●憎っくき恋敵(にっくき恋がたき)。

 

 

 

ある時、霊能者の所にメルという女性が、恋愛相談にやってきたそうです。

 

 

彼女は保険会社に勤めるOLの方で、その会社に入社した時からずっと、

 

 

3年先輩の同僚Ivan(イヴァン)を好きになっていましたが、

 

 

奥手だった彼女から告白する勇気は無く、一緒にランチするのが精いっぱいでした。

 

 

結局恋人に発展する事無く、入社して6年が過ぎていました。

 

 

 


しかし、去年彼にとって、大事な人だった方を亡くしてから、

 

 

塞ぎ込む姿が多くなっていた彼を見ていられなくなり、

 

 

休憩時間や昼食時間に会うと積極的に彼を励ましたり、元気づけている内に、

 

 

段々と親しくなり、ここ最近はデートするまでになってるといいます。

 

 

 

ただ彼に不幸があってからまだ1年しか経っていない事も有り、

 

 

この先、そんな彼を支えて行けるのか、またもし彼と結婚しても上手く行くのか、

 

 

それを診てもらいに来たのでした。

 

 

 

 

 

 

さっそく霊視が始まりました。

 

 

 

 

やがて、いつもの霊視の時に様に、霊能者の脳裏に、

 

 

彼(イヴァン)が真面目で仕事熱心で、

 

 

優しい性格の持ち主だと伝わってきたそうです。

 

 

 

 


ところが、

 

 

霊視が始まって5分もしない内に、この部屋に1つの霊が現われたそうです。

 

 

しかも現われた霊は、とてもイヴァンの事に詳しく、

 

 

霊能者に彼の事をあれこれと詳しく伝え始めたそうです。

 

 

それらは彼もしくは、彼の母親ぐらいにしか分からない様な情報でした。

 

 

例えば、愛犬の名前から、行きつけの店から始まり、

 

 

イヴァンが好きな料理や、好きな飲み物、好きなビールの銘柄。

 

 

パンツの趣味から、ズボンのサイズや、服の好み、

 

 

趣味や、言われると嫌いな言葉だったり、普段の癖や習慣など、

 

 

それらは一緒に暮らしていないと分からない情報ばかりだったといいます。

 

 

 

 

見方を変えると、それらの情報は、

 

 

これから彼(イヴァン)と結婚する人にとっては、

 

 

彼を知る上でも、とてもありがたい情報です。

 

 

 


メルもそれを聞いて、急いでノートにメモしていたといいます。

 

 


しかし、一体どんな霊が現われてそんな情報を提供してくれたのでしょうか?

 

 

霊能者いわく、イヴァンの母親は亡くなっていないので母親では無いと言います。

 

 

なにより現われた霊は、もっととても若い霊だそうで、

 

 

最後に現われた霊に、名前を聞いてみたそうです。

 

 

すると、「レベッカ 」と霊は答えました。

 

 

 

 

 

それを聞いたメルは、とても驚きました。

 

 

なぜなら、レベッカは憎っくき恋敵だった女性でした。

 

 

この会社に入社して、メルがイヴァンの事を好きだった頃、

 

 

翌年入社してきたレベッカが、それを知りながらイヴァンを奪ったのでした。

 

 

それ以来、同じ社内にいても口もきかない間柄だったといいます。

 

 

もともとレベッカはメイとは違い、この会社に入社して来たのも、

 

 

働くというよりも、結婚相手を探しに入社して来たのが目的だった子でした。

 

 

しかもレベッカはメイよりも2歳若く、とてもチャーミングで可愛い子だったのです。

 

 

そんなレベッカの猛アタックで、イヴァンが落ちるのも時間の問題でした。

 

 

出会って僅か半年で二人は婚約したのです。

 

 

 

 

ところが、そんな幸せ絶頂だったレベッカが1年前に急死したのです。

 

 

そのレベッカが、今、メルの前に現われているというのを聞いて驚いたのでした。

 

 

 


霊能者いわく、

 

 

レベッカは、メルにこうも伝えて欲しいと言ってます。

 

 

「メル、貴方とイヴァンは、とてもお似合いよ。

 

 結婚すると、可愛い男の子が生まれて幸せになるわよ。」

 

 

 


実は、この話には、私が霊能者から教わった大きな教訓が含まれています。

 

 

それは、貴方の周りにも、きっと嫌な先輩や、嫌な同級生嫌な隣人

 

 

嫌な親族兄弟嫌な同僚上司がいると思います。

 


でも、霊能者は言います。

 

 

そんな嫌な人であっても、

 

 

亡くなったら、許してあげなさい。

 

 

亡くなったら、その人の嫌な性格も同時に亡くなったと思って下さい。

 

 

嫌な性格だけが死んで、先輩や隣人、上司という間柄だけが残り、

 

 

もし、貴方がその人の生前の行為を許し、隣人や上司として成仏を祈ってあげるなら、

 

 

きっと、その後の貴方を助けてくれる存在になってくれるはずと言います。

 

 

なぜなら、生前貴方に迷惑をかけていたお詫びに、助けてくれるはずと言うのです。

 

 

 

 

上の話のメルも、レベッカは憎っくき恋敵だったものの、

 

 

亡くなった時は、同僚として葬式に立ち合い、

 

 

涙を流して冥福を祈ってあげたと言います。

 

 

そういう気持ちは、通じるものです。

 

 

 

「メル、

 

 イヴァンと幸せになってね。     レベッカ。」

 

END