難波潟
みじかき芦の
ふしの間も
あはでこのよを
すくしてよとや
伊勢
難波潟の
短い芦の節と節の間のように
そんな短い間でさえも
あなたに逢わないで
この世を過ごしてしまえと
おっしゃるのですか。
・難波潟
難波は現在の大阪周辺
・みじかき芦の
芦はイネ科。
水辺に自生し、節と節の間が短い
・ふしの間
ほんのわずかな時間
・あはで →逢はで
逢わないで
・すくしてよとや→過ぐしてよとや
私にこのまま人生を過ごしてしまえとあの人は言うのか。
◯山口志道の解釈
難波の海辺にある
芦の節の間のように
短き今宵一夜にても
逢わないでいては
夫婦であろうか
いや、夫婦ではない。
・難波潟
ナニハとは波(ナミ)柔(ニハ)を短く言った言葉。
波が平らの意。
ナニハに難波の字を当てたのは波が立つのが難しいから。
諸国の船が難波に集まるのはそれ故。
庭をニハと言うのも庭が柔(ニハ)で平らであるから。
・このよ→この夜
今宵のこと。
・過ぐしてよとや
ヨトヤのヨは夫婦の中の與(ヨ)のこと。
ヨトヤとは夫婦であろうか、いや夫婦ではないの意。
これを「世の中を過ごす」と解釈するのは間違いなり。
既に古今集にこうある。
流れてはいもせの山の中に落つる
吉野の川のよしやヨの中
この歌の「ヨの中」も與の中、つまり男女のことまたは夫婦を指す。
◯一般的な解釈と志道の解釈の違い
最後のヨトヤの解釈が全く違いますね。
難波潟
短き芦の
節の間も
逢はでこの夜を
過ぐして與とや
◎昔の難波の海は芦の群生地だったんですね。
その頃に想いを寄せるとなんとも言えない気持ちになりますね
◯伊勢 877〜938
伊勢守(イセノカミ)藤原継陰(ツグカゲ)の娘
三十六歌仙の一人
歌、美貌に名高く恋多き女性として有名。
歌集に「伊勢集」がある。
この百人一首シリーズでは江戸時代の国学者、山口志道著「百首正解」を現代人にもわかるようまとめています。
山口志道は言霊や神代学に精通しており、ひふみ神示の岡本天明や合気道開祖の植芝盛平、大本の出口王仁三郎らに多大な影響を与えています。
鷹屋敷洋史
参考図書
・「百首正解」山口志道
・「原色小倉百人一首」文英堂
鈴木日出男 山口慎一 依田泰 共著
・「ちはやと覚える百人一首」講談社
漫画 末次由紀 著 あんの秀子
・「千年後の百人一首」リトルモア
清川あさみ+最果タヒ


