◇規制値の約50分の1/海底の魚介類、野生キノコ注意
野菜や茶葉、牛肉などが連日、宅配便で届けられる。千葉県四街道市の食品検査会社「ハウス食品分析テクノサービス」。86年のチェルノブイリ原発事故を機に、ハウス食品が食品の安全確保のため導入した放射性物質の測定器がある。東京電力福島第1原発事故以降、全国の自治体や食品会社から続々と検査依頼が舞い込み、測定器はフル稼働だ。
検査依頼品が届くと、担当の職員はすぐに食品を細かく刻み、専用容器に入れて、厚い鉛で覆われた測定器の内部に投入。測定データはコンピューターの画面上に表示される。
測定時間が長いほど検出感度は上がるが、1検体30分程度で1キログラム当たり数ベクレル単位まで検出できる。前田理・分析サービス部長は「すぐに結果がほしいという依頼が多く、時間との闘いだ」と話す。
福島原発事故が起こる前、外部からの放射性物質の検査依頼は一件もなかった。しかし、最近は東京都内の保育園や学校の給食用の食材が届くこともあり、検査希望は広がっている。
「東都生協」(東京都世田谷区)もチェルノブイリ原発事故を機に測定器を購入したが、福島原発事故後は自ら販売している商品を連日、測定している。事故直後は微量なレベルまで測定していたため、1日4~5件が精いっぱいだった。しかし購入者から「検査数を増やしてほしい」との要望が増え、8月末から測定時間を短縮して1日当たりの検査数を2倍に増やした。
小売り現場にとっては、検査結果をどう消費者に伝えるかも課題だ。「余計な心配はかけたくない」として、国の暫定規制値を超えなければ、何も表示しないケースもある。ただ東都生協は、規制値以下でも、すべての数値を毎週ホームページ上で公表している。新谷喜久夫・安全・品質管理部長は「風評被害を防ぐためにも詳細な情報提供は重要だ」と指摘する。
*
食品の安全に対する消費者の不安は依然強い。だが、食品に含まれる放射性物質の汚染レベルは実際にどれぐらいなのだろうか。
原発事故以降、全国の自治体が食品の放射性物質を測定しており、厚生労働省が集計している。それによると、9月初旬で計約1万8000件の野菜や肉、魚などが検査され、9月7日時点で、国の規制値を超えたのは3・3%に当たる611件だった。規制値を超えた割合は4月末で9・1%だったのが、5月末で7・6%、6月末で6・3%と、月ごとに減少しているのが実態だ。
汚染物質では、原発事故直後は放射性ヨウ素がほとんどだったが、7月以降、ヨウ素が規制値を超えて検出されるケースはなくなり、規制値超えはほぼセシウムだけになっている。ヨウ素の半減期は8日で、計算上は3カ月でほぼ消える。環境中のヨウ素の減少が食品汚染の縮小につながっているといえる。
規制値を超えた食品の種類では、4~5月はホウレンソウやブロッコリー、コマツナなど野菜類が多く、6月以降はワカサギ、ウグイ、カレイなどの魚が増えた。魚の現状はどうなのだろうか。
厚労省のまとめでは、9月7日時点で全国で約1800件の水産物が検査され、イカナゴ、メバル、ウグイ、アユなど99件から規制値を超える放射性物質が検出されている。原発事故直後、茨城県で漁獲された小魚、コウナゴから高濃度のヨウ素が検出されたが、7月19日に福島県産の海藻、アラメから1キログラム当たり20ベクレル(規制値は2000ベクレル)のヨウ素が検出されたのを最後にヨウ素の検出例はない。
水産物も高濃度汚染の割合は減少しているが、今後、懸念されるのは海底にすむ魚介類だ。半減期が長いセシウムが徐々に海底に沈むとみられているためで、「海底にすむヒラメ、カレイ、ウニなどのモニタリング検査が重要になる」と、水産総合研究センターは話す。夏以降、福島県内の河川や湖で取れる淡水魚の規制値超えが目立つが、これもセシウムに汚染されたコケなどを食べた影響とみられる。
一方、水道水の現状はどうか。福島、茨城、千葉、東京、栃木の5都県の21浄水場の水道水からは、原発事故直後の3月下旬まで、乳児の暫定規制値(1キログラム当たり100ベクレル)を超えるヨウ素が検出された。福島原発の建屋が爆発し、外に飛び散ったヨウ素が川や浄水場に降下したのが原因だ。しかし、4月に入ると急激にヨウ素の濃度は下がり、「5月以降は検出されず、飲んでも全く問題ないレベルになった」(厚労省水道課)。
*
では、福島原発事故以降、私たちが食品から摂取した被ばく量の総計はどれくらいに上るのだろう。厚労省薬事・食品衛生審議会作業グループが、日本人の食品からの平均摂取量と原発事故後の食品の実態を考慮した推定値を出している。それによると、事故直後から6月末までの4カ月間で、食品から取り込んだ放射性ヨウ素とセシウムの被ばく量は、全年齢平均で0・034ミリシーベルト(小児は0・065ミリシーベルト)。この4カ月間の状態が今後も続くと仮定すると、年間被ばく量は約0・1ミリシーベルトとなる。
この数値は、国の暫定規制値の根拠となっているセシウムの上限値(年間5ミリシーベルト)に比べ、非常に低い。食の安全問題に詳しい消費生活コンサルタントの森田満樹さんは「食品からの放射性物質の取り込み量は、予想以上に少なかった印象だ」と指摘。そのうえで「淡水魚や野生キノコなど、今も規制値を超えている例があり、検査結果には今後も目を光らせることが大切」と強調する。【下桐実雅子、小島正美】=次回は13日掲載
http://mainichi.jp/life/food/news/20110909ddm013040029000c.html
野菜や茶葉、牛肉などが連日、宅配便で届けられる。千葉県四街道市の食品検査会社「ハウス食品分析テクノサービス」。86年のチェルノブイリ原発事故を機に、ハウス食品が食品の安全確保のため導入した放射性物質の測定器がある。東京電力福島第1原発事故以降、全国の自治体や食品会社から続々と検査依頼が舞い込み、測定器はフル稼働だ。
検査依頼品が届くと、担当の職員はすぐに食品を細かく刻み、専用容器に入れて、厚い鉛で覆われた測定器の内部に投入。測定データはコンピューターの画面上に表示される。
測定時間が長いほど検出感度は上がるが、1検体30分程度で1キログラム当たり数ベクレル単位まで検出できる。前田理・分析サービス部長は「すぐに結果がほしいという依頼が多く、時間との闘いだ」と話す。
福島原発事故が起こる前、外部からの放射性物質の検査依頼は一件もなかった。しかし、最近は東京都内の保育園や学校の給食用の食材が届くこともあり、検査希望は広がっている。
「東都生協」(東京都世田谷区)もチェルノブイリ原発事故を機に測定器を購入したが、福島原発事故後は自ら販売している商品を連日、測定している。事故直後は微量なレベルまで測定していたため、1日4~5件が精いっぱいだった。しかし購入者から「検査数を増やしてほしい」との要望が増え、8月末から測定時間を短縮して1日当たりの検査数を2倍に増やした。
小売り現場にとっては、検査結果をどう消費者に伝えるかも課題だ。「余計な心配はかけたくない」として、国の暫定規制値を超えなければ、何も表示しないケースもある。ただ東都生協は、規制値以下でも、すべての数値を毎週ホームページ上で公表している。新谷喜久夫・安全・品質管理部長は「風評被害を防ぐためにも詳細な情報提供は重要だ」と指摘する。
*
食品の安全に対する消費者の不安は依然強い。だが、食品に含まれる放射性物質の汚染レベルは実際にどれぐらいなのだろうか。
原発事故以降、全国の自治体が食品の放射性物質を測定しており、厚生労働省が集計している。それによると、9月初旬で計約1万8000件の野菜や肉、魚などが検査され、9月7日時点で、国の規制値を超えたのは3・3%に当たる611件だった。規制値を超えた割合は4月末で9・1%だったのが、5月末で7・6%、6月末で6・3%と、月ごとに減少しているのが実態だ。
汚染物質では、原発事故直後は放射性ヨウ素がほとんどだったが、7月以降、ヨウ素が規制値を超えて検出されるケースはなくなり、規制値超えはほぼセシウムだけになっている。ヨウ素の半減期は8日で、計算上は3カ月でほぼ消える。環境中のヨウ素の減少が食品汚染の縮小につながっているといえる。
規制値を超えた食品の種類では、4~5月はホウレンソウやブロッコリー、コマツナなど野菜類が多く、6月以降はワカサギ、ウグイ、カレイなどの魚が増えた。魚の現状はどうなのだろうか。
厚労省のまとめでは、9月7日時点で全国で約1800件の水産物が検査され、イカナゴ、メバル、ウグイ、アユなど99件から規制値を超える放射性物質が検出されている。原発事故直後、茨城県で漁獲された小魚、コウナゴから高濃度のヨウ素が検出されたが、7月19日に福島県産の海藻、アラメから1キログラム当たり20ベクレル(規制値は2000ベクレル)のヨウ素が検出されたのを最後にヨウ素の検出例はない。
水産物も高濃度汚染の割合は減少しているが、今後、懸念されるのは海底にすむ魚介類だ。半減期が長いセシウムが徐々に海底に沈むとみられているためで、「海底にすむヒラメ、カレイ、ウニなどのモニタリング検査が重要になる」と、水産総合研究センターは話す。夏以降、福島県内の河川や湖で取れる淡水魚の規制値超えが目立つが、これもセシウムに汚染されたコケなどを食べた影響とみられる。
一方、水道水の現状はどうか。福島、茨城、千葉、東京、栃木の5都県の21浄水場の水道水からは、原発事故直後の3月下旬まで、乳児の暫定規制値(1キログラム当たり100ベクレル)を超えるヨウ素が検出された。福島原発の建屋が爆発し、外に飛び散ったヨウ素が川や浄水場に降下したのが原因だ。しかし、4月に入ると急激にヨウ素の濃度は下がり、「5月以降は検出されず、飲んでも全く問題ないレベルになった」(厚労省水道課)。
*
では、福島原発事故以降、私たちが食品から摂取した被ばく量の総計はどれくらいに上るのだろう。厚労省薬事・食品衛生審議会作業グループが、日本人の食品からの平均摂取量と原発事故後の食品の実態を考慮した推定値を出している。それによると、事故直後から6月末までの4カ月間で、食品から取り込んだ放射性ヨウ素とセシウムの被ばく量は、全年齢平均で0・034ミリシーベルト(小児は0・065ミリシーベルト)。この4カ月間の状態が今後も続くと仮定すると、年間被ばく量は約0・1ミリシーベルトとなる。
この数値は、国の暫定規制値の根拠となっているセシウムの上限値(年間5ミリシーベルト)に比べ、非常に低い。食の安全問題に詳しい消費生活コンサルタントの森田満樹さんは「食品からの放射性物質の取り込み量は、予想以上に少なかった印象だ」と指摘。そのうえで「淡水魚や野生キノコなど、今も規制値を超えている例があり、検査結果には今後も目を光らせることが大切」と強調する。【下桐実雅子、小島正美】=次回は13日掲載
http://mainichi.jp/life/food/news/20110909ddm013040029000c.html
食品表示・賞味期限のウラ側―食品の読み方「常識・非常識」
posted with amazlet at 11.09.19
岩館 博人
ぱる出版
売り上げランキング: 277110
ぱる出版
売り上げランキング: 277110
【精米】新潟県魚沼産 白米 こしひかり 5kg 平成23年度産 新米
posted with amazlet at 11.09.19
神明 (2011-09-30)
売り上げランキング: 439
売り上げランキング: 439


