●不思議な男の子。
霊能者の所に相談に来た方が、本命の相談とは別に、
日常で起きた不思議な出来事について、聞いてきた事がありました。
彼女も、余りにも突拍子もない不思議な出来事なので、
半分冗談の様にして、霊能者に話しました。
それは、先々週、
シアトル市内に買い物に行った時の出来事です。
ある洋服店で、上着を選んでいる時でした。
突然、3歳くらいの男の子が、
私の足にまとわりついたのです。
びっくりして、男の子を見ると、
男の子も満面の笑顔で、私の事をを見つめているのです。
そんな状態が、1分位続いたでしょうか。
一緒に来ていた男のお母さんが、気が付き、
「すみません」と言って、男の子の手を引っ張って引き離しました。
私は、その時、
「ああ、きっと私の事を、
お母さんと間違えて、抱きついたんだな。」と思い、
お母さんの顔を見ると、
それが私とは似ても似つかないほど、違う顔だったのです。
髪型も違うし、肌の色も違う、それに相手は眼鏡をかけているのです。
勿論、そのお母さんも見た事もありません。
そのまま親子は、ドアを開け店外に出ていきました。
しかし、男の子は、その間もずっと私の顔を見ながら、
私に手を振っているのです。
なぜか分かりませんが、私もつい反応して、男の子に手を振りました。
家に帰って来ても、この時の出来事が忘れられず、
ずっと居間でボーっとしていました。
いくら考えても、あの男の子やお母さんに見覚えが無いのです。
話は、これで終わりなのですが、
彼女には、1つだけ、どうしても気になる事があると言います。
そう言って、彼女は1枚の写真を霊能者に見せました。
その写真には、一匹の白猫が写っていました。
「先生、
あれからずっと考えていたんですが、
あの男の子と出会った時、
私、不思議な事を思ってしまったんです。
実は、5年前に私がとても可愛がっていた猫のミーが亡くなったんですけど、
ミーはとても甘えん坊の男の子で、
歩いていると、いつも私の足に抱きついて来たんです。
こんな事を言うと、先生に笑われるかと思いますが、
もしかしたら、あの子、ミーの生まれ変わりなんじゃ。なんて思って・・・・」
霊能者の方は、彼女の言葉を聞くと、
別に笑う事無く、ミーの写真を手にとりながら、静かに霊視を始めました。
霊能者の方は、
その男の子を見た訳でもなく、その場の様子も見た訳ではないので、
はっきり断言はしませんでしたが、
こんな事を言ったのです。
「あなた、ミーちゃんに、何度もこんな事を言ってたでしょ。
今度産まれてくる時は、
人間の子供として産まれてきて、幸せになるのよ。って。」
「はい、言っていました。
ミーは捨て猫で、保護された時、赤ちゃんのまま
ビニール袋に入れられてゴミ箱に捨てられていたんです。
その後、20年間、私を癒してくれたのです。
だから、今度生まれて来る時は、人間の子供になって幸せになってね。って、
しょっちゅう言っていました。」
「そう。
人間の生活に近い家猫が、愛するご主人の願いを叶える事があるし、
不幸な生い立ちの猫が、今度は違う来世を与えられる事もあるから。
ミーちゃん、あの男の子だった可能性、あるわね。」

「ママぁ、 僕だよ。」
END