●兄の家に居た幽霊。

 

 


幽霊を除霊するのは、素人には難しい場合が多い。

 

 

しかし、今日ご紹介するケースは、

 

 

とても意外な簡単な方法で、幽霊が出なくなったという

 

 

珍事と言ってもいいケースです。

 

 

 

 

 

ある年の夏、若い女性の方から電話相談がありました。

 

 

兄の家に幽霊が出る。」と言うのです。

 

 

 


彼女のお兄さんは、新宿区にあるアパートで独り暮らしをしながら、

 

 

大学院に通っていました。

 

 

アパートは駅からはやや歩くのですが、2DKと間取りは広いわりに、

 

家賃は付近の相場より2万円も安い物件を見つけて、住んで居たといいます。

 

 

来年大学受験を控えていた彼女は、大学の見学と模試試験、それと、

 

 

ディズニーランドに行ってみたいと夏休みを利用して東京に2週間来る事になったのでした。

 

 

その時に、ホテルに泊まるのも高いので、お兄さんの家に泊まる事になったのです。

 

 

当初、汚いからと断っていたお兄さんでしたが、母親の説得でしかたなく了承となりました。

 

 

 

 


彼女がお兄さんのアパートに着くと、

 

 

予想以上に汚い部屋でビックリしたといいます。

 

 

床には、脱ぎっぱなしの服やビニール袋、まだ買ったばかりの買い物袋から、

 

 

カップラーメンの空の器や、読みかけの雑誌が散らばり、

 

 

台所には、洗っていないお皿や箸、コップなどが散乱。

 

 

それはゴミ屋敷とは言わないものの、見渡す限りゴミが目立つ部屋だったと言います。

 

 

通常、妹が来るとなれば、掃除するものですが、

 

 

兄の場合、「だから汚いって言っただろう。」と、

 

 

自分が忠告した意味を見せたかった様で、あえて掃除しなかったそうです。

 

 

 

彼女はお兄さんの家に着いたそうそう疲れていたのですが、さっそく掃除から始めました。

 

 

2時間かけて、床の上の物を片づけ、台所の食器などを洗い、掃除機をかけたといいます。

 

 

 

 

ところが、その次の日の真夜中の事でした。

 

 

 

 

彼女がトイレに起きて、台所を横切った時、ふと、

 

 

「カサ、カサ・・・」と小さな音がしたそうです。

 

 

 

 

そこで、何だと思って、台所の電気を点けると、

 

 

 


なんと、そこにゴキブリが2匹も居たそうです。

 

 

一軒家ならともかく、こんな小さなアパートの一室に出るなんて思わなかった彼女は、

 

 

ビックリしてお兄さんを起こしたそうです。

 

 

しかし、お兄さんは、「ああ、時々見るよ。」と平気な顔でまた寝てしまったといいます。

 

 

 

 

翌日、彼女はその事を母親に電話すると、母親は、

 

 

兄の事だから、きっと布団も干したりしてないから、ダニもいると思うから

 

 

家中にバルサンを焚いて、ダニからゴキブリまで退治してあげないさい。との事。

 

 

さっそく彼女は薬局に行って、バルサンを買って来て、兄に了解をとると、

 

 

3時間かけて部屋にバルサンを焚いたのでした。

 

 

当時、思ったよりも煙がたって、玄関の隙間からも煙が出てきたので、

 

 

玄関のドアに「現在、バルサンを焚いています。」とビラを貼ったという。

 

 

 

ちなみに、現在は煙があまり出ないタイプの霧バルサンという物が売っていて、

 

 

ローズの香りなどの匂い付のバルサンを使えば、その後の匂いもしないという。

 

 

 


こうして、お兄さんが帰宅する頃には、アパートの殺虫が完了していた。

 

 

彼女が夜起きても、ゴキブリの「カサ、カサ」という音は聞こえなくなった。

 

 

綺麗好きな妹のお蔭で、部屋は見違えるほど綺麗になったのである。

 

 

 

 

 

ところが、その次の日から、

 

 

キッチンの電気がチカチカと点いたり消えたりする様になったのである。

 

 

これは電球の寿命かと思った彼女は、新しい電球を買って来て交換した。

 

 

しかし、新しい電球にしても、しばらくすると点いたり消えたりとチカチカする様に・・・

 

 

でもしばらくするとなおるのである。 

 

 

そしてまた時間をおいて、点いたり消えたりするのだ。

 

 

その事を兄に言うと、兄がこのマンションに引っ越してきた当初も、

 

 

同じ様な現象が起きたという。

 

 

でも、そのままほっておいたら、普通に点くようになったという。

 

 

 

 

ところが、翌日の真夜中の事だった。

 

 

彼女がトイレに起きて、台所を横切った時、ふと、

 

 

キッチンの前に白っぽいものが立っている気がしたという。

 

 

下の図の赤○の所に。

 

そこで台所の電気を点けたのだが、何も無い。

 

 

トイレに行って、部屋に帰って電気を消した。

 

 

すると、またキッチンの前にボーっと白い姿の影が動くのだという。

 

 

それは白いドレスを着た女性の様にも思えて、急に怖くなったという。

 

 

翌朝、兄にその事を話すと、そんなのは見た事も無いそうで、

 

 

さすがの兄も、怖くなったそうです。

 

 

そこで、兄が通っている大学院で、霊感が少しあるという姉妹にお願いして、

 

 

「妹が霊を見て怖がっている。」と家に来てもらった。

 

 

すると、最初にお姉さんの方が、「女性の霊がいるね。」と言い、

 

 

妹さんの方も、「そうだね。」と意見が一致したという。

 

 

ただ、除霊とかは出来ないので、居るという事だけしか言えないという。

 


こうして、お兄さんの部屋には女性の霊が居るという事は分かったのだが、

 

 

どうしたらいいのか分からないという。

 

 

彼女はあと1週間したら、実家に帰らないといけないので、

 

 

このままでは、兄一人になり心配なので、なんとかならないでしょうか?

 

 

と、そんなような電話相談でした。

 

 

 

 

 


話だけでは、どんな霊が居るのか分からないので、

 

 

本当はその場所から離れる事が望ましい。

 

 

まずは、引っ越す事は出来ますか?と聞くと、

 

 

出来れば大学院を卒業するまでは、引っ越せないと言う。

 

 

そうなると、次にやれる事は供養だ。

 

 

彼女には、女性の霊が出る所に椅子か机か何か置くか、キッチンの上にお盆を置き、

 

 

そこを供養の場所として、短冊に「この場所で亡くなられた霊へ」と書き、

 

 

毎日コップ一杯の水を置き、毎日1本のお線香を焚き、3ヶ月間、

 

 

「どうか成仏なさって、良い来世に生まれ変わって下さい」と合掌してあげて下さい。

 

 

とアドバイスした。

 

 

 

 


ただ、これには若干問題もあった。

 

 

それは、彼女はあと1週間で実家に帰ってしまう。

 

 

グウタラなお兄ちゃんが、そのあとちゃんと供養するか心配だと言うのだ。

 

 


確かに! 

 

 

普通の人でも約100日間、ちゃんと供養するのは大変だ。

 

 

ましてやグウタラなお兄ちゃんが、ちゃんとやるとは私にも思えなかった。

 

 

 


そこで、彼女には1週間でもいいからやってもらう事にして、

 

 

その他に、ちょっと私が思いついた方法を試してもらう事にした。

 

 

それは、まず彼女に、あるオモチャを買って来てもらう事だった。

 

 

家の近くに100円ショップのセリアがあったそうで、そこで購入したという。

 

 

そのオモチャとは、

 


そう、ゴキブリの偽物オモチャだ。

 

 

これをキッチンの幽霊が出るという場所に置いてもらい、夜はこの玩具が良く見える様に、

 

 

キッチンの電気は点けたまま寝る様にアドバイスした。

 

 

すると、

 

 

なんとその時から電気の異常も、真夜中に幽霊が出る事も無くなったという。

 

 

 


私がなんで、ゴキブリのオモチャを置いてみては。と試したかと言うと、

 

 

今まで幽霊が出なかったのに、バルサンを焚いてゴキブリが居なくなった途端に、

 

 

幽霊が出始めたというは、偶然じゃ無いと思ったからである。

 

 

もしかしたら、それが今まで幽霊が出なかった理由だったりするのでは。

 

 

特に女性の霊に多いのだが、

 

 

実はたまに、ゴキブリやねずみや、ヘビなどが嫌いな霊が居るのである。

 

 

幽霊に出る魂は成仏していない事が多い、

 

 

つまり、性格はまだ生前の時のままだったりする。

 

 

だから生前、ゴキブリが大嫌いという人が成仏していない霊になっても、

 

 

やはり、ゴキブリは大嫌いなのだ。

 

 

そして中には、たとえオモチャでも見るのも嫌という人もいる。

 

 


今回はそれが、見事に当てはまった珍事と言えよう。

 

END