●三度目の母
みなさんは、世界一の音楽大学はどこだかご存知でしょうか?
そう、それはアメリカのニューヨークにあるジュリアード音楽院です。
XJAPANのYOSHIKIさんが手術した後、このジュリアード音楽院の
教授に就任するしれないというニュースが今年流れましたね。
どうなるかまだ分からないと言う事ですが、
そんな世界最高峰の音楽大学・ジュリアード音楽院が、初めて海外に分校を設立する。
それが中国の天津で、2018年、つまり今年の末に完成予定で、
2019年秋の開校を予定しているという。
今まで、日本人の方も多数卒業されていて、
中村紘子さん(ピアニスト)、五嶋みどりさん(バイオリニスト)や、
諏訪内晶子さん(バイオリニスト)など、活躍されている方が沢山います。
ただ、日本人がこのジュリアード音楽院に行くには、今まで3つ壁がありました。
■まずはその試験の厳しさです。合格率は約6%である。
ただ、他の大学と違って、特に重視されるのが才能と面接だという事。
■学費が年間約6万ドル(670万)かかる。(授業料42000ドル+寮費と食事)
■ニューヨークの物価と家賃が高い。
天津にジュリアード音楽院の分校が出来れば、少なくとも1の合格率と3の家賃の点で、
だいぶ日本人にとって、入りやすくなるでしょう。
そんなジュリアード音楽院に通う大学生の方が、霊能者の所に相談に来られた時がありました。
彼女は2歳の時に、産みの母親を亡くしていました。
当時、お父さんは産みの母親が亡くなってから僅か半年で再婚しました。
再婚した新しいお母さんは、彼女を大切に育ててくれたといいます。
彼女は中学生までは、本当の母親だと思って暮らしてきましたし、
告白された後も、本当の母親と変わらず生活してきたといいます。
育ての母も、子供は彼女ひとりだったので、本当の自分の子供として育てたのです。
だから、傍から見ても二人は本当の親子でした。
お義母さんは、自分の事よりも彼女の事を優先し、彼女がこのコンサートに行きたいと言えば、
どんなに遠くの場所でも連れて行ってくれたと言います。
そんな育ての母親が、彼女が高校生の時に亡くなったのです。
ここまでは、よくある話かもしれません。
ただ、彼女が許せなかったのは、父親の事でした。
父は、母(育ての)が亡くなった僅か2ヶ月後に再再婚したのです。
私がまだ母の死を悼み、泣き腫らしている時に、もう他の女性と交際していたのです。
別に再再婚した新しい母親には、何の怨みもありませんでしたし、
そんなに悪い人でも無さそうな女性でしたが、私は素直になれませんでした。
自分の子でも無い私を大切に育ててくれた母を、そんなに簡単に忘れる事なんて出来ません。
それなのに父は、まるで母が居なかったかの様に、家の中の母の写真を全部外し、
母が使っていたキッチン用具も全部買いかえたのです。
それはまるで、父の記憶から母を消しゴムで消すかの様に、昔の事は話さなくなりました。
母の写真は、私の部屋だけに飾られ、私は孤立しました。
考えてみれば、産みの母が亡くなった時も、父は僅か半年後に再婚しています。
きっと父は亡くなったらすぐ忘れる薄情な人なのです。
その時から私は、よりいっそう音楽だけに身を置くようになったのです。
そして、高校卒業と同時に家を出て、ニューヨークのジュリアード音楽院に行ったのでした。
そんな彼女が夏休みに久しぶりに故郷の父の所に戻ったのですが、
その時に、父が母の写真を家中から外しただけで無く、その後捨てていて、
しかも、母との思い出が詰まったこの家を売って、引っ越すという事を知ったのです。
なんか悲しくて、情けなくて、そんな父を亡き母はどう思っているのか、
気になって霊能者の所に、足が向いてしまったという。
さっそく霊視が始まりました。
すると、霊能者の方が、彼女に意外な事を言ったのです。
「貴方のお母さん達、お父さんの再再婚、
喜んでいるわよ。」
それを聞いて、まず彼女が驚いたのは、この「お母さん達」という言葉でした。
霊能者いわく、
霊視すると、亡くなった育ての母と一緒に、亡くなった産みの母も現れたという。
亡くなった育ての母と産みの母親は、とても仲良くなっていて、
向こうでは、一緒に居るという。
霊能者が言うには、未亡人達が一緒に仲良く出てくる事は大変多く、
生前はお互いに、面識が無いのに、亡くなってから、
夫の妻だったという共通の立場から友人になって、霊視すると、
決まって一緒に現われて来る事が多いのだという。
そして、その後の夫の再婚を許し、今も変わらず愛しているのだと言う。
父親の早すぎる再婚に、落胆していた彼女に、霊能者はこう優しく語った。
「確かに、お母さんが亡くなって2ヶ月後には再婚って、早すぎるわよね。
でもね。
お母さんを捨てて、他の女性と結婚するのとは違うのよ。
貴方のお母さん達が言うの。
あの人は、ひとりじゃ生きていけない人なのって。
仕事しか出来ない人なのって。
だから、貴方のお母さん達、喜んでいるの。
ただ、こんな事も言ってる。
ただし、パイを焼くのは私の方が上手いけどね。って。」
霊能者の方は、こうも言った。
「良く考えてみて、
貴方が高校時代、音楽に打ち込めて、家を出てジュリアード音楽院に行こうと決心したのも、
今もお父さんが元気に働いて、授業料を払ってくれているのも、
実は、みんな運命が貴方に味方しているからなのよ。」
その後、彼女は父と三番目の母とも仲良くなり、
2人の母親に見守られながら、音楽家の道を歩んでいる。
END