんな当たり前の安全意識を根づかせる契機としたい。
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