●玄関の扉が開く幽霊屋敷の謎。

 


私がアメリカに留学している時、ある幽霊屋敷に行く機会がありました。

 

 

勿論私ひとりではなく、霊能者の方と一緒です。

 

 

霊能者の所に、地元の方から幽霊屋敷の謎の解明の仕事が入ったのです。

 

 

そこは私が住んでいたシアトルの町からずっと国道5号線を南下した

 

 

レイクウッド(Lakewood)という町にある幽霊屋敷でした。

 

 

ちなみに、ここレイクウッド市は沖縄市と姉妹都市になっている市です。

 

 

 

 

依頼主の方の話によると、

 

 

ある平屋の一軒家が、随分昔から幽霊屋敷になっていて、

 

 

真夜中になって、人がその家に近づくと、時々「ガチャ!」と音が鳴り、

 

 

ゆっくりと玄関の扉が開き、中から女の人の幽霊が現れて、

 

 

家の中に入って来るようにと、手招きするのだと言う。

 

 


実際に家の中に入って危険な目に遭った人はまだいないというが、

 

 

なんとも気持ちの悪い幽霊屋敷である。

 

 

 


そんな噂を聞きつけて、真夜中に肝試しに訪れる若者もいて、

 

 

いつか事件が起きるのはないか、また周辺の観光にも影響してしまわないか、

 

 

心配しているのだという。

 

 

 


そこで、大きな事件になる前に、ここが危険な幽霊屋敷かどうか

 

 

調べて欲しいという依頼が霊能者の所に入ったという訳である。

 

 

 

 

 

さて、ここまでの話で、この幽霊屋敷の真相が分かる人は、きっと、

 

 

霊関係、スピリチュアルな世界にとても詳しい人でしょう。

 

 

この幽霊屋敷の真相が分かりますか?

 

 

少し考えてみてから、先をお読みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒントです。

 

 

当時、私と霊能者と私の友人、そして、

 

 

霊能者の娘さん(高校生)の4人で幽霊屋敷に向かいました。

 

 

と言うのは、幽霊屋敷の玄関の扉は、毎回開くという訳ではありませんでした。

 

 

なぜか、男どもだけで肝試しに行くと、幽霊屋敷には何も起こらないのです。

 

 

でも、その中に若い女性、それもブロンドの女性が居ると、

 

 

なぜか、幽霊屋敷の扉が開くのだといいます。

 

 

なので、今回霊能者の娘さん(ブロンド)も一緒に来る事になったのでした。

 

 

 

この時点で、幽霊屋敷の真相が分かりますか?

 

 

ここで分かっても、相当洞察力のある方だと思います。

 

 

ちなみに、私は現地に着くまで、まったく分かりませんでした。

 

 

少し考えてみてから、先をお読みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達は、夕食後に霊能者の自宅に集合し、

 

 

真夜中の5号線を南下しました。

 

 

レイクウッドの現地に着いたのは午後10時頃でした。

 

 

幽霊屋敷に行く前に、依頼主の家に挨拶に行き、

 

 

それから幽霊屋敷に向かいました。

 

 

依頼主の方にも一緒に来るかどうか聞くと、遠慮しますということでした。

 

 

 


依頼者の家から歩いて行ける距離に幽霊屋敷はあるという事でしたが、

 

 

私達はあえて車で行く事にしました。

 

 

なぜなら、霊能者いわく、万が一の時は、車の中は避難場所になるそうです。

 

 

幽霊屋敷と思われる平屋の家は、やや周りの家から離れた所にありました。

 

 

月明りで見える庭と思われる場所は、荒れ放題で草ぼうぼうです。

 

 

もしコンクリートの道が無ければ、きっと玄関にたどり着くのも大変だったことでしょう。

 

 

 

 

私達は、まず娘さんを車に残して、3人だけで幽霊屋敷に近づいて行きました。

 

 

玄関に近づいても、やはり何も起こりません。

 

 

耳を凝らしてみても、屋敷の中からは特に何の音も聞こえません。

 

 

そこで、車に戻って、今度は娘さんと一緒に幽霊屋敷に行ってみました。

 

 

するとどうでしょう。

 

 

娘さんが玄関から約5m位に近づいた時でした。

 

 

「ガチャッ!」と音がして、幽霊屋敷の玄関の扉がゆっくりと開き始めたではありませんか!

 

 

噂は本当でした。

 

 

幽霊屋敷の扉は、男や年配の女性では開かないのです。

 

 

その中に若いブロンドの女性が居る時だけ開くというのが証明されました。

 

 


私と私の友人には見えませんでしたが、

 

 

霊能者と娘さんには、家の中から中年の女の人が手招きしている霊が見えたそうです。

 

 

 


念の為に、娘さんはそれ以上は近づきませんでしたが、

 

 

霊能者の方だけ、開いた玄関から家の中に入りました。

 

 

そして、5分ほど中にいたかと思うと、静かに出てきました。

 

 

霊能者の方が出てくると、玄関の扉はゆっくりと閉まりました。

 

 

「依頼者の家に戻るわよ。」

 

 

どうやら幽霊屋敷の謎が解けたようです。

 

 

 

 

 

 

 


依頼者の家に着くと、

 

 

霊能者の方が、幽霊屋敷の謎の真相を話し始めました。

 

 

霊能者の方いわく、

 

 

女の幽霊の正体は、かつてこの家に住んでいた奥さんだと言います。

 

 


以前、この家には仲が良かった母子が住んでいたのですが、

 

 

ある日、些細な喧嘩から、娘さんが家出してしまったそうです。

 

 

それ以来、いつか帰って来るだろう。いつか帰って来るだろう。

 

 

とお母さんは何年も、何年も娘さんを待ち続けたそうです。

 

 

家の前を、若い女性が通ると、娘が帰って来たんじゃないかと、

 

 

いつも窓からその姿を目で追ったそうです。

 

 

やがて何年も待っている内に、彼女の目も悪くなり、

 

 

ブロンドの若い女性が家の前を通ると、

 

 

玄関のドアを開けて、外まで確かめに出る事もあったといいます。

 

 

そして、とうとう彼女は娘さんを待ちながら、亡くなったのでした。

 

 

亡くなった今でも、彼女は娘さんを待ち続けていて、

 

 

若いブロンドの女性が家の近くに来ると、玄関のドアを開けて確かめているのだそうです。

 

 

 

 

以上が霊能者の方が霊と対話して分かった事でした。

 

 

 


どうやら霊能者の方は、ここに来る前に、

 

 

多分危険な幽霊屋敷では無いだろうと思っていたそうです。

 

 

だから娘さんや私達も連れて行ってくれたそうです。

 

 

 

手招きする霊の中には、稀に危険な霊もいるとの事ですが、

 

 

今回の手招きする霊は、危険な霊では無いという事でした。

 

 

 

 

そこには悲しい物語があったのでした。

 

 

扉を開ける度に、彼女はこう期待していたのです。

 

 


「ああ、帰って来てくれたのね。

 

 帰って来てくれたのね。

 

 母さん、ずっと待っていたのよ。」


END