●最後の魂の言葉。

 

 


今まで変わった場所から電話相談を受けた事はありますか?

 

 

と質問された事があります。

 

 

以前、心霊スポットの現場から電話相談してきた人がいましたが、

 

 

他に変わった場所からの電話というので思い出すのは、

 

 

病院から電話相談してきた方がいました。

 

 

 

それも入院している方ではなく、その家族の方からでした。

 

 

電話をしてきた方は、千葉に嫁いだ方で常連の方でした。

 

 

彼女のお母様は、末期の癌で入院していたのですが、

 

 

場所が大阪だったのと、子育てで家を空ける事が出来ず、

 

 

なかなかお見舞いに行けずにいました。

 

 

そんな時、お母様危篤(きとく)という知らせが入ったのです。

 

 

 


彼女は子供達を御主人に任せて、新幹線に飛び乗りました。

 

 

それでも自宅を出て、大阪の病院に着くまで約6時間かかったそうです。

 

 

 

 


まだお母様の息がある内に、着く事は出来たのですが、

 

 

残念ながら、もう目も開けられず、言葉も話せず、

 

 

ただ酸素吸入器をして、まったく動かない昏睡状態だったそうです。

 

 

だから、せっかく駆けつけたのですが、最後のお別れの言葉も交わせず、

 

 

ただ母親の死を見届けるだけだといいます。

 

 


そんな状況で、彼女から電話を頂いたのでした。

 

 

「何か私に出来る事はありますか?」と。

 

 

 

 

 


それに対して、私が言ったのは、

 

 

「せっかく大阪まで駆けつけたのですから、

 

 出来れば、お母様に言いたい事を言って、

 

 出来れば、会話したいですよね。」

 

 


「はい。」

 

 


「では、次の事を試してみて下さい。

 

 もしかしたら、お母様と会話出来ますよ。」

 

 


私がアドバイスしたのは、

 

 

まず、お母様の側に行ったら、

 

左右どちらの手が、より生命力があるか見極めて下さい。

 

 

もし右手の方が生命力がありそうなら、

 

右手の親指を貴方の手で、そっと握って下さい。

 

それも握るか握らないかくらいの弱い力で握って下さい。

 

きつく握ると、反応が分からなくなってしまうので。

 

 

握りながら、お母様に貴方の言いたい事を言ってあげて下さい。

 

 

 

実は目が開けられなくなって、言葉も喋れなくなっても、昏睡状態でも、

 

 

魂は、少しですが、手を動かせる事があります。

 

 

 

 

彼女は、お母様の手を握りながら、

 

「まりこです。千葉から来ましたよ。

 

 なかなかお見舞いに来れなくて、ごめんね。母さん。

 

 産んでくれて、ありがとうね。

 

 母さんの子に産まれて、良かったよ。」 と、いう様な事を言ったそうです。

 

 

 

すると、

 

 

かすかにお母様の手が、彼女の指を優しく押したと言います。

 

 

 

それは、まるで、

 

 

お母様が、こう言っているかのようだったといいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


来てくれて、ありがとう。

 

幸せになるのよ。

 

END