●ピエロの様な服。
これは私がまだアメリカにいる時のお話です。
シアトルの街の海岸沿いに、
BELLTOWN(ベルタウン)という町があります。

そのベルタウンに、生まれて今まで、
ずっとそこを離れず住んでいるという男性が、
霊能者の所に相談に来た事がありました。
私が霊能者の方と出会う直前の話です。
男性は50歳前後で、名前をベルさんと名乗ったそうです。
彼はベルタウンで小さな飲食店を経営し、
その後結婚、3人の子供を育てて何不自由ない生活をしていると言います。
しかし、彼にはたった1つだけ、気になっている事がありました。
それは、自分の両親が、今どこで、何をしている人なのか、
まったく分からないという事です。
なぜなら、彼は産まれた時、
ベルタウンにある公園のベンチに捨てられていたからです。
その後、拾って育ててくれた孤児院の方が、
ベルタウンに捨てられていたので、ベルと名付けたそうです。
男の依頼は、もうお分かりだと思います。
霊能者の方に、自分を産んでくれた両親を霊視して欲しいというものでした。
自分の両親は、どんな人なのか?
今、どこにいるのか?
捨てたのなら、なんで捨てたのか?
さっそく霊視が始まりました。
普通なら、3分位霊視した後、
すぐに相談者の方に霊視結果を伝える所なのですが、
霊視が終わっても、5分くらい霊能者の方は、
伝えようかどうしようか迷っていたそうです。
すると、男性は答えを促す様に、
「先生、私は何を言われても大丈夫です。
どうぞ、言いにくい結果でも良いので教えてください。
私はずっと、この日を夢見ていました。
いつか、両親の気が変わって、私を探しに来るんじゃないか、
いつか、両親が私を迎えに来てくれるんじゃないか。と、
ベルタウンから離れず、ずっとこの地で暮らしていたのです。
どうか教えてください。」
それを聞いて、霊能者の方は彼に全ての事を言う事にしたといいます。
「貴方を見ていると、
大きなテントが見えるのね。
白と赤の大きなテント。
そのテントの中で、貴方は産まれた。
そして、そのテントの中には大きな動物が見えるの。
ゾウとかラクダとか・・・
貴方の両親は、そこで働いて人です。」
そうです。彼(ベルさん)の両親は、
サーカス団で働いていた人だったのです。
アメリカはとても広いです。
サーカス団は、一つの場所に定住せず、
州から州へと、短期間に列車で移動して行く仕事でした。
なので、子供を育てるという余裕など無かったのです。
仮に育てても、満足に学校にも行かせられるかどうか分かりません。
そして、霊能者の方は、言いにくそうに、
「残念ながら、ご両親はもう亡くなられています。」と伝えました。
それを聞いたベルさんは、
「そうですか、父と母は、サーカスで・・・・」
ベルさんは、霊能者の霊視の結果を、納得のいく結果だと言います。
なぜなら、
「実は、先生には言わなかったのですが、
私が公園に捨てられた時、
たった1つだけ手がかりになる様な物がありました。
それは、私が着せられていた産着が、
ピエロの服の様な産着だったのです。
納得出来ました。ありがとうございます。」
最後に、
霊能者の方は、2つの事を彼に伝えました。
①■「ちなみに、そのピエロの様な服は、今でも持っているんですか?」
すると、彼は、「はい。持っています。両親の唯一の手掛かりでしたから」
「そう。良かった。
そのピエロの様な服には、貴方の御両親の思いが入っています。
もし、何か困った事があったり、願いがあったら、
その服にお願いしてみてください。
きっと、貴方の身方になってくれるはずですよ。」
②■「貴方が来ていたというピエロの服。
きっと当時、サーカス団にあった服の中でも、
比較的仕立てが良く、
丈夫で、色も綺麗なピエロの服だったのだと思います。
そして、公園に捨てられていても、すぐに誰かに見つけてもらえる
派手な色のピエロの服だったのだと思いますよ。
少なくとも私には、そこに貴方の両親の愛を感じるんですよ。
息子が自分達よりも、裕福な人に育ててもらえます様に・・・
どうか早く見つけてあげてください。
幸せになるんだよ。」

END