●罪のお蔭で

 

 


殺人事件が起きると、そこには被害者と加害者が生れます。

 

 

でも、被害者は死に、加害者は刑務所だったりするので、

 

 

被害者も加害者も、私に相談してくる事はありません。

 

 

 


しかし、1つの殺人事件が生み出す被害者は当事者だけではありません。

 

 

残された被害者の家族や、残された加害者の家族も、また被害者なのです。

 

 

 

相談を受ける時、

 

 

匿名相談とはいえ、自分が殺人事件の当事者家族です。と名乗る人はあまりいません。

 

 

 


例えば、という例え話にして相談してきたり、

 

 

友人の事なんだけど。と友人の話にして相談してきたりします。

 

 

でも、相談を受けていると、なんとなく、

 

 

ああ、彼女が当事者の家族なんだと感じます。

 

 

 

 

 

 

例えば、こんな相談がありました。

 

 


彼女のお兄さんが、お酒を飲んだ上に人を轢き殺してしまったのです。

 

 

それ以来、両親も彼女も後ろ指を指される生活。

 

 

お母様はアルコールの量が増えて、夫婦仲も悪くなっているといいます。

 

 

 


このケースの場合、罪を犯したのはお兄さんです。

 

 

しかし、家族の中に人を殺してしまった人が出たというネガティブな気持ちが、

 

 

この家族全体に蔓延し、家族全員が不運に陥ってく場合が多いのです。

 

 

また、殺された人の怨みが怨念になって、家族に降りかかっている事も希にあります。

 

 

 

 


では、どうすればいいのでしょうか?

 

 

 

 


確かに、お兄様が起こした罪は、お兄様に責任があります。

 

 

でも、そんなお兄様でも、家族で一緒に暮らしていた人です。

 

 

まずは、どうしもないお兄さんであっても、せめて家族だけは許してあげる事です。

 

 

例え、周りの人全員が敵であっても、家族だけは、

 

 

罪を憎んで人を憎まず」の心で、許してあげる事です。

 

 

罪を憎んで人を憎まず」というのは、

 

犯した罪は憎むべき事だけど、その人が罪を犯すまでには様々な事情があったのだろうから、

 

罪を犯した人そのものまで憎んではいけないという教えです。(孔子)

 

 

 

次に、お兄様の運命の少しでも家族が背負ってあげる事です。

 

 

ただ、逃げ回って隠れて暮らしていると、ネガティブな気持ちが支配していきます。

 

 

それよりも、お兄様の代わりに謝ったり、お墓参りに行ったり、供養したり、

 

 

相手の住所が分からないのであれば、

 

 

交通遺児の為の仕事をしたり、寄付をしたりと、

 

 

お兄さんが起こした罪のお蔭で、交通遺児達の事を知り、助けられる。

 

 

その位の気持ちになって欲しいのです。

 

 

そんな気持ちはネガティブな気持ちを取り、プラスの気持ちが家族に訪れます。

 

 

 

 

 


こういう問題は、相手が人に限りません。

 

 

ある女の子は、父親が市役所で働いているんだそうですが、

 

 

そこで犬猫の殺処分を担当しているとの事。

 

 

それを知って以来、父親の事が嫌いになったし、自分も悪い事ばかり起きると言います。

 

 

 

 

 

 

このケースも「罪を憎んで人を憎まず」の心で、

 

 

せめて家族だけでも、お父様を許してあげる事です。

 

 

もしかしたら、仕事で命令されて、嫌々ながらもしている事かもしれません。

 

 

次に、お父様の運命の少しでも家族が背負ってあげる事です。

 

 

例えば、お父様の代わりに貴方が動物達に謝ったり、

 

 

犬猫の保護活動をしている方々のお手伝いや、寄付などを行ないます。

 

 

家族の運命は、自分の運命にも作用している事が多いので、

 

 

お父さんが起こした罪のお蔭で、殺処分の事を知り、動物達を助けられる。

 

 

その位の気持ちになって欲しいのです。

 

 

そうする事で、家族に段々とプラスの気が生れていくのです。

 

 

貴方の優しい心が、悲観にくれている家族を救ったりします。


END