●新型コロナで死んだ部屋。

 

 


先々々月、ちょっと今どきの相談が舞い込んで来ていたので、

 


今日は、この問題を取り上げたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

相談をしてきた方は、神奈川県でマンション経営をしている方からでした。

 

 

 

 

 


聞くと、その一室を借りていた55歳の一人暮らしの男性が、

 

 

新型コロナウイルスで亡くなったというのです。

 


よくある孤独死では無く、単身赴任中の会社員だった様で、

 


家族からは、新型コロナを患ったかもしれないという連絡があったという。

 


今となっては詳しい事情は分からないが、自宅待機中だったのかもしれない。

 


その後、家族と連絡が取れなくなったので、管理人に電話が入ったのだが、

 


こんな時期じゃなければ、すぐに管理人が部屋の合鍵ですぐにチェックするのだが、

 


新型コロナの可能性があるという事で、事は簡単では無かったという。

 


一応、ノックとベルは押したものの、合鍵で部屋に入るのはさすがに二の足を踏んだ。

 


そこで警察に連絡したそうなのだが、警察もこの時期、新型コロナかもしれないとなると、

 


すぐに駆けつけてくれなかったという。

 


やがて、重装備の警官が2人来て、合鍵で部屋に入ると、

 


その部屋の男性が布団の中で亡くなっていたという。

 


死後2日経っていた。

 


当初、神奈川県警は、変死事案という事で捜査していた様だったというが、

 

 

その後の検査で、やはり新型コロナウイルスで亡くなった事が分かった。

 

 


家族にそれが伝えられたのは、彼が亡くなってから5日後のことだったという。

 


すでに遺体は家族との対面も許されず、直接葬儀社に運び込まれ火葬されていた。

 

 

 

 

 


普通なら、これで一件落着な事案だが、

 


新型コロナで亡くなった部屋となると、そうはいかなかった。

 


遺品を取りに来た奥さんと協議するのも、コロナ対策で、

 


外の駐車場で2m以上離れて話し合ったという。

 

 


夫を亡くしたばかりの遺族には言いにくかったので、請求は出来なかったが、

 


部屋の消毒作業を業者に頼んだ費用は、大家が持ったという。

 


当時、新型コロナウイルスの消毒の依頼が殺到していた時期で、

 


今はどうか知らないが、

 


依頼しても1週間待ちの状態で、費用も6万円かかったと言う。

 

 

 

 


さて、私の出番はここからである。

 

 

 

 


新型コロナウイルスでの死の場合、

 


一応、普通の病死と同じ扱いになる。

 


ただ、今回の場合、死体が2日間そのままになっていたという事情があり、

 


亡くなった彼も、病院に行けず、かなり無念の死だったのと、

 


布団の中で亡くなっていたので、もしかしたら、

 


自分が死んだ事も分からずにいる可能性もあった。

 


つまり、成仏の道に進まず、そのままその部屋に居つく可能性も多少ある訳だ。

 

 

 

 

そこで、私が大家さんにアドバイスしたのは、以下の4点である。

 


■まず、小さいテーブルを部屋の真ん中に設置し、


その上に、亡くなった彼の写真を遺族からもらって、飾り、


その前に、お線香を1本とお水をコップ一杯を供えます。

 


■そして、風が部屋に入る様に窓を2ヵ所開けます。

 

 縦長のマンションの部屋の場合、ベランダの窓と玄関を少し開けて、

 

 風が部屋を突っ切る形にします。

 

 

■普通は、死体があった場所に、2か3つ消臭剤を1週間置きっぱなしにするのですが、

 

 今回の場合、専門業者が部屋を掃除しているので、それは省きました。

 

 

■最後に、写真に向かって、

 

 「○○さん、新型コロナウイルスで○○月○○日に亡くなったのは、無念だと思います。

 

 どうか成仏なさってください。」と、手を合わせて祈ってあげます。

 

 大家さんには、これを1週間続ける様に言いました。

 

 

 

こうやる事で、次に借りる人には、悪い影響は無いはずです。

 

 


私も電話越しで、ご冥福を祈って、依頼終了となりました。


END