●冥界からの魔物。

 

 

 


学名で、Orcinus orca(オルキヌス・オルカ)というものがいる。

 

 

ラテン語で、「Orcinus」とは、「冥界に属する」を意味し、(冥界とは、あの世の事

 

 

orca」は「魔物」を意味する。

 

 

つまり、Orcinus orca は、「冥界からの魔物」と呼ばれているのである。

 

 

 

 

さて、皆さんは、この冥界からの魔物。という生き物、

 

 

 

何だと思いますか?

 

 

 

この時点で分かった人は、物知りな方です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


もう1つヒントを言うと、

 

 

 

英語では、「killer whale」、日本語に訳すと、

 

 

クジラ殺し」と呼ばれています。

 

 

ここで分かった人は、英語が得意か、想像力が豊かな人。

 

 

 

 

 

 

 

 

最後のヒントは、

 

 

漢字で書くと、魚へんに虎と書きます。

 

 

虎の様な獰猛な魚と表現される訳です。

 

 

では、この生物「鯱」とは何でしょうか?

 

 

ここで分かった方は、漢字が得意な人でしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうです。シャチです。

 

 

シャチに天敵はいません。

 

 

何でも食べると言っていいでしょう。

 

 

鮭をはじめとした魚類やイカ・海鳥・ペンギン、

 

 

アザラシ・イルカ、ホッキョクグマ、クジラやサメも食べる事もあります。

 

 

 


シャチは地球で最強の生物なのです。

 

 

 


海で一番危険で強い生物は、映画「ジョーズ」でも有名な、

 

 

ホオジロザメだと思う方もいるでしょうが、

 


しかし、シャチは、圧倒的にホオジロザメより強いのです。

 

 

なにしろ、泳ぐ速さは、ホオジロザメが時速40Kmに対して、

 

 

シャチの時速70kmです。

 

 

早さが約倍違うというのは、致命的な差なのです。

 

 

しかし、それ以上にシャチが絶対的にサメよりも強いのは、

 

 

ホオジロザメが単独で攻撃してくるのに対して、

 

 

シャチは団体行動で襲って来る頭の良い所です。

 

 

頭が良い所は、団体行動だけではありません。

 

 

サメはひっくり返されると動けなくなるという弱点があります。

 

 

シャチはそれを知っていて、サメを攻撃する時は、一人が気を引く間に、

 

 

もう一匹が下から突進して来て、サメをひっくり返してから攻撃するのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまで強い生物なのに、今まで余り人間と対立して来なかったのには、

 

 

3つ理由があります。

 

 


■まず第一に、シャチを捕獲しても人間に余りメリットが無いという点。

 

とにかくシャチの肉は、まずいのです。

 

もし美味しかったら、事態は変わっていたかもしれませんね。

 

 

■次に、シャチは基本人間は襲わないのです。

 

たまにペンギンやアシカと見間違えられ襲われる事がありますが、間違ってです。

 

湖畔を歩いていた鹿が襲われ食べられたのに、湖畔を歩いている人は襲われないといいます。

 

謎ですが、シャチたちは、人間をエサとして襲う事がなぜか無いのです。

 

 

■慣れるととても人懐っこい性格から、本来頭の良いシャチは、

 

びっくりするくらいの速さで芸を覚えて、ショーを行う事から、

 

殺してしまうよりも、水族館など活躍させる方がメリットがある。

 

 

 

 

 


私はシャチの事を知るほど、

 

 

なんかシャチは人間に似ているなぁ。と思う様になりました。

 

 


その1つが、シャチはとても母性が強いという点です。

 

 

子供を産むと生まれて12ヵ月は母乳で育てます。

 

 

その後、子供にエサの取り方を教えます。

 

 

捕まえたアシカなどをワザと殺さず子供に追いかけさせたり、

 

 

記録によると、そのままアシカを生かして逃がした時もあったといいます。

 

 

お母さんは、40歳過ぎまで子供を産み、その後閉経しますが、

 

 

その後も50年ほど生きて、家族の面倒を見たり、孫の教育を担当したりして、

 

 

若い世代にエサの取り方を教えたりします。

 

 

ちなみに、生き物で閉経するのは、人間とバンドウクジラとシャチだけと言われています。

 

 

メスのシャチの寿命は90歳位だと言う事です。オスはもっと短い。

 

 


私達は、シャチの事を、頭が良く、あらゆる生き物を食し、

 

 

団体行動で敵を襲う事が出来る凶暴な、海の生物として、

 

 

学名で「冥界からの魔物」とつけていますが、

 

 

もしかしたら、

 

 

頭が良く、あらゆる生き物を食し、

 

 

団体行動で敵を襲う事が出来る凶暴な、陸の生物として、

 

 

彼らは逆に人間の事を、「冥界からの魔物」と言っているかもしれません。

 

 

 


そんなシャチ達が、人間よりも優れている点があります。

 

 

それは、

 

 

シャチは家族などの同族を殺さない事。

 

 

自分の子供を絶対殺さない事です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、こんな実話を。

 

 


昨年、私が住んで居たアメリカのシアトルからこんなニュースが飛び込んできました。

 

 

シアトル近辺では、シャチに会いに行けるという観光があるほど、

 

 

シャチは身近に感じられる土地柄でした。

 

 

シャチの研究者も沢山訪れていました。

 

 

その中の一人で、ワシントン大学の科学者デボラ・ジャイルズさんは、

 

 

1つのシャチの群れを追って観察していました。

 

 

それはやや弱ったシャチの群れだったといいます。

 

 

もう何年も子供が生まれないという集団だったといいます。

 

 

 


それでも、やっと念願の子供が生まれました。

 

 

お母さんは喜んで、生まれた子供と並走して泳ぎました。

 

 

 

 


ところが、30分ほど母親の隣を泳いでいたのですが、

 

 

やがて動かなくなってしまったのです。

 

 

お母さんは、動かなくなった子供を頭の上に乗せたり、押したり、

 

 

エサをあげようとしますが、子供は波に揺れるだけで動きません。

 

 

死んでしまったのです。

 

 

上空から死体を確認すると、女の子である事が分かったといいます。

 

 


やっと生まれた子供と泳いだ喜びが、30分後に死別という地獄に転落したのでした。

 

 

 

しかし、お母さんはやっと生まれた子供の死が信じられない。

 

 

もしかしたら、自分のせいかもしれないと、

 

 

何度も、何度も、娘の体を押したり、甘噛みしたり、つつたりしながら、

 

 

一緒に泳ごうとします。

 

 

その姿は、上空から見ていた研究者たちの涙をさそったといいます。

 

 

 

 

 

諦めきれないお母さんは、3日経っても、亡くなった娘を離さず、

 

 

頭の上に乗せたり、押したりして、一緒に泳いでいるのです。

 

 

研究者によると、その後16日経って発見された時も、

 

 

お母さんは、亡くなった娘と一緒に泳いでいたといいます。

 

 

死んじゃダメ

 

 

 お願い、死なないで。

 

 

 ほら、目を覚まして、母さんと泳ぐのよ。 母さんと一緒に・・・・ 」

 

 

 

 


現在、シャチは捕獲が禁止されていて、

 

絶滅が危惧されている保護動物となっている。

 

 

END

 

 

 

 

 

 

参考:Noelle Seguinさんのツイッター https://twitter.com/poligirl?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1025598898537226240&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.newsweekjapan.jp%2Fstories%2Fworld%2F2018%2F08%2F16-8.php
Newsweek https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/08/16-8_1.php
National Geographic https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/8468/