●霊も行列を作る?
私達の世界では、ゲームの販売日とか美味しい料理を食べる時など、
よく行列を作って買い求めたりする。

つまり、一人一人が順番が来るまで、じっと待つのである。
実は、霊の世界も行列を作る。
行列と言っても、霊には肉体が無いので、
私達の世界の様な行列にはならないが、
それでも、一人一人が順番が来るまで、じっと待つのである。
それを教えてくれたのは、アメリカの霊能者の方だった。
ある時、彼女は病院主催の、
子供を亡くされた親をケアする会に招待され、
霊視をする事になったという。
当日、指定された病院の会議室に行くと、
そこには10人ほどの霊視希望のお母さん方がいた。
多分いずれも、病気や事故で子供を失った方々だと思われる。
霊能者の方が病院の副院長から紹介されると、
沢山の子供の霊が一気にやってきたという。
多分、もうすでにこの時を待って会議室に来ていたのだろう。
霊能者の方いわく、
子供たちの霊は、母親にメッセージを届けられるこのチャンスを、
心待ちにしていたに違いないなかったはず。
でも、沢山の子供の霊たちは、
霊能者に一気に全員で話しかけたりはしなかったという。
霊能者の方が、一人一人の親とちゃんと話せるように、
その親との会話が終わるまで、
じっと我慢して、霊能者に話しかけるのを待っていた。
それはまるで、自分の順番が来るまで行列を作って待っているかの様だと言う。
つまり、霊もちゃんと順番を待って、我慢して並んでいるのである。
そうは言っても、フライングはあるという。
どういう事かと言うと、
霊能者がこの病院の会議室に着く前に、
例えば、霊能者がまだ自宅にいる時とか、
霊能者が病院に向かって運転している最中に来るという事はあるという。
「今日来る私の母に絶対伝えて欲しい事があるの。」と。
そう言えば、
霊能者の宜保愛子さんも生前よくこんな事を話されていた。
いきなり見知らぬ霊が現れて、「ぜひ息子に忠告して欲しい。」という。
何がなんだか分からいと思っていると、その2時間後位に、
その息子さんと思われる男性が、相談に来たので伝える事が出来た。
またある時は、後ろで本をめくる音がするので、振り向くと、
5歳くらいの男の子が寝転んで熱心に漫画の本を読んでいたという。
すると翌日、5歳の子供を亡くされたというお母さんが相談に見えたので、
あ~、昨日来た子か。と思い、
「お子さんはよく寝転んで漫画を読んでいましたね。」と言った。
話がちょっと脱線したので、元に戻します。
病院の会議室に霊視相談に来られた母親たちの霊視をしていると、
多くの亡くなった子供達がやってきて、
「ママ、僕は元気だから心配しないで。」とか、
「ママ見て見て、わたし歩ける様になったのよ。」とか、
「ぼくは寿命だったんだ。ママそんなに悲しまないで。」
など、亡くなった子供達は、母親に愛の言葉を送ってくるのだという。
子供達は、なんとかして、
「今もママを愛しているよ。」
「今も一緒だよ。」と伝えて欲しいと言ってくるのだ。
こうして無事、病院での霊視相談も終わったのだが、
霊能者の方は、1つだけ気になる事があった。
それは、
今回相談に来てくれた10人のお母さん方に、
亡き子供達の霊がメッセージを伝えに来てくれたのだが、
たった一人の母親の所には、誰も来なかったのである。
相談会が終わり、お母様がたが会議室から出て行った後も、
その母親だけが、ポツンと悲しそうに座ったままだった。
可哀想だが、お子さんの霊が現れないのであれば、
霊能者はどうする事も出来ない。
しかし、霊能者の方が帰ろうとする、その時だった。
ひとりの男の子の霊が現れたという。
すぐに霊視が始まった。
「息子さんは、貴方にお礼を言っています。
ぼくを許してくれてありがとう。
お母さんを苦しませてしまって、ゴメンなさい。」と。
霊視をしていくうちに、
霊能者の方は、どうしてこの子が最後の最後に現れたか、
その理由が分かったと言う。
現れた息子さんの霊は、自分が自殺した時の様子を話した。
そう、
だから自分が自殺した事で、
どんなにかお母さんを苦しませてしまったかを知って謝ったのである。
そして、最後の最後に現れた理由。
それは、
他の相談者たちの前で、
ぼくが自殺したという事で、
母さんが恥(はじ)をかかないように、
母さんが最後、ひとりになるまで、じっと待っていたのである。
「母さん、愛しているよ。」
END