●10年目の結婚記念日。
今日は何かを書こうかと、テレビのニュースを見ていると、
昨日3日、ロックミュージシャンで俳優の内田裕也さんのお別れの会、
『内田裕也Rock’n Roll葬』が青山葬儀所で営まれたニュースをやっていた。
そこで、歌手のAIさんがアカペラで「amaging grace」を歌い、
天国の内田さんに捧げている映像が流れていました。
AIさんのとても素敵な声と歌でした。
その歌声を聞いていて、思い出した事がありました。
今から3年前の事です。
10年目の結婚記念日を迎えた奥さんがいました。
ただ、普通の結婚記念日を迎えた夫婦とは事情が違いました。
なぜなら、ご主人は既に5年前に他界しているからです。
彼女が結婚したのは、今から13年前の平成18年でした。
その翌年、娘さんも生まれて幸せ一杯だったといいます。
ところが結婚生活は僅か5年という短いものとなってしまったのです。
ご主人が平成23年に起きた東日本大震災の津波で亡くなってしまったからです。
それからは、彼女がシングルマザーとして、
娘さんを育てながら一人で頑張ってきたといいます。
そんな彼女には、1つだけずっと気になっていた事があったそうです。
それは、「夫は、私と結婚して幸せだったのだろうか?」という事。
なぜなら、結婚する前は「お前を一生守ってやる!」とか、「好きだよ。」
と言ってプロポーズしてくれたものの、
結婚後は、そういう言葉は一切なく、口喧嘩もよくあったと言います。
仕事に忙しかったせいもあるでしょうが、
二人の結婚記念日など一度も祝ってくれた事は無かったそうです。
だから彼女は何もしてくれない結婚記念日が来るたびに、
本当は、夫は私と結婚した事を後悔しているんじゃないか。と、
そう思ってしまうのだそうです。
こうしてご主人は、1度も結婚記念日を祝う事無く、亡くなったのでした。
そんな彼女に、不思議な出来事が起きたと言います。
彼女はその話を私にすると、「先生はどう思いますか?」と聞いてきました。
私は迷わず、「それは亡きご主人がしたんだと思いますよ。」と言いました。
その時まで、彼女はご主人の命日が来ると、仏壇の前で、いつも
「ねぇ、貴方は私と結婚して後悔してなかったの?
結婚記念日を祝わなかったのは、忘れたから?それとも後悔してたから?
教えて。
もし、私と結婚して後悔してないなら、何か合図を下さい。」
そう言っていたといいます。
そんな事を亡き夫に言いづけて、5年が経った3年前の
「10年目の結婚記念日」の時だったといいます。
その日は何か朝からついていなかったといいます。
寝坊して仕事場に遅刻しそうになり、慌てて着替えをしていて、
仏壇の前では水はこぼすは、財布を落として畳の上に小銭をばらまくわ、
仕事でミスをするわで散々だったといいます。
結局、平成18年に結婚したから丁度10年目の結婚記念日には何も起こらず、
それから約1週間後が3月11日の夫の命日でした。
娘と一緒に仏壇で、お線香をあげている時でした。
急に娘が、「10円見つけた! 」と言って指したのです。
娘が指さす方を見て見ると、確かに10円玉が仏壇の横の隙間に落ちています。
どうやら先日、私が財布を落として小銭をばら撒い時、
拾い忘れたままになっていたものでしょう。
しかし、その10円玉を見ていると、その仏壇の横の隙間の先に、
まだ何か落ちているのに気づいたのです。
「何かしら?」
そう思って手を伸ばして、引き寄せてみると、なんと、
それは、AIさんのCDだったのです。
なんでこんな所にAIさんのCDが落ちてるの? と思うと同時に、
全身鳥肌が立ったといいます。
実は生前、夫はAIさんの歌が好きでCDを買うだけではなく、
私達の結婚式でも、友人と一緒にAIさんのSTORYを歌ってくれたのです。
当時、結婚式でAIさんのSTORYを歌うケースが多かったのもあり、
夫も結婚式ではオレも歌うぞと宣言してての有言実行でした。
彼女はCDを発見した瞬間、その事思い出して鳥肌が立ったのです。
しかも、結婚10年目の意味とも取れる、
10円玉が一緒に転がっていたのです。
私は、この話を聞いて、
「偶然じゃ無いですよ。
ご主人、貴方と結婚して良かったと思っている合図ですよ。」と言いました。
この時、奥さんは、その新品の様に光っていた10円玉を拾うと、
何気なく裏返したそうです。
そして、涙したそうです。
なぜなら、
その10円玉には、平成18年と刻印されていたのです。
2人が結婚した年なのです。
END
