●透明人間

 

 


透明人間を英語で言うと、Invisible Manである。

 

 

昨日、洋画で「インビジブル2」というのがやっていた。

 

 

日本語で言えば、「透明人間パート2」である。

 

 

 

 


透明人間って、実在しますか?」って聞かれた事がありますが、

 

 

そんな時、私は自信を持って、

 

 

 


いますよ。」と答えている。

 

 

 


実際、そういう電話相談は時々ある。

 

 


ただ、映画の透明人間は、天才科学者が、実験によって、

 

 

普通の人間を透明人間にするのだが、

 

 


私が知っている透明人間は、最初から透明人間である。

 

 

ただその透明人間だが、その姿が見える人も居るという点が映画とは違う。

 

 

 

 

ある時、若い奥さんからこんな話を聞いた。

 

 

それは彼女にとって、信じられない出来事だったという。

 

 

 

 


彼女は初めての出産で息子さんを授かってから2年後、

 

 

一家で千葉にある一軒家に引越した。

 

 

築15年位の2階建ての中古物件だった。

 

 

 

 


ご主人が気に入って即決めたそうなのだが、

 

 

彼女は何となく気味が悪い感じがしていたという。

 

 

 

 

 


やがて、その家に住み始めてから2年が経った時だった。

 

 

 

2階に居る息子が、誰かと話している感じの声が聞こえて来たという。

 

 

聞き耳を立てると、話し声は息子の声だけなのだが、

 

 

それはまるで誰かと会話している感じの声だったという。

 

 

しかし、2階には電話は無いし、息子は携帯電話も持っていない。

 

 

あとで息子に、「誰と話していたの?」と聞くと、

 

 

「女の子」と言うではないか。

 

 

でも、うちは夫と私と息子の3人暮らしなので、女の子なんて居ない。

 

 

きっと息子の作り話だろうと、その時は気にしなかったという。

 

 

 

 


しかし、それから1ヶ月後、決定的な出来事が起きる。

 

 

 

 

それは彼女が朝、息子さんの送り迎えの為、

 

 

息子を車の後部座席に乗せ、駐車場から車を出して家の前の通りに出た時だった。

 

 

 

急に、家に市役所に出す書類を忘れた事に気がついたという。

 

 

そこで本当は、車をバックさせ、もう一度家の駐車場に入れれば良かったのだが、

 

 

面倒だと思い、車をそのまま道端に停めて、

 

 

息子に「直ぐに戻るから、ここに座っているのよ!」と言ってから、

 

 

彼女は家に書類を取りに行ったという。

 

 

 


ところが、そこで悲劇が起きる。

 

 

 

 


彼女が、家の中から書類を取って来て、玄関にカギをかけている時だった。

 

 

後ろの通りの方で、「ガシャーン!」という激しい音がしたという。

 

 

 

 


まさか!と思って振り向くと、

 

 

なんと彼女が停めていた自家用車に、トラックが突っ込むという事故が起きていたのだ。

 

 

 

しかも、彼女の車の後部座席には、息子が乗っている。

 

 

彼女は息子の名前を叫んで、急いで門の外へ出ると、

 

 

そこには後部座席付近が大きく凹んだ彼女の車が歩道に乗り上げていたという。

 

 

 

彼女は叫びそうになったのだが、

 

 

同時に、信じられない光景を目にしたのだという。

 

 

 


それは、大きく破損した車のずっと手前に、

 

 

息子が立っているのである。

 

 

キズ1つなく、泣く事も無く、ただ茫然と私の方を見て立っているのである。

 

 

 


その後分かった事だが、

 

 

トラックは脇見運転をしていた様だった。

 

 

そして、息子に事情を聞くと、

 

 


息子は、こう言ったという。

 

 

 


車に乗っている時、

 

 

隣に一緒に乗っていた女の子が、急に、

 

 

ここは危ないから、外に出よう!」と言って、

 

 

息子の手を引っ張って、車の外に出たのだという。

 

 


しかし、お母さんは、車の後部座席の息子に「ここに座っているのよ!」と言った時、

 

 

確かに、そこには息子しか居ない事は確認している。

 

 

 


またも息子の作り話で片づけるのは簡単だが、

 

 

それでは、母の言いつけを破って、車の外に出た説明がつかない。

 

 

 


何がなんだか分からなくなりました。

 

 

これはどういう事でしょうか? 

 

 

 


そんな話だった。

 

 

 

 

 

息子さんの言葉を信じるなら、

 

 

車の後部座席には、息子さんと、

 

 

母親には見えない女の子の透明人間が居た事になる。

 

 

 


そして、その透明人間は息子さんを事故から救った事になる。

 

 

しかも普段は、息子さんと話し相手になっている感じだ。

 

 

 


当初、相談者の奥さんは、

 

 

築15年で買った中古物件に住み着いている地縛霊か

 

 

座敷童子(ざしきわらし)でしょうか?と言ってきたのだが、

 

 

 


上の話を聞いた限りでは、どちらも違うと感じた。

 

 

 

と言うのは、霊だとしても、

 

 

その霊は、自宅の中だけでは無く、通りの車の中にまでついて行っている。

 

 

そしてついて行くだけでなく、息子さんを守っている。

 

 

これは地縛霊や座敷童子とは、違う感じがする。

 

 

 

 


そこで彼女に、こんな質問をしてみた。

 

 

「息子さん、

 

 その女の子の事を、どう呼んでいますか?

 

 何か特徴とか話してくれた事はありますか?」

 


すると、息子さんは、女の子の事を、

 

 

自分よりも小さく、「あんちゃん」と言う時があるという。

 

 

「あんちゃん」に心当たりはありますか?と彼女に聞くと、

 

 

「ありません。」と言う。

 

 

 

続けて、こんな質問をぶつけてみた。

 

 

「失礼ですが、お子さんを亡くされた事はありますか?」

 

 


「無いです。」と彼女。

 

 

 

 

 


「では、

 

 流産された事はありますか?」

 

 


すると、彼女は、

 

 

「はい。約1年前に。」と言う。

 

 


「もしかして、それは女の子でしたか?」

 

 


「分かりません。」と彼女。

 

 


しかし、彼女いわく、

 

 

もし産まれるのが、女の子だったら、

 

 

」か「」にしようと夫と決めていたという。

 

 

 

それを聞いて確信した。

 

 

「見えない女の子は、杏ちゃんですよ

 

 

 きっと、お兄ちゃんを守っているんですね。」

 

 

 

映画の中の透明人間は犯罪を犯したりするのだが、

 


実際の透明人間には、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


がある場合が多い。

 

END