●隠れた事故物件
事故物件とは、殺人事件や自殺、火災による死亡事故などがあった物件や、
孤独死でも長く発見されなかった部屋など、事件の後その部屋を住む人へ、
不動産屋が告知義務のある物件の事である。
しかし、世の中には、
私から言わせれば、完全なる事故物件であっても、
法律的には、事故物件として取り扱わなくてにいい物件という部屋がある。
これは私が電話相談で扱った案件である。
今日のお話は、少し怖い所があります。
怖がりな方は、昼間読むか、友人に読んでもらうか、
もしくは、今日の記事だけは読まない様にして下さいね。
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これはある女性からの電話相談でした。
今から十何年か前の話である。
それは、
付き合っている彼氏の部屋でラップ音が聞こえるというものだった。
私も最初この話を聞いていた時は、
ラップ音程度か、と思って聞いていたのだが、
それが、話を聞いていく内に、どんどん
恐ろしいもの になっていったのである。
彼氏はまだ40歳手前なのに、
都内の良い場所にある分譲マンションを購入されていた。
マンションはまだ相談者の方が所有されているかもしれないので、
ここで名前や場所を明かす事は出来ないが、
マンションの前には比較的大きな通りがあり、
最寄駅からも歩いて行ける場所で、大きな専用駐車場もあり、
インターネットで見る限り高級なマンションという印象だった。
相談者の彼女とは、仕事関係で知り合ったと言う。
彼女が最初にこのマンションの不気味なラップ音の話を、
彼氏から聞いたのは、彼氏と付き合ってから3ヶ月が過ぎた頃だったという。
彼氏としても、まだ付き合い始めて間もない彼女に、
怖い話を聞かせる訳にはいかなかったのだろう。
しかし、ある時二人で映画をレンタルしに行った時、
彼女がリングとかゾンビ映画も見た事があるよ。と聞いたので、
この部屋で起きるというラップ音の話を、彼女にする気になったらしい。
彼氏の話によると、
ラップ音は真夜中に、台所付近からするのだという。
私も間取りを見せてもらったのだが、
彼氏の部屋は、中央にとても大きなリビングがあり、
そのリビングの一角が台所になっている。
その台所付近から、真夜中になるとラップ音が聞こえるというのだ。
具体的に、どんなラップ音が聞こえるのか聞くと、
グラスとグラスを当てて鳴る様な「チン!」という音や、
お皿や瀬戸物をこすったり、出したりする様な音がするのだという。
彼氏はこの分譲マンションの一室を購入してから、もう2年するというのだが、
不気味なラップ音は、購入して住み始めてまもなく始まったという。
しかし、不思議な事が1つあるという。
それは彼女が彼氏のその家にお泊りする時には、1度も聞いた事が無いのである。
彼氏も、「お前が来るとラップ音しないな。」と話し、
「なんだろう。女性が苦手な霊なのかな。」と言ったという。
確かに相談者の彼女は、夜中にラップ音を聞いた事は無いという。
しかし、彼女は少し霊感があるらしく、
彼氏の家に行って、台所に立つと、
誰かが、後ろから彼女を見つめている気配を感じると言うのだ。
でも振り向くと、誰も居ないのである。
そんな事が何度もあるという。
そして、そんな不気味な気配を気にしながら、料理や皿洗いをするからか、
彼氏の家に居る時に限って、よく手を怪我したり、
床にナイフが落ちて、足に当たりそうになったり、
手が滑ってお皿を割ったりした事もあるという。
私はここまでの話を聞き、彼女にこう尋ねた。
「彼氏さんは、その部屋に2年住んで居て、
怪我したり、病気になったり、仕事がうまくいかないとかありましたか?」
「特に聞いていません。
でも、仕事はうまくいっている感じです。」と彼女。
彼氏には特に悪い事は起きていないらしい。
一応一安心だが、更にこう尋ねた。
「ちょっと変な事聞くけど、ごめんね。
誰か、その部屋で死んだって聞いてないかな?」
「聞いて無いです。」と彼女。
彼氏が購入した分譲マンションは、かなり前に完成したもので、
彼氏はそれを中古で購入したという。
つまり、彼氏の前に住んで居た人が居た事になる。
しかし、購入した時に交わした契約書にも、購入する時の説明でも、
この部屋が事故物件だという告知事項は無かったという。
なるほど、事故物件では無かった訳だ。
でも、私が思うには、彼氏が購入する前に住んでいた人の時に、
誰かこの部屋で亡くなっている気がした。
私がそう思うには理由がある。
●まず、彼氏さんがこの分譲マンションを購入した頃からラップ音は始まっている。
つまり、購入した時には、ラップ音の原因は既にあったのである。
これが、以前ここに住んで居た時に何かあったのではないかと疑う理由だ。
●そして、部屋でキシム音とかドンという音だったりする単純なラップ音では無く、
グラスとグラスがぶつかる音だったり、お皿が擦れたり出したりする音がするという、
具体的なラップ音となると、実際にその部屋でグラスやお皿をいじっていた霊の可能性が高いのである。
つまり、この部屋に以前暮らしていた人が亡くなったのではないかと疑ったのである。
ただ、この時点では、
ここに実際にもう2年も住んで居る彼氏は、怪我も無ければ病気にもならない様だし、
仕事もうまくいっているなら、そんなに悪い霊では無いのかもと、
私は甘い見方をしていたのである。
電話の彼女は、「ちょっと調べてみます。」と言って相談は一時中断となった。
その後、
彼氏と彼女は古くから住んで居るアパートの住人に聞いたり、調べたりしたらしい。
すると、5日後、
彼女から再び電話があり、
この分譲マンションで起きた、
ある恐ろしい事実が分かったのである。
後半は、明日のブログに続く。