忘らるる
身をば思はず
誓ひてし
人の命の
惜しくもあるかな
右近
あなたに忘れ去られる私の身のことは何とも思わない。
私を愛すると誓ったあなたに神罰が下って命が失われるのが惜しいの。
・忘らるる身
忘れられる私の身
・誓ひ
神にかけて約束すること。
・人の命
人は相手
忘らるる身 自分←→誓ひてし人 相手
・惜し
愛し(オシ)とも書く。
大切なものを失うのが惜しいという気持ち。
◯山口志道の解釈
この歌は男女がお互いに一生忘れないでいようと、命をかけて約束したのに、相手の男が忘れてしまったので、それを悲しんで詠んだ歌を男に送った歌である。
初めに命をかけて、お互いに忘れないと約束したけれども、君はいつしかそのことを忘れてしまった。
忘れられた私の自身のかなしさはどうでもいいのだれけど、忘れてしまった君の命が愛おしい。
自分の悲しい想いは捨てて、相手の身を案じた歌なり。
◯一般的な解釈と志道の解釈の違い
一般的な解釈では右近は相手が約束を破ったからそれで神罰が下って命を落とすことを心配しているとしています。
でもそんな縁起でもない歌を好きな相手に送るでしょうか。
僕はちょっと違和感を感じました。
その点、志道は神罰が下るとかいうことには一切触れていません。
でも、触れていないということは志道も同じ考えということなのかな。
うーん。
うーん。
命という言葉には寿命とか死以外にもっと別な解釈があるんじゃないかなと感じました。
あなたはどうですか
◯右近 うこん
十世紀前半の人。
右近少将藤原季縄の娘。
恋多き女性だった。
この百人一首シリーズでは江戸時代の国学者、山口志道著「百首正解」を現代人にもわかるようまとめています。
山口志道は言霊や神代学に精通しており、ひふみ神示の岡本天明や合気道開祖の植芝盛平、大本の出口王仁三郎らに多大な影響を与えています。
鷹屋敷洋史
参考図書
・「百首正解」山口志道
・「言霊秘書 山口志道言霊霊学全集」八幡書店
・「原色小倉百人一首」文英堂
鈴木日出男 山口慎一 依田泰 共著
・「ちはやと覚える百人一首」講談社
漫画 末次由紀 著 あんの秀子
・「千年後の百人一首」リトルモア
清川あさみ+最果タヒ

