前日に引き続き、お休みをいただき、TOHOシネマズ梅田へ!

さてさて。ウィル・スミス騒動も相まって、アカデミー賞の余韻冷めやらぬ中ですが、今回は、

今年のアカデミー賞 脚本賞を受賞した、「ベルファスト」だ---!

 

筆者はこの日も、前日に引き続きお休みをいただき、梅田にて「ベルファスト」、その後心斎橋に移動して「ロスバンド」と観てきましたー。

 

今回の「ベルファスト」、監督は俳優としてもキャリア十分なケネス・ブラナーです。そして、脚本も彼のものなので、改めまして、ケネス・ブラナー、オスカー受賞おめでとう!ってことで、鑑賞後から大分と時間が経ちましたが笑、当ブログにて祝辞の代わりとさせていただきますー。

 

 

アカデミー作品賞獲って欲しかった!

鑑賞後、筆者は涙×2だった本作、個人的には作品賞獲って欲しかったですね!そこは残念。。(当ブログでも紹介した、「コーダ あいのうた」も素晴らしい映画でしたが・・・)

 

でも、1つ声を大にして言いたいのは、このブログを書いている段階で、筆者の中では今年NO1映画ですね!とても瑞々しく力強い、それでいて今(ウクライナ侵攻)の時代にも問いかける、見事な作品かと思います!

 

脚本賞も納得のストーリーテリングとセリフ回し!

この映画冒頭から秀逸で、これがラストシーンに繋がるんですが、カラーで現代のベルファストの街並みを捉えます。港、美術館、塀のPOPアート等々・・・。その塀をカメラが越えると、そこには1969年のベルファストがモノクロで広がる・・・といった見事なオープニング。現代はカラー。過去はモノクロ。そして、流れるBGMはベルファスト出身の偉大なシンガー・ソングライター、ヴァンモリソンの唄。。完璧です笑。
 
俳優陣も見事。ベルファスト出身・縁のある俳優たちで固められているのも見事ですが、やはり素晴らしいのは007のM役でお馴染みのジュディ・デンチ(お祖母ちゃん)とキアラン・ハインズ(お祖父ちゃん)。まさに貫禄の演技。
彼らが、主人公の9歳の少年・バディに語りかける人生訓の数々は、どれをとっても名セリフ・名シーンで、もはや反則技レベルです笑
 
 
そして、ケネスブラナーの脚本ですよね。流石、シェイクスピア舞台俳優としてのキャリアが長い彼らしく、セリフ回しがいちいち上手い!上記、2人の人生訓は最高の一言ですし、もちろん
お父さん・お母さん、そしてクラスの好きな娘とのやり取りもイチイチ楽しいですー。
 

監督の半自伝的作品である本作は・・・

ケネスブラナー自身、ベルファスト出身。そして1969年当時、9歳。ということで、主人公・バディが監督自身の投影であることは間違いないんですが、今回、ペドロ・アルモドヴァル監督が「オートフィクション(自伝的フィクション)」と呼ぶスタイルを意識して、ケネスブラナーは「ベルファスト」を作り上げたそうです。

 

ちなみに、アルモドヴァル監督がこのスタイルを実践して撮った作品が「ペイン・アンド・グローリー」(2019)だそうです。

母親との関係を見つめ続ける、アルモドヴァル監督の力作です。ラストの捻りも、よかったですよね◎

てことで、彼の体験が元になっていることは間違いんないんだが、そこには創作も多分に含まれていて・・・という本作。まぁ、お父ちゃんとお母さんが恰好良すぎでしょ、というのはある笑。

 

ただ、面白いのはモノクロとカラーの使い方でして。

モノクロの世界にあるカラー描写とは

この映画、前述の通り、現代はカラー・過去はモノクロで統一されているのですが、例外があって、それはバディが観る映画・舞台の世界はカラーで鮮やかに色づきます。
 
劇中で観ている「チキ・チキ・バン・バン」(1968)、「恐竜100万年」(1966)は少年バディをカラフルな別世界に連れて行ってくれます。
一方、テレビで観ているウェスタンやスリラーは白黒のまま。そもそも白黒で放送されていたものですが、ケネスブラナー曰く、「当時のベルファストはモノクロームの世界に観えた」だそう。
 
こういったところも、オートフィクションに絶妙なアレンジを加えてますよね♪上手い。

 

(この辺りからネタバレ)ヴァン・モリソンの唄と「エバー・ラスティングラブ」!

で、当時のベルファストの息遣いを伝えてくれるもう一つの要素が、ヴァン・モリソンの唄ですよねー♪ マジで全編、彼の唄でご機嫌、と言ってよいです◎ 子供たちがストリートで遊び、大人たちは唄と踊りとお酒が好きで・・・といったベルファストのBGMとしてこれ以上のものはないでしょう!

 

で、もう1つ、筆者が「反則!」と思ったのが、お祖父ちゃんが亡くなった後、「湿っぽく送るのはよそう」と言って、お父さんが唄って・お母さんと踊る、「エバー・ラスティングラブ!」(こちらはラブ・アフェアの曲)

 

はい、これで筆者はやられました笑。素晴らしい!

お祖父ちゃんへの永遠の愛、辛い中でも家族への愛を捧げるお父さんの気持ちが見事に表現されてて、思わず、「反則やん!」と筆者は心の中で叫びました笑

ラストのテロップに涙×2・・・

その後、バディ一家はベルファストを去ることになり、(見送るジュディデンチ=お祖母ちゃんがまたいい)、「ああ、いい映画観たなー」というところで、モノクロから画面全体がカラーに切り替わり、映画冒頭のように現代のベルファストを映します。
 
そこでベルファストの港を背景にテロップ。
 
「この映画を、ベルファストに残った者、去った者、そして、命を落とした者に捧ぐ」
 
・・・筆者はここで、涙を堪えきれませんでしたよ。。
なんて温かい追悼、そして故郷への思い・・・色々な感情が入り混じって、涙×2でした。。
 
こんな風に故郷への思いを伝えられる映画監督が羨ましい・・・
 
文句なし!
今年暫定1位!!!(1/60 配信作品・旧作含む)
 

 


 

お休みをいただき、テアトル梅田へ!

ご無沙汰してます。さてさて。筆者もバタバタしている中、久しぶりの更新となりました(汗)。

今回は、今泉力哉監督/城定秀夫脚本の「猫は逃げた」だー。

 

筆者はこの日、お休みをいただき、1人の時間を満喫するべく、ミニシアターに籠ると決めとりました。興味のあった映画が「テアトル梅田」で何本か上映されとりまして、その1作が「猫は逃げた」でした。

 

ちなみに、当日の鑑賞ラインナップは

①猫は逃げた(本命)

②林檎とポラロイド

③ポゼッサー

でした。

 

前にも書きましたかね、テアトルグループの会員(年会費1,000円)・TCGメンバーズになると、火曜・木曜は映画1本1,100円という破格で観れちゃうんですよね。つまり、筆者はもちろんメンバーなので、上記3本を3,300円で鑑賞してきましたー(安い笑)。

 

今泉・城定両監督のコラボ企画第2弾

てことですよね。

コラボ第1弾はこの2週間前くらいに公開になった、城定秀夫監督/今泉力哉脚本の「愛なのに」。両監督が監督と脚本を「猫は逃げた」の反対で制作した映画ですよね。

 

で、この「愛なのに」が面白かったんですよね。宇多丸師匠が「セックスコメディ」という表現してましたが、正にその通りで。その部分の面白さは手練れの2人なので、もちろん担保されてましたし、そのセックスに翻弄されながらも、セックスなしの純愛にかけてみる2人・・・というのがおかしくも爽やかに描かれてました!この辺りは城定監督のカラーを感じましたね。

監督・脚本の安定感もだが、役者陣の演技が見事

今回の企画、監督・脚本を担当する両監督を入れ替えてのコラボ2作の企画で、「この2人が組めば、そりゃ面白いっしょ」という安定感以上に、筆者は役者陣の演技が2作とも素晴らしいいと思いました!
 
肝はどちらの映画もセックスシーンで、本来なら濡れ場での「体当たり演技」にスポットが当たりそうなもんですが、両作ともそれは本質ではなく、大事なのはセックスの前後のシーンです。
 
とくに「後」のシーンの間抜けというか、シニカルというか、引いた目線での描き方は流石の両監督、素晴らしいです。(「愛してる」とかしょーもないセリフ出てきませんよ!笑)。そこにあるのは本当にあられもない男女の姿。
 
ただ、いくら脚本・演出が良くても、役者さんがそれを体現しなくちゃいけないわけで・・
そういう意味では、両作ともそのシーンを、見事に演じきった役者陣には拍手ですね。
 
ちなみに、「愛なのに」の個人的MVPは中島歩さん
 
いやー、この人、「受け」の演技が最高やね。
最近だと、「いとみち」のメイド喫茶の店長や、「偶然と想像」の1パート目の若きCEOかなんかを演じてました。今回の役どころは「偶然と想像」の方ですね。少しとぼけた2枚目。
今後、要チェックな俳優さんです!

で、「猫は逃げた」は・・・??

前置き長くなり、すみません(汗)。

じゃ、今回のコラボ第2弾はどうだったかといいますと・・・・個人的には第1弾超えですね!

(今作は今泉監督パワーかな?エンドロールでは脚本にもクレジットされてたし・・)

 

「愛なのに」がセックスを超えた「純愛」を描いているとしたら、「猫は逃げた」はセックスを超えた「暮らし」を描いていると思うのです。

 

前者は勢いもある分、すごく笑えて楽しめるのですが、後者は控えめながら、テーマの射程がよりグッと広がったというか。主人公夫婦のなんともいえない関係性=男女の関係性が、すごく秀逸に描かれていると思いました。

 

(ここからネタバレ含む)

 

この感覚は最近観た「フレンチ・ディスパッチ」にもある意味似ていると思っていて。

 

あの映画はウェス・アンダーソンが「人々の創作活動への情熱と希望は続く」ことを宣言した力作ですが、今作は今泉監督が「(猫が媒介する)人々の暮らし(出会いと別れ、さらに新たな出会いまで)・生活・営みは続く」ことをナチュラルに、しかし、深ーく捉えた秀作だと思うんですよね。前者は編集長が、後者は猫が亡くなりますしね。

 

それを、バキバキに決まった絵で魅せるウェスアンダーソンと、何気ないカットで切り取って魅せる今泉監督と、アプローチは大きく違うわけですが・・・

なんかそんな輪廻・再生的なところに両監督の共通点を見出し、本作に感動してしまった筆者でした。

 

もちろん、そんな堅苦しい映画ではなく、無茶苦茶リラックスして楽しく観れます◎

ラブホでの鏡演出/亜子の足のマッサージが上手いのは誰?/クライマックスで登場人物全員集合!の安定の今泉印↓/etc・・・

今泉監督の映画の雰囲気をきっちりと楽しめます!

そして、今作のベストアクトは・・・

個人的に、手島実優さんですね◎ 
筆者は初めて知りましたが、本人が猫のようなところもある、素晴らしい演技だったかと思います。小道具のハリボも効いてましたよねー。
(↓↓↓主役の毎熊克哉さんは、孤狼の血レベル2の存在感しかり、この俳優さんも注目です!)
 
てことで、ミニシアター系バリバリの本作、その射程とテーマはビッグで◎
是非×2劇場でウォッチしてください!!
(しかし、今年の邦画、面白いの多いな・・・)
 
今年暫定10位(10/52 配信作品・旧作含む)
 

 


 

いざ、ウェス・アンダーソン最新作へ!

さぁ2月1発目の紹介映画は、先日宇多丸師匠課題作品にもなった、ウェス・アンダーソン監督最新作、「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(以下、略)」だー!

 

いやいや、来ましたウェス・アンダーソン。筆者は1年前に「グランド・ブダペスト・ホテル(2014)を鑑賞したのが、恥ずかしながら遅まきながらウェスアンダーソン初体験でした。

 

そのときの結論としては・・・「乗れねー、この世界観」でした(笑)

洒落てます。演者も素晴らしいです。ただ初見だったので、ストーリーが平板に感じたのか、当時の筆者のメモにも戸惑いが感じられます笑。

 

それから1年のときが流れ、「フレンチ・ディスパッチ」の公開を知り、このままウェスアンダーソンを「グランド・ブダペスト・ホテル」だけで苦手監督のレッテルを貼るのもどうかと思い、過去作を予習してから、「フレンチ・ディスパッチ」に対峙することに決めました。(←対決かよ笑)

予習作は「天才マックスの世界」と「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」

上記2作にしましたー。前者が98年の出世作、後者が01年の初期代表作ですね。

 

結論は・・・「やっぱり、乗れねー」(笑)でした!

マックスは身勝手なストーカーだし、テネンバウムズも直線的なストーリーがないのがなぁ・・・という感じでした汗。

 

ただ、天才マックスのラストは好きだし、音楽のチョイスとか評判なだけあって◎だと思いました。テネンバウムズはマックスから画作りのゴージャス感は格段に上がってるし、オープニングの3兄弟の紹介とかテンション上がるんですが、監督の様式美優先についていけず・・・でしたね。

 

ただ、映画は幕が下りるまで、何が起こるかわかならい!(←意味不明)てことで、レイトショーのイオン茨木にディスパッチしに駆け込みました!

まさかの貸し切り(笑)

平日深夜とはいえ、こんなことある!?と笑。これは映画の神がウェスとのタイマンをご所望だとの啓示と受け取り、200~300のキャパのシアターで1人対峙してまいりました!

「読後感」、爽やか!楽しめた!!

で、筆者もドキドキの結論は、意外や意外笑、楽しめました!相変わらず情報量は洪水でしたけどね汗。個人的には、字幕は几帳面に目で追わない方が良いと思いましたー。

 

以下、箇条書きにてどこが良かったのか私見をば。

 

・オムニバス形式が観やすかったのは間違いない。また、何れかのエピソードor登場人物に感情移入できる可能性大。

・基本的に画面の作りこみはハンパないが、どのエピソードにも想定以上の画作り・仕掛けが出てきて楽しい。(ラストのエピソードのアニメも筆者はあり派◎ この辺りで好みが分かれるか。。)

・ラストのエピソード、シェフの述懐を書く・書かないで打ち合わせする編集長とライターのやり取りが、互いの信頼感を端的に表現してて好感が持てた!

・ラストオブラストで、編集長の死亡記事を書くシーンは非常に良かった!

 

↓↓↓(以下、ネタバレ考察)

 

ラストシーンにウェスアンダーソンが込めた想いとは・・・

で、そのラストオブラスト。ビル・マーレイ演じる編集長が亡くなり、関係者が死亡記事を書こうとワイガヤ。。
 
ここが爽やかで良かったですね◎。
周囲に影響を与える偉大な人(編集長)が亡くなっても、著名な創作物(雑誌・フレンチディスパッチ)が無くなっても、その影響を受けた人たちの創作活動は続く。。
 
まるで監督自身が偉大な先人たちの影響を受けて、映画製作への情熱を燃やしている姿の投影のようでもありましたし、人間の創作というものは、絶えることはないのだという監督の願いと希望が込められているようなラストでした。
 
なかなか乙なことするね、ウェスアンダーソン!笑
 

旅だね・・・映画は・・・

と、ここまで書いてきて、最近筆者が思うこと。それは映画が「心の旅」だということ。

映画鑑賞は、観た人のその時々の心情がリターンされる側面はあると思っていて。

 

今回ウェスアンダーソンの新作を筆者が楽しめたり、上記のような読み解きをしたのも、そもそも筆者がそういう想いや願望を近頃持っているだけの話かも知れませんよね笑。

だから、決して上からでも何でもなく、この種の映画を「面白くない」と感じる人がいても、それはそれだよなーと思います。そこが、映画を観る行為自体がある種の「心の旅」であり、その人の年齢や経験・時代・気分によって感想に変化があるもの当然だと思う所以です。(うまくまとまんねぇな笑)

 

すみません、小僧が生言っておりますが、今週はこんなところですかねー。

 
とにもかくにも、洒落乙な一作であることは間違いない!
是非×2劇場でウォッチしてください!!
 
今年暫定11位(11/28 配信作品・旧作含む)
 

 


 

土曜の夜、外出が許されたなら・・・!

皆さんはどこに行きますかね?

筆者はそう・・・・・今は、映画に行きます!(飲みには行きにくいからね・・)

 

当ブログでは109シネマズエキスポシティを紹介することが多かったですが、今回は久ーしぶりに、イオン茨木に上陸しました!

 

そして、今回鑑賞するのは、爽やかと巷で評判な、「コーダ あいのうた」だー!!

名作「いとみち」との共通点とは

筆者はリメイク元の映画である「エール!」(2014)は未見なので、まっさらな状態で観たのですが、結論、本当に爽やかな青春映画でした!

そして、「他者を思っての表現こそが貴い」といった点は、最近当ブログでも紹介した、「いとみち」(横浜聡子監督)を想起させましたー。

 

↓監督はシアン・ヘダーさん。女性監督同士であることも、「いとみち」との共通点ですよね。

 

 

ちなみに、本作、21年4月のサンダンス映画祭で同映画祭史上最高額の26億円で配給権が落札されたそうです。巷での評価の高さをうかがわせます。

他者・家族と主人公の関係、「コーダ」というタイトル

もう開始から、青春映画バリバリな本作。漁船の上で歌っている主人公・ルビー。どうやら父と兄は耳が聴こえないらしい。。そんなお父さんでも楽しめる音楽はラップ。ベースの重低音が身体に伝わるから。「なるほど」と面白かったです。そんな家族を少し恥ずかしいと思うルビー。。。
 
そこからは、キラキラしたシーンと、そして家族との愛すべきも切ない・葛藤の時間が流れる、青春映画のシーンの連続。それが音楽劇であるという。
もう、筆者(おっさん)の大好物じゃないですか!
もう書きたいことあり過ぎるので、画像とともにはしょっていきます!笑
 
↓気になる男子・マイルズと同じ合唱部に入り、デュエットをすることになった主人公ルビー。
 正面だと気恥ずかしいので、背中合わせになるところとか、映画的画作りとしても◎
 このあと、耳の不自由な家族ならでは?の笑えるエピソードが待ってます♪

 

青春映画の大事なマターは他者との出会いを通しての成長。マイルズ以上にビンビン 

 なのが、V先生!

 いやV先生、最高でしょ!どのシーンも最高で、もっと観ていたい。

 演じる俳優さんはエウジェニオ・ダーベスさん。メキシコの俳優/コメディアンさんです♪

↓家族とのシーンも◎ 終盤に向けて胸熱シーンが満載の本作。

 

 一番は、お父さんが、娘の唄の上手さを他者の反応で知るシーン。

 ここ、劇場が突如「無音」となり、ルビーの家族はルビーの歌唱がどう見えているか、

 雄弁に語ります。

 

 個人的には兄貴とのこのシーンも良かった◎

 しょーもない映画だとしらけるシーンですが、映画の中で重ねてきた家族との関係、兄妹の

 思いがあるので、すっと降りてきたシーンでした。

「CODA(コーダ)」というタイトルもバッチリですよね◎

 

「Children of Deaf Adults」の頭文字であり、楽曲・楽章の終結部の意味もあります。

後者の意味が泣かせますよね。新たな世界に飛び込むべき主人公。そのためには家族との今までの関係を一旦「終結」させなければならない・・・泣

クライマックスの試験での歌唱シーン♪

このシーンが当ブログで筆者が一番語りたかったシーンです。

 

唄はジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」。

 

何が感動的かというと、言わずもがな、途中からルビーが2階席に座っている家族のために、手話を交えて歌いだすところです。

 

ベタと言われればそうなんですが、やはりグッとくる。

それは前述しましたが、このシーンが、「他者を思っての表現こそが貴い」ことを見事に表したシーンだからなのだと思います。

 

ルビーがV先生に「歌うとどんな気持ち?」と聞かれて、手話で答えるシーンが序盤でありました。そこと繋がっている、彼女の豊かな表現の源泉も表したシーンでした。お見事◎

 

(蛇足)ラストシーンの手の意味とは??

ASL(アメリカの手話)で「I REALLY LOVE YOU」の意です。
 
この映画は手話のアップで終わるべき、そしてこれしかないという手話。
素晴らしいエンディングでございました!
 
・・・他にも、発表会でのボウイの「スターマン」の選曲の渋さとか、人それぞれに語りたいこと満載になるであろう、この映画。
 
とにもかくにも、音楽劇です!
是非×2劇場でウォッチしてください!!
 
今年暫定4位(4/17 配信作品・旧作含む)
 

 


 

「偶然と想像」を観に、九条へ上陸!

さてさて、今年の当ブログのレビューも「ベイビーわるきゅーれ」「いとみち」「猿楽町で会いましょう」と続き、4本目も邦画です。

そして、4本目にして真打ち登場!4本目は、今をときめく濱口竜介監督の「偶然と想像」だー!!

 

そして、これがまた大阪だと1館でしかやってなかったんですよねー。

マジか・・・。アカデミー賞視野に入っている監督だぞ。。

 

てことで、愚痴りながらも、新たな映画館を開拓する楽しみも交えつつ、九条は「シネ・ヌーヴォ」に行ってまいりました!

 

↓外観はこんな感じ。座席は70くらいでしたね。映画好きっぽい人たちで、半分くらい埋まってた印象ですー。男女半々くらいでしたかね。

ドライブマイカー リベンジ鑑賞!

濱口監督といえば、「ドライブ・マイ・カー」ですよね。なんでも世界で絶賛で、あのオバマ元大統領も好きだとか。。

 

ただ、筆者は昨年観たのですが、演技の稽古シーンとか運転シーンとか確かに面白いのですが、

・村上春樹原作らしく、SEXとクリエイティビティをやたら結びつけたがる傾向

・ラストの主人公の心情吐露が説明臭くてくどい

という2点で、あまり楽しめなかったんですよね笑。期待値も高かっただけに。

 

そういう意味では、本作は、「濱口監督初心者も観やすい」との情報を得ての、リベンジ鑑賞でもあるわけなのでしたー。

いや、やばいっしょ、濱口監督!

さて、結論から申し上げますと、大傑作かと思います!

いやー、監督の新たな映画を作ろうとする心意気に感動しました!

 

なんてんでしょう。演じるとは何か、そして、そこから浮かびあがってくる、こちらを揺さぶるシーンの現出/ある意味下世話なシチュエーションの「駄話」を、色々な人に色々な解釈を与えている余地もすごい。。/だめですね、うまく言語化できない笑笑

 

この作品を論理的に称賛した評は宇多丸師匠はじめ、色々な人が言及しているので、ググってみてください!笑(←考察放棄)

 

ここでは、日経の古賀編集員の評をご紹介。

「一見何気ない日常のスケッチ。とりとめのない会話はまるで現実のよう。でもよく見ると登場人物はみな何かを演じている。人間が演じることの日常性を示しつつ、そこに俳優の生身を差し出すことで虚構と現実の境目を消す。」

 

そうなんです!1話目、「何をみさせられてるんだろう?」が入口なのですが、2話目くらいから、「何かとんでもないことがスクリーン上で起きている」・・・と思えてくる。そして3話目では登場人物の「演技」に引き込まれていく・・・・境目が消えた世界に没入する感じ。

いやはや、すげー映画です笑

 

3つのエピソードの順番の妙も相まって・・・

この映画、40分前後の3つのお話から成っている、オムニバス映画なのですが、3つが直接的にリンクするわけではありません。ただ、その順番が素晴らしいと思いました。

 

1話目:芽衣子と元カレの痴話げんかが中心。芽衣子の女友達の最近気になった男性が元カレという、割と入りやすいシチュエーション。つかみとして上手い。

 

そして、劇中2回ある「ショッキング」な演出。

(他者が画面に割り込んできた!/不自然な芽衣子へのズーム)

これが、後の2話でも、「いつあの演出出てくるのかな?」とこちらに思わせ、緊張感が最後まで持続する。

 

2話目:瀬川教授と奈緒の教授室での会話が中心。ハニートラップだとか、エロいシーンの朗読とか、フィクション性は高いが、2話目なので、入り込みやすい。

ここで、朗読シーンを出してくるあたりもお上手!

 

3話目:夏子とあやの「偶然?」の再会からの、もはや登場人物同士が明らかに「演じて」いるという作り。一番フィクション性が高いが、このあたりから、スクリーンからの情緒的出力はマックスに。

 

てことで、お話の順番が違えば、「なんだか乗れないなー」と思ってしまいかねないところを、終わって気付けば、見事に濱口監督の術中にはまっていた・・・そんな印象です。

 

それぞれのエピソードのラストの読み解き

1話目:モデルの芽衣子は喫茶店を出た後、工事現場の上の青空を見上げます。そこには赤い花も・・・。1つの恋=自分を縛っていたものから解き放たれたことで、次の出会いを期待させるようなラストでした。
 
2話目:奈緒から別れ際、キスをされた佐々木はボーっとしたまま、余韻&不倫の思い出に浸るような様子。その佐々木を乗せたバスは、暗く長いトンネルへと進んでいく・・・。これからも奈緒の「縛り」から逃れらないような佐々木の暗雲たる行先を予兆させるようなラストでした。
1話目と対になってますね。
 
3話目:夏子とあやは仙台駅前のペデストリアン・デッキで、あやが同級生の名前を思い出したということで抱き合います。その名前は「きぼう」。
まさに2人の人生交差点から生まれた希望、それがこの映画の、「偶然と想像」が成せるラストオブラストとなっています。
優しい♪そして、爽やか♪
 
て、ことで、語っても語りつくせない、ド級の作品が九条で観れるとは!
 
・・・それでも冒頭の濱口監督のコメントにあるように、リラックスして楽しむのがいいかと◎
会話劇が好きな人、おススメです!
 
そして、今年筆者の暫定NO2映画です!
(1位は「ベイビーわるきゅーれ」です。すみません、タランティーノ好きなもんで・・・。
でも「ベイビー」も「偶然と想像」も、駄話が物語の中心というところは共通点あるなー)
 
・・・「ドライブ・マイ・カー」もリベンジしなきゃね、これは笑