●病気が悪化するのは、長期入院患者のみ

 

 


このお話は、昨日のブログ(●死にやすい部屋)の続きです。

 

 

 

従って、昨日のブログ(https://ameblo.jp/hirosu/entry-12396113376.html

 


を先にお読みください。


そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ

 


今から何年か前、東京のS区にある病院の院長夫人から相談を受けた事があった。

 

彼女の病院は、4年前までは○○医院という名前だったのだが、建て増して○○病院に改名した。

 

ところが医院から病院に改名してから看護婦の間で、ある不吉な噂が飛び交う様になったのだと言う。

 

それは、「あの病室には、何かいる!」とか、「あの病室に入院した人は、死にやすい!」

 

という何とも不吉な噂だったという。ある時、そんな噂を耳にした院長夫人は、自ら調査してみた。

 

本当にその病室に入院した人が死にやすいのか?すると、確かに、他の病室よりも、

 

その病室に居た患者の方が2倍亡くなる人が多かったのだという。また数字には現われないのだが、

 

看護婦の証言によると、他の病室からその病室に移ると、みな病状が悪化するのだという。

 

こんな事は医院時代には無かった事で、医院から病院に改名してから起き始めたのだという。

 

その原因かもしれないと噂されているのは病院に改名してから、その病室にある50代の女性が入院したのだが、

 

まず助かるはずだったのに、その病室に移ってから段々と悪化していき、

 

やがて、本来の病気とは関係が無い所まで悪くなり亡くなってしまったのだという。

 

それ以来、その病室に移った人は病気が悪化し、亡くなる事も多くなったのだと。

 

だから、看護婦の間では、その病室を、「呪われた病室」と呼ぶ子さえ居るというのだ。

 

今はまだ、悪い噂は看護婦の間だけだというが、

 

もし、外部にも漏れると、世間に病院の悪い噂が広まり病院経営にも影響しかねない。

 

そこで是非、来て調べてみて欲しいという相談だった。

 

タイミング的にも、その部屋に入院していた患者が明日退院する予定なので、

 

一時的に空き部屋となるので、丁度いいのだという。

 

さっそく私は彼女の病院に調査に行く事になった。その「呪われた病室」を調べに・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、翌日朝9時に、彼女の病院に到着した。

 

 

前日電話では、入院患者が明日朝退院するので、9時半に起こし下さい。との事だった。

 

 

彼女の病院では、原則午前10時までに退院する事になっている。

 

 

しかし、いつその日の患者が入院となるか分からない。

 

 

だから、退院と同時にパッと部屋を診て、判断して欲しいという依頼だった。

 

 

いつもの様に、依頼者に会う前に30分位早く着いて、病院の周りをぐるっと歩いた。

 

 

まぁ、前日夜にも地図上で下見はしているのだが、行って見て何か発見する事もある。

 

 

ただ、下見する限り気になる様なものは無かった。

 

 

 

 


約束の9時半丁度に受付に行った。

 

 

個室に通され、数分後、資料を片手に持った院長夫人が現れた。

 

 

資料とは、前日電話で依頼を受けた時に、私が医院時代の建物の見取り図と、

 

 

病院になってからの建物の見取り図を見せて欲しいと言っておいたからだ。

 

 

挨拶もそこそこに、さっそく両方の見取り図を見せてもらった。

 

 

 

 

勿論、私が注目したのは「呪われた病室」と看護婦たちに噂されている病室である。

 

 

 


それは1人用の個室だった。

 

 

そして、医院時代の見取り図と、病院になってから見取り図を見比べると、

 

 

問題の病室は、新しく出来た建物である事が見てとれた。

 

 

つまり、医院時代には無かった病室である。

 

 

 


新たな土地に、病室を作ったという事で、

 

 

私は彼女に、2つの事を質問してみた。

 

 

 

まず1つは、

 

「地鎮祭はしましたか?」

 

 

すると、地鎮祭はしていないと言う。

 

 

と言うか、増築でも地鎮祭は必要なの?という返事だった。

 

 

確かに、増築の場合、小さい増築は地鎮祭は必要無いとされる事が多い。

 

 

しかし、寝泊まりする部屋が増築で出来る場合は、地鎮祭はした方が良い。

 

 

そうかぁ。地鎮祭はしていないのか。と内心思いつつも、もう1つの質問をした。

 

 

 

「この病室が建つ前、その場所に何かありましたか?

 

 例えば、お墓とか、井戸とか、供養塔(馬頭観音)とか、祠(ほこら)とか?」

 

 

 


「そういうものは無かったです。」と院長夫人。

 

 

「そうですか。じゃあ、そこは平地で、大木とかも無かったですか?」と聞くと、

 

 

医院時代の写真があるというので、取って来て見せてくれた。

 

 

その写真は医院時代の建物を裏から写したものだった。

 

 

大木とかは無かったのだが、1つ気になるものが写真に写っていた。

 

 

 

 

それは、元病室があった場所に小さな池があるのだ。

 

 

つまり、小さな池を潰して、そこに現在問題の病室がある事になる。

 

 

「その池に、何か生き物いましたか?」と聞くと、

 

 

「特に居なかったと思います。居てもメダカか金魚だったと思います。」と院長夫人。

 

 

「ちなみに、その池を埋め立てた時、

 

 そのメダカとか金魚達をすくって他の場所に移動させたりはしましたか?」

 

 

「私は立ち合って無かったので、分かりませんが、

 

 建築業者の方がやっているかもしれません。」との事。

 

 

 

「なるほど。」

 

 


とりあえず、問題かもしれないと思う点が2つ見つかった。

 

 

小さな池を潰して、その上に今の病室がある事、そして、地鎮祭はしていない。

 

 

 

 

ただ、

 

いつもの様に、「これだ! これが原因だ!」という感触を受けない。

 

 

確かに上の2つは問題だが、小さい気がする。

 

 

これでこの病室に入院した患者が、次々に悪化するものだろうか。

 

 

 

 

 

そんな事を考えていると、部屋のノックがした。

 

 

看護婦が入って来て、問題の部屋が空いたと院長夫人に伝えに来たのだ。

 

 

 


さっそくその看護婦を交えた3人で、問題の「呪われた病室」とやらを診に行く事になった。

 

 

その部屋は、病院の裏庭に面する場所にある1階の個室だった。

 

 

 

 

 

とりあえず、その部屋に入室する時、

 

私が最初に入らせてもらった。

 

 

まず大きく深呼吸してから、廊下に居る時の臭いを記憶してからドアを開けた。

 

 

ドアは大きなもので横にスライドするものだった。

 

 

中に一歩入った瞬間の肌の感触と、ニオイを嗅いだ。

 

 

特に嫌なニオイはしない。

 

 

時々だが、部屋に入ると動物の臭いがしたりする事があるが、ここは無かった。

 

 

人間の鼻は、環境に慣れやすい。

 

 

だから、入室した一瞬が勝負なのである。

 

 

一応、部屋の隅々をゆっくり歩いて診て回ったのだが、特に嫌な感じがする場所は無かった。

 

 

トイレも併設されていたので、そこも調べたのだが、問題は無さそうである。

 

 

恐れていた地縛霊も、居ない感じだ。

 

 

地縛霊が居ると、その場所にゆっくり行くと微妙に寒気を感じたり、

 

 

頭痛がしたり、鳥肌が立ったりするのだ。

 

 

看護婦たちの話では、病院に改名してから、この病室にある50代の女性が入院したのだが、

 

 

まず助かるはずだったのに、その病室に移ってから段々と悪化していき亡くなったので、

 

 

その50代の女性の霊の仕業ではないかという噂だったのだが、

 

 

看護婦さん(今は看護師)に聞くと、ベッドは常に移動しているので、

 

 

50代の女性が亡くなった時のベッドは、今はどこの病室で使われているか分からないと言う。

 

 

彼女についでにこんな質問をしてみた。

 

 

「今日退院した方は、この病室に入院していて悪化しましたか?」

 

 

すると、

 

 

「短期入院の方は、悪化しません。

 

 

 悪化するのは、決まって1ヵ月以上の長期入院される方です。」と言う。

 

 


「そうなんだ。長期入院患者のみ。」

 

 

新しい情報である。

 

 

ただ、それが今回の問題と、どう繋がるのかは分からない。

 

 

 

 

 

もう一度、部屋の中をぐるっとゆっくりと一周したのだが、特に気になる所は無かった。

 

 

結局ここに来る前に、気が付いた池の埋め立てと、地鎮祭の2点だけなのかな。

 

 

と、思いかけた時だった。

 

 

 


それまで部屋の中ばかりにしか興味を示していなかったのだが、

 

 

ふと、窓の外を見てみた。

 

 

すると、

 

 

 

 

 


窓の外、すぐの所に、何かある!

 

 

「あれは何ですか?」 と、院長夫人に聞いてみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


やがて、窓の外にあった物が、

 

 

患者たちに悪影響を及ぼしていたかもしれない物だと分かるのである。

 

最終話は、明日のブログに続く。