●一度の結婚、二人の夫。
私がまだアメリカに居る時、
夫婦の有り方について、考えさせられる出来事がありました。
それは、霊能者の所に、
1人の黒人の女性が相談に来た事に始まります。
彼女の名前は、ジャスミンと言い、
5歳になる娘さんがいる未亡人の方でした。
彼女の生い立ちを少しお話しすると、
彼女のご両親は、彼女がまだ小学生だった頃に離婚、
それ以来ずっと母親一人で彼女を育ててくれたのですが、
家はその間ずっと貧乏な生活を強いられたといいます。
その後、病気がちだった母親に代わって、彼女がアルバイトする様になり、
大学には行きたくても行けず、彼女はウェイトレスとして生計を支えました。
彼女が33歳の時に初婚。娘さんを授かりました。
お母様は、娘の幸せな結婚を見届けた翌年亡くなりました。
ただ、ご主人のお母さんとはそりが合わず、
お姑さんは結婚式には参列してくれたものの、娘さんの出産には立ち会いませんでした。
お姑さんとしては、大事な息子がただの貧乏ウェイトレスに引っかかって、
騙されて結婚してしまったという気持ちが少なからずあったのです。
そんな折、ジャスミンに悲劇が訪れます。
娘がまだ4歳になったばかりの時、夫が事故で急死してしまったのです。
彼女には身寄りが無かったので、こんな時に頼りになるのは本来、
亡き夫のご両親なのですが、
姑は、まるで彼女が大事な息子を殺したかの様な口ぶりで、
彼女との縁を一方的に切ったのでした。
その後、彼女は安アパートに引越し、
娘を育てながら、またウェイトレスとして働き始めたのです。
そんな時、彼女はインフルエンザにかかってしまい、仕事を休む事になりました。
客商売なので、完全に治るまで復帰が許されません。
今回はインフルエンザでしたが、もし深刻な病気だったら、
そんなに蓄えも無いし、安アパートにも住めなくなってしまう。
そうなったら、もう行く所の無い私と娘はどうなってしまうの?
彼女は途端に将来が不安になったといいます。
すると、ウェイトレスの同僚が占ってもらったら、と、
霊能者を紹介してくれたのでした。
こうしてジャスミンさんは、霊能者の所に相談に来られたのです。
さっそく霊視が始まりました。
すると、1人の男性の霊が現れて、
「私はトラックにぶつけられて亡くなりました。」と語ったそうです。
彼女に聞くと、それは亡くなった夫のウィリーですと言う。
「ご主人は、常に貴方と娘さんの側にいて、見守っている。」と言っています。
と霊能者が告げるまでは良かったのですが、
ここで、霊能者の方が、とても意外な事を言ったのです。
「もう1人のご主人が来ています。」と言ったのである。
ジャスミンさんは、一度しか結婚していないので、
当然「主人は一人だけですけど・・・」と反論しました。
しかし霊能者は、
「おかしいですね。貴方の事を妻と呼んでいます。
自分の事をジャマルと言っています。
ジャマルという名前に聞き覚えはありませんか?」
すると、
ジャマルという言葉を聞いて、彼女は泣き出したのです。
実は、彼女がまだ20代の頃、
ジャマルという青年と付き合っていて、将来結婚を約束していました。
彼女は頻繁に彼の家に行き、家事を手伝い、
ジャマルのお母さんにもとても気に入られて、
最後の1年間は、3人でほぼ一緒に暮していたほどでした。
ところが、二人が結婚を決めた頃、
ジャマルは町のギャングの抗争に巻き込まれて亡くなってしまったのです。
しかし、その後も彼女は一人になってしまったジャマルの母親を元気づける為に、
一週間に一度は尋ねて行き、話し相手なってあげたのでした。
そんなジャマルは、
結婚届けと言う紙一枚が、有る無いに関わらず、
今でもジャスミンの事を、妻だと思って守っていたのでした。
しかも、驚くことに、霊能者いわく、
亡くなった夫のウィリーと、ジャマルは霊界で知り合い親友となっていて、
二人で、ジャスミンの事を守っているのだと言うのです。
そして、ジャマルは霊能者にこう語ったといいます。
「大丈夫だよ。
ママがいるじゃないか。
ママの家に行って、ただこう一言いえばいいんだ。
住む所が無くなって困っています。2、3日泊めてもらえませんか?って。」
実は、ジャマルのお母さんはその後、寂しく一人で暮らしていたのでした。
だからその後、ジャスミンさんと娘さんが尋ねて行くと、
お母さまは、二人を抱きしめて、こう言って出迎えてくれたという。
「2、3日と言わず、ずっと居ていいんだよ。
今でもお前は、私の心の中では嫁なんだからね。」
END