●残酷な占い。童貞のまま死にたくない。

 

 


何の世界でも、そうなのかもしれないが、

 

 

知識が浅いほど、残酷な結論になる場合が多い様に思う。

 

 

 


例えば、テレビドラマのドクターXでも、

 

 

普通の出来ない医者は、患者の足を切断するしか道が無いと言い張る。

 

 

しかし、ドクターXこと米倉涼子さんは、見事足を切断しなくても治療した。

 

 

これはドラマだが、現実世界でもあるだろう。

 

 

私がパソコンが壊れた時にある修理屋に持って行ったら、

 

 

これはもう買え変えるしかありませんね。と言われた。

 

 

なんだよ!買って6年でお釈迦かよ。

 

 

大事なデータも入っていたので、私はあきらめがつかなかった。

 

 

ちょっと足を運んで秋葉原にある修理屋にもっていったら、二か所の部品入れ替えで、

 

 

見事再生したのである。

 

 

これなんかも、知識が浅い人に頼むほど、残酷な結論になってしまう例だろう。

 

 

 

 

そして、それは占いの世界でも言えたりする事なのである。

 

 


霊能者と言えば、ほとんどが経験豊富な成人の大人と思われるだろうが、

 

 

実際は、例え10歳の女の子の霊能力者であっても、

 

 

優れた予知能力を発揮したりして、大人顔負けの予言が出来る子がいる。

 

 

 

 

私が知りあったアメリカの霊能者の7歳になる女の子もそうだった。

 

 


しかし、時に子供は残酷でもある。

 

 

 

 

大人ならまずやらない事も平気で出来たりする。

 

 

例えば私が田舎に行った時、トンボをつかまえてニ三日飼ってから、

 

 

最後はトンボの羽を一枚づつ引っ張って取って、全部取り、

 

 

友達に「これ何の虫だ?」と、ただ友達にクイズを出す為だけにやっていた。

 

 

 


それは子供の霊能者にも言える。

 

 


ある日、霊能者の方が、私にこんな事を言った。

 

 

昨日、スーパーでボヤがあったんだけど、娘はそれを前日に言い当てたというのだ。

 

 

それを聞いて、私が、

 

 

「凄いなぁ。それじゃ、娘さんが霊能者としてお客を取れるのも近いですね。」

 

 

と言うと、霊能者の方が、

 

 

「とんでもない。まだ子供だから、何言うか分からないのよ。」と、

 

 

こんな例があったのを教えてくれた。

 

 

 

 

ある日、娘さんの同級生が家に遊びに来たという。

 

 

その時、その同級生は、娘さんの不思議な能力の事も以前から知っていたので、

 

 

娘さんに「夏休みに約束通り家族でディズニーランドに行けるかどうか」相談したという。

 

 


すると、娘さんは、同級生の子に、

 

 

「お祖母ちゃんは、もうすぐ死ぬから無理ね。

 

 

 貴方も交通事故に遭って、入院するから無理。」

 

 

やがて、その予言は当たったという。

 

 


子供は手加減を知らないので、浮かんだものをストレートに言ったりする。

 

 

しかもフォローや対策が無い。

 

 

結果、残酷な占いだけが残ってしまったりするのだ。

 

 


ただ、素人から見ると、ほぼ当るという予言は興味がある。

 

 

実は、私も興味があった。

 

 

当時私は、紅花という日本レストランでアルバイトしていたのだが、

 

 

このまま紅花で働くか、もっと違う職種の給料が高い所に転職しようか、

 

 

真剣に悩んでいた。

 

 

そこで、つい、やらかしてしまったのである。

 

 


偶然、待っている時に居合わせたので、その娘さんに、

 

 

「ぼく、どんな仕事が向いているか分かったりする?」と聞いてしまったのである。

 

 

 

 

すると、娘さんの予言は残酷なものだったのだ。

 

 


「お兄さんは、仕事探しても無駄

 

 だって、もうすぐ居なくなる人だから・・・」という。

 

 


ショックだった。

 

 


娘さんが予言する事は、まず当たるという。

 

 

 

 

マジか!

 

 

オレ、もうすぐ死ぬのか!

 

 

 

 

よく電話相談者の方が、恋人にフラれた後、

 

どうやって家に帰ったのかも分からないと言う人がいるが、

 

ちょうど私もそんな感じだった。

 

 


その当時、私の両親はマレーシアに住んで居たので、相談も出来ず、

 

 

友人に、もしお前が近々死ぬと分ったら、何する?と相談した。

 

 


すると、友人は、

 

 

「そうだな。

 

 なんか美味しい物食べたいね。」という。

 

 


そうか、最後の晩餐ってやつか。

 


真剣に、自分が何を最後に食べたいのか考えてみたが、

 

 

実際に考えてみると、なかなか思いつかない。

 

 

 

 

ステーキが無難かな。

 

 

いや、無難ってなんだ。最後なのに。

 

 

そう考える、今まで余りいいもん食って無かったので、

 

 

自分が思い描く、食い物の世界が意外と狭い事に気がついた。

 

 

 

 

そうやって、その日は食べ物の事で頭が一杯になった。

 

 


しかし、しばらくして、

 

 

 

ふと、

 

 

 

ちょっ、待てよ! (木村拓哉さんふうに・・)

 

 

 

食いもんよりも、もっと大切な事があんだろうよ。

 

 

ちょっとリアルに考えてしまった。

 

 

・・・

 

 

 


童貞のまま死にたくないなぁ。

 

 

素直にそう感じた。

 

 

人間、死ぬ時は、素直になるもんだ。

 

 

 

いいもん食べてる場合じゃあねぇな。これは。

 

 

 

 

しまった。

 

 

どうせなら、いつ死ぬかも聞いときゃよかった。

 

 

 

 

私は翌日、大学で知り合った女性に告白してみる事にした。

 

 

別に面食いという訳では無かったが、

 

 

最後だし、可愛い子の方がいいかな。と思って、少し高望みした。

 

 

外人の女の子に告白したのだ。

 

 

 

結果は火を見るよりも明らかだった。

 

 

ボーイフレンドがいるから。と、一言で片付いた。

 

(私が見ている限り、ボーイフレンドはいなそうだったのだが、問題はそこではないだろう。)

 

 

だいたい日本でもそうだろうが、最初はやっぱ友達からだろう。

 

 

いきなり I LOVE YOUは、バカだった。

 

 

 

 


ああ、やっぱ、食いもんかぁ。

 

 

 


人間、妥協は大切である。

 

 

 

私は奮発して、自分が働いている紅花で、初めてお客として食事をした。

 

 

紅花は当時、シアトルでも高級レストランで、

 

 

お客の目の前で、ステーキなどをやく鉄板料理屋で、そのパフォーマンスを見に、

 

 

多くのセレブや公務員などのお金持持ちが夫婦同伴で訪れていた。

 

 

そんな所に、男がひとりで行って、目の前でパフォーマンスしてもらうのは、

 

 

ちょっと気が引けたが、最後だから仕方が無い。(しかも知り合いのシェフに。)

 

 

タコスも大好きだったが、最後がファーストフードではイマイチだ。

 

 

それに、一度はお客として紅花のサイコロステーキが食べたかったのだ。

 

 

お財布には痛い出費だったが、大満足だった。

 

 

翌日、紅花にアルバイトに行った時、仕事仲間の中居さんに、

 

 

「昨日はどうしたの? 同伴にフラれた?」と茶化された。

 

 

女性はいくつになっても鋭い! 半分大当たりである。

 

 

しかし、私が大真面目に、「最後の晩餐」って言ったら、笑われた。

 

 

結局、ここよりももっと良い所に就職したいと思っていた私は仕事探す意欲も失っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、ここで思わぬ事態が起きたのだ。

 

 

 

 


家庭の都合で、私は急きょ日本に帰る事になったのである。

 

 

 

 

そう、

 

 

私は、文字通りアメリカから、いなくなったのだ。


それ以来、私は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


子供には、占ってもらっていない。

END