木の枝占い

これは今から30年以上前の話です。


私がアメリカの大学に入学した頃で、

まだ霊能者の方と出会っていない時の事です。


当時、クリスマスでも日本に帰国出来ない留学生を、

自宅に招待してくれるというボランティアがありました。

アメリカでは、そういうボランティア活動が盛んでした。

私は当時70歳位の女性の家に招待されました。

その時の様子は下記で書いた事があったので省きますが、

(●亡くなったアーティストの未練  https://ameblo.jp/hirosu/entry-10766646799.html


彼女は、私が占いに興味あると分かると、

色々な占いの資料等を奥の部屋から出して来てくれて、見せてくれました。

その中に、1つ木の絵の様な図がありました。

それがこれです。(うる覚えですが、確かこんな感じでした)

 

 

 

 

 

彼女に、これは何ですか? と聞くと、

彼女は、これは何とか何とかの占いです。と言った様でしたが、

2回聞いてもよく聞き取れなかったので、とりあえず「木の枝占い」と私は認識しました。


分かったのは、彼女がまだ20歳の頃、

雑誌で紹介されていたという良く当たるという占いに興味を持って、

実際にやってみたものだそうです。

それは、チベットのある若い僧侶が占うもので、

(現在の中国・チベット自治区。) 今はもう亡くなったのかやっていません。

 



ただ名前を伝えただけで、

 

 

後日彼女の住所にこの「木の枝占い」の結果が送られて来たそうです。

 

送られてきた封筒には、この木の枝の絵だけが入っていて、

それ以外には何も入っていなかったそうです。絵の説明もなし。

見た目は、子供がいたずら書きしたような、ただの枯れ木の絵に見えましたが、


よく聞くと、それは驚くべき占いだったのです。

それを聞いた時の衝撃は、今でも忘れられません。





枯れ木の絵をよく見ると、

 

枝分かれしている部分に黒丸で数字が書かれているのです。

 



最初の数字は20。 

 

これは彼女がこの占いをした年齢だったので、すぐ分かったそうです。

次の数字は29。 

 

20が年齢なら、これも29歳という事になります。

29といえば、手紙を受け取った9年後の事です。


気にはなりましたが、多感な年頃の20歳の少女が、

こんな占いの結果を9年間も気にしている訳はありません。

彼女もすぐに忘れて、この絵も机の引き出しに入れたまま時だけが過ぎていきました。

 

 

 

 

 

やがて、彼女が29歳になった時です。

大学時代の男性友達からプロポーズされたそうです。

親からは、まだ早いと反対されたそうですが、彼女は随分迷ったあげく彼と結婚しました。

この時はまだ、あの木の枝占いの事などすっかり忘れていました。


そして、彼女が33歳になったときでした。

検査でガンが見つかったのです。

結構大きいガンだったので、手術は危険と判断され、

医者からは薬で治療して小さくしてから手術をした方がいいと提案されたそうです。

夫も家族も、その医者の提案に賛成でした。

ただ、彼女だけが納得がいかず、病院を転々とまわり、

ついに手術をしてくれる医者を探したのでした。

術後は順調でしたが、ベッドの上で何もすることがなく寝ていた時、

ふと、二十歳にした占いの事を思い出したのです。 あの木の枝占いを。

「そうだ、確か29歳。と33歳があった。」

29歳で大きな二股の選択があり、33歳でまた大きな枝分かれ。

この時はまだ、よくピントこなかったそうですが、

それから7年後の40歳の時でした。

彼女はライバル会社から極秘のスカウトを受けたそうです。

ウチに来てくれれば、今の給料の4割増しで雇うという好条件でした。

夫は賛成してくれたのですが、彼女は悩んだあげく断ったそうです。

それから10年が経った50歳の時、ご主人が亡くなりました。

その時、遺品整理などをしていた時、

またあの「木の枝占い」の事を思い出して見たといいます。


その時、改めて見ると、ちょっと恐ろしくなったそうです。

なぜなら、これが自分の人生の絵図なら、

 

 

私は木の枝の右側を進んでいる。    そして・・・


あの、

あの、33歳の決断の時、

もし、手術しなかったら、

「死んでいた。」と分かったからです。 



あの時、自分が正しい道を選択したのは分かりましたが、

今、70歳の自分は、どの道を歩んでるのだろうか?

65歳も気になりましたが、聞きませんでした。

それ以降、彼女は怖くて、これを見ない事にしているそうです。


最後に彼女は、私に言いました。







先が分からない。

 その方が、楽しいわよ。    と、」


END