●生き別れた姉妹。
結婚の事で電話相談をしてきてくれた方のお話です。
彼女(ゆみさん)には、子供の頃に生き別れた姉がいるといいます。
そして現在、そのお姉さんは、同じ千葉県に暮らしていているそうです。
大きくなっても、ずっとお姉さんの事が気になっていた彼女は、
数年前にSNSで、お姉さんが同じ千葉県に住んでいる事を突き止めたそうです。
しかし、どうしてもお姉さんに会いに行く勇気が無いといいます。
だから、同じ千葉県に住んでいて、場所も知っていながら、
何年もそのままの状態でした。
私が、「たった一人の姉妹なのに、どうして会いに行かないのですか?」と聞くと、
彼女は、こんな理由を話してくれました。
長女であるお姉さんが生まれた2年後、
両親は離婚したといいます。
母親は、その1年後に再婚して、相談者の彼女が生まれました。
つまり、父親が違う姉妹という事になります。
(ちまたでは、これを、異父(イフ)姉妹といいますね。
逆に、父親が一緒で、母親が違う姉妹を、異母(イボ)姉妹といいますが、
よくテレビなどでは、腹違い(はらちがい)と表現している事もあります。)
ここまでは、よくある話かもしれませんが、
ここからお姉さんだけに、悲劇が訪れます。
母親が再婚した男性は、時々お姉さんだけに手をあげました。
自分の子供じゃない姉を、可愛がれなかったのです。
そんな父親は、当てつけの様に、お土産などは妹の私だけに買ってきたといいます。
その様子を見てた姉が、悲しそうにしているのを、幼い私も感じていました。
それからまもなくして、
父親は、姉(自分の子じゃない)がこの家にいるなら離婚すると母に告げたのです。
母は仕方なく、姉を手放す決心をしたのです。
しかし、既に再婚していた実の父親は、姉を引き取る事を拒否。
姉はしかたなく、実家の祖父母の所で暮らす事になりました。
小さいながらも、母親と父親に捨てられたという思いはあったと想像できます。
その後、母親から聞いたところによると、
姉は祖父母の経済状態から、大学進学をあきらめ働き始めたそうです。
その後、実家から家を出た姉の消息は、
ゆみさんがSNSで突き止めるまで、長らく分かりませんでした。
その姉が、同じ千葉県に住んでいたなんて。
直ぐにでも会いたいという気持ちもあったそうですが、
同時に、
今まで一度も、姉に連絡を取らなかった自分。
それに自分だけが幸せに暮らし、姉だけが捨てられたという事実を思うと、
姉は私の事を怨んでいるじゃないか。と怖い気持ちもあったそうです。
会いたくても、会うのが少し怖い。
そんな数年間だったと言います。
そんなゆみさんが、先月、意を決してお姉さんに会いに行ったのです。
何を彼女に決心させたのか。
それは、数日前に見た夢だったといいます。
始めて夢にお姉さんが出て来たそうです。
「お姉ちゃん。」
会いに行こう。
そして、連絡しなかった事を、あやまろう。
しかし、
会いに行くと、お姉さんは、1年前に亡くなっていた事が分かったのです。
彼女は言いました。
「これじゃ、何の為に会いに行ったのか・・・・」
私はこの話を聞いて、彼女にこう言いました。
「お姉さんは、貴方の背中を押したのですよ。
プロポーズを受けなさい。という暗示だと思いますよ。」
実は、彼女(ゆみさん)は、
大阪に転勤になるという男性からプロポーズを受けていたのです。
もしプロポーズを受ければ、当然千葉から離れる事になります。
両親と離れるというは、女の子なら仕方ないとして、
同じ千葉に住んでいる姉に会わずに、離れるというのが気になっていたのです。
「私を探してくれて、ありがとね。
私の事は、これで気にしないで行けるでしょ。
姉ちゃん分も、
ゆみは、幸せになるのよ。 」
END