●片足の天使
亡くなったペットが、天使の役割を持って現れる事があります。
これはある常連の相談者の方が、話してくれた不思議な出来事です。
彼女は当時、5歳になる女の子がいましたが、
少し大きな会社の社長である義両親から、男の子の誕生を強く望まれていて、
35歳の彼女にとって、それが大きなプレッシャーになっていました。
彼女自身も出来れば、もう1人子供が欲しいとは思っていましたが、
既に2回流産していたので、辛い妊活が3年も続いていたのです。
その間、夫は腹いっぱい食べ、お酒も飲み放題なのに、
彼女は義両親の助言もあり、好きなお酒も飲めません。
私だけ毎日ビタミン・ミネラル・葉酸・鉄分などのサプリを飲み、
基礎体温を計りながら喜んだり、悲しんだりと一喜一憂しているのに、
夫は何も考えず、気楽でのんびりテレビを見ている姿を見ると、
なんで私だけが辛い思いを・・・と思いました。
ある日、一人でベッドで泣いていると、娘さんがやってきて、
「ママ、泣かないで。」と、慰めてくれたそうです。
娘さんに愚痴をぶつけてもしょうがないのですが、
その時は、さすがに言ってしまったそうです。
「ミヨの弟をと思って頑張ったんだけど、
ママ、もうダメみたい。」
その時でした。
娘のミヨが、
「ママの隣に、お犬さんが居るよ。」と言うのです。
半信半疑で、「どんな犬?」と娘に聞くと、
私が座っているお腹の横辺りに、左前足の無い白い犬が居て、
私のお腹をペロペロ舐めていると言うのです。
「はっ!」と思いました。
実は今から18年前、
まだ彼女が結婚する前でミヨも産まれていない時です。
譲渡会で一匹のワンちゃんに出会ったといいます。
その子は、既に成犬で、しかも左前足の無いビッコの白い犬でした。
話を聞くと、捨てられたのでしょうか。
殺処分寸前でボランティアの人が助けたというのですが、
随分長い間、誰も引き取り手が現れないといいます。
飼ってあげたいと思ったのですが、
動物を飼うというのは、とても大変な事だと分かっていました。
特に足が不自由となると、一時の同情から飼っても、
その後手放したいと思う様になる人が多いのだとボランティアの人も言います。
しかし、お試しお泊りトライアルというのがあるとスタッフの方に言われると、
とっさに自然と口から「お願いします。」と言っていました。
しかし、家に連れて行くと、家族の評判が思わしくありません。
父や兄から、「なんでわざわざ不良品から飼い始めるんだ。」と言われ、
母も「子犬だったらもっと可愛いのに。」とつれない言葉。
私は「こんなに可愛いのにぃ。」と頭を撫でてあげると、笑顔で私の方を見ました。
犬の場合、後ろ足が片足無いよりも、前足が無い方が何倍も困難なのだそうです。
それでもお散歩に連れて行くと、
喜んで頑張って歩く姿が、とても可愛くて、この子と暮らしたいと思いました。
しかし、家で犬を飼う以上、家族の協力や承諾が無いのでは、
私も自信がありませんでした。
私は仕方なく、ボランティアの方に謝って返却させてもらう事にしたのです。
そのビッコの犬は、再びケージの中に。
しかし、私が帰ろうとすると、
じっと私だけを見つめて、吠えるのです。
家に居た時には、まったく吠えなかったのに・・・
その鳴き声は、私には、「待って!置いてかないで!」では無く、
気のせいかもしれませんが、
ただ、ただ、
「ありがとう。
お姉さん、ありがとう。
楽しい日を、ありがとう。」という鳴き声に聞こえました。
その瞬間、
「ああ、この子は、うちの子だ。
この子は、私の子だ。」と確信したそうです。
近寄って抱きしめて、再び家に連れ帰りました。
そして、ゴンと名付け一緒に暮らし始めたといいます。
その後、不思議と良い事が重なり、今のご主人と結婚したのですが、
結婚と当時に、まるで彼女の幸せを見届けるかの様に、
ゴンは実家で息を引き取ったといいます。
そのゴンが、今、私の隣に居て私のお腹を舐めていると娘は言うのです。
私は、ゴンが本当に居るんだと思いました。
なぜなら、娘には結婚前にゴンを飼っていた事を話した事が無かったので、
ビッコの犬が居た事を知らないのです。
すると、それから3週間後の事でした。
彼女は妊娠したのが分かったのです。
私は彼女から、その不思議な話を聞いて、こう言いました。
「実は、可愛がったペットが、天使の様に、
幸せの便りを運んで来てくれる事があるんですよ。
だから、ゴンちゃんが、赤ちゃんの妊娠を知らせに来てくれたんだと思いますよ。」
その後、男の子を授かったという。
最後に、こんなお話を。
お母さんは、毎日息子の事が心配でした。
なぜなら、外で怪我をしてから一切外に出なくなってしまったのです。
引き籠りになって、
まったく外に出なくなってしまった息子。
友達と遊ぶ事も無くなり、
毎日家でゲームしてばかり。
家に引き籠ってばかりじゃ、良く無いわよ。と言っても、
聞き耳持たずで、ゲームから離れようとしません。
お母さんには、もうお手上げ状態でした。
そんな時、
お母さんは、一匹の犬と出会います。
その犬を見た瞬間、何かの縁を感じます。
そう言えば、息子は犬が好きだった。
お母さんは、誰も引き取りそうも無かったその犬を引き取る事に。
大切に箱に入れて家に持ち帰りました。
そして、帰宅すると、
ゲームをしている息子の前に置きます。
「ワンちゃんよ。」
ゲームを中断し、嬉しそうに箱を開ける息子。
最初は犬を抱き上げ、嬉しそうだった息子。
しかし、息子はある事に気がつきます。
ワンちゃんはとても可愛いのですが、左前足が無いのです。
「わぁ!なんだ、この犬! チェッ!」
そう言って、犬を床に放り投げ、再び何も無かったかの様にゲームを始めます。
それでもその犬は、笑顔で足元に寄って来て、「ワンワン!」と吠え、
「遊ぼうよ!」と笑顔で言わんばかり。
「ウルさいな!」と、息子はその犬を足で蹴飛ばします。
蹴飛ばされた犬は、仰向けになってしまいますが、
頑張って片足で起き上がると、
今度はボールを見つけて、このボールで遊ぼうと言わんばかりに
再び息子の足元に来て、笑顔で「ワンワン」と吠えました。
「チッ、ウルさいやつ」とそのボールを足で蹴散らします。
すると、その犬は不自由な足で、そのボールを追いかけて、追いかけて、
やがて、不自由ながらも、そのボールを息子の前に持って来たのです。
足が不自由なのに、なんで、そんな笑顔で・・・
バカじゃないのと思いながらも、
子犬の無邪気で、片足が無いのにも関わらず、前向きな姿勢が、
引き籠りだった息子の心を開かせた瞬間でした。
「ママ、
ぼく達、外に行ってくるよ。」
このたった4分の映画が映画祭で人々の感動を呼び、多くの賞を独占したのでした。
https://www.youtube.com/watch?v=CB2O1zriSBE
END
画像の犬は、ときぶーの時間よりhttps://blog.goo.ne.jp/tokigootokiboo/e/7ab0d9be5f21fbfc88c24540e10b6d95
