●レストランに捨てられた少女
霊能者の所に相談に来られる人も様々である。
現実問題に悩んで来られる方。
未来を心配して来られる方。
そして、中には、過去の出来事に悩んで来られる方がいる。
多くの人は、そんな悩んでも仕方が無い過去など忘れるに限ると断言する人もいるが、
どんなに忘れたくても、忘れられない過去を持っている人もいる。
ある時、霊能者の所に、
3歳の時に、レストランに置き去りにされて捨てられたという女性が相談に見えた。
私はこの時、同席していなかった。
のちに霊能者の方から聞いた話である。
相談に見えたのは、大学生のヨハンナという女性だった。
彼女は3歳の時に、母親にハンバーガーレストランに連れて行かれ、
そのまま彼女をレストランに置き去りにして捨てて行ったという。
彼女一人がレストランが閉まるまでずっと母親が戻って来るのを待ったが、
母親が戻る事は無かった。
その後、彼女は児童養護施設へと送られ、高校卒業までそこで暮らしたという。
英語がほとんど話せなかった彼女は、学校ではイジメの対象となった。
何度も自分を捨てた母親を怨んだことか知れない。
養母のある一人は、お母さんは、最後に貴方に美味しい物を食べさせたかったら、
ハンバーガーレストランに置いてったんじゃないのと言ったが、
それは違う。
多分母は貧乏だったのだろう。
レストランには一銭も払っていなかったので、当時、4歳の彼女は椅子に座ったままで、
食べ物は何一つ出て来なかった。
母は私を、ただ厄介払いに捨てただけなのだ。
また、彼女には父親の記憶が無いという。
気がついた時から、母親と2人だけの生活だった。
その母親に捨てられたのだ。
それ以来、ハンバーガーも嫌いになったし、母親という言葉も嫌いになった。
そんなずっと母親を憎んできた来た彼女が、
大学生になってから、度々母親の夢を見る様になったという。
なぜか、憎いはずの母親が夢に出て来る。
母親は夢の中で、何も言わないが、ただ私を見ているだけだという。
彼女はこう思ったという。
多分、母親は私に謝っているのでしょうが、今更という感じ。
ただ、もし分かるなら、霊能者の方に、
母がどうして、3歳の私を捨てたのか理由を教えて欲しい。と言う。
私が悪い子だったのか。それとも貧乏で育てられなかったのか。
それとも恋人が出来て、私が邪魔になったのか。
昔はそんな事知りたくも無かったけど、
大学生になって、ハッキリさせる意味でも知りたくなったという。
通常、霊能者が霊視を行なう場合、
相談者が、霊能者の前に座った時点で霊視が始まるのだが、
この時は違ったという。
霊視を行なう2日前に、ヨハンナさんから予約の電話を頂いたのだが、
その予約を貰った日の夜、ヨハンナさんの母親の霊が、霊能者の元に現われたという。
そして、ヨハンナさんの母親の霊は、霊能者に、
驚くべき真相を語ったというのだ。
霊能者いわく、
今回ヨハンナさんが、相談に来るのも、母親の霊がヨハンナさんを導いているのだという。
それは、今まで何とかヨハンナさんの夢に出たり、
色々なメッセージを送っても気づいてもらえなかったのだと言う。
母親の霊が、霊能者に語った事は、ヨハンナさんが産まれる前にさかのぼったと言う。
当時、母親はドイツでアメリカ軍の基地で働いていたという。
そして、そこで知り合ったアメリカ海軍の軍人さんと恋仲になった。
しかし、恋人の軍人さんは直ぐにシアトルに移動となってしまい、二人は別れる事に。
でも、彼女は、すでにヨハンナさんを身ごもっていたのである。
最初は独りで育てようとも思ったが、ヨハンナの事を考えると、
はやり父親が居た方がいいと思い、ヨハンナが3歳になった時、
意を決して、ドイツからシアトルにやって来たという。
しかし、シアトルは広く、とりあえずモーテルに泊まり、彼を探す事にした。
そんな時、娘ヨハンナとハンバーガーレストランに昼食を食べに行ったのだが、
お財布を忘れた事に気がつき、娘をレストランに残し、
急いで、自分だけ走ってモーテルに取りに戻ったのだ。
ところが、その途中で交通事故に遭い、亡くなっていたのである。
しかも身元を特定するパスポート等が入ったバックを持っていたのだが、
交通事故の時に、路上に飛んだバックを誰かに持ち逃げされたという。
結局彼女の遺体は身元不明遺体として処理されていたのだ。
残念ながら、母親は亡くなっていたが、
ヨハンナさんは、母親から捨てられていたのでは無かったのだ。
そして、ヨハンナさんが大学生になってから急に母親が夢に現れる様になったのにも、
意味があった。
実は、ヨハンナさん大学生になってから5歳年上の男性と知り合って親しくなった。
そして、プロポーズをされていた。
会社を経営していて、とても良い男性である事は知っていたのだが、
3歳の女の子の子連れだった。
その子を見るたびに思い出してしまうという。
丁度自分も3歳の時に、捨てられた。
そんな母親を憎んできた自分が、母親に成れる自信が無かったのだ。
霊能者はヨハンナさんに、母親の伝言を伝えたという。
「貴方は捨てられたんじゃないの。
母さん、迎えに行けなくて、ゴメンね。
今でも、お母さんは貴方を愛しています。
その方と結婚なさいなさい。
貴方なら大丈夫。
幸せになるのよ。ヨハンナ。」
https://www.youtube.com/watch?v=U-oPqBEruE8
END