●次女の部屋だけに起きる怪奇現象
一軒家に住んで居るという方から電話相談があった。
その中の一部屋だけに、おかしな現象が起きるというのだ。
電話をくれたのは、高校生の女の子であった。
彼女の話によると、
家は2階建てで、5部屋あるそうだのだが、
2階の真ん中にある、彼女の部屋だけに変な現象が起きるという。
彼女は夜寝る時、小さな明かりをつけてっ放しにして寝るそうなのだが、
その小さな明かりが、真夜中になると、
点いたり消えたりする時があるそうなのである。
またある時は、切れて真っ暗になった事が何度かあるというのだ。
そして、そんな時、決まって誰かが部屋に居る様な気がするらしい。
特に幽霊を見たとかでは無いのだが、
そんな時は、布団を被って、そのまま寝てしまうという。
ただ、時々金縛りになって、布団を被る事さえも出来ない事があるという。
真っ暗になった時は、電球が切れて使い物にならなくなっていて、
そんな時は、新しい電球に変えるのだが、電球が新しくなってもまた起きるのだという。
二階には、お姉さんとお母さんが寝ている部屋もあるのだが、
お姉さんとお母さんも、それぞれ寝る時は小さい電気を点けたまま寝るらしいのだが、
彼女らの部屋には、そういう現象はまったく起きないという。
また、試しに一階の居間と畳の部屋も、一晩中小さい明かりを点けたままにしてみたが、
朝起きてみても、電気が切れているという事は無いのだという。
一軒家の中で、次女の部屋だけに起きるという怪奇現象。
はたして、その真相は?
こういう場合、私が一番気になるのは、
その怪奇現象が、いつから起き始めたかである。
例えば、その家に引越してすぐに始まったのであれば、
その家のその部屋に、変な地縛霊がいる可能性が高かったりする。
しかし、彼女の答えは違った。
怪奇現象が起き始めたのは、半年前からだと言い、
この一軒家には、もう8年も住んで居るというが、
今までに、こういう現象は起きた事が無いらしい。
次に聞いたのは、その半年前に、
何か変わった事は起きていないか、もしくは、変わった体験をしていないか。
例えば、幽霊が出るスポットに肝試しに行ったとか、
家族の墓地でも無いのに、墓地に行ったとか、
交通事故の現場などに出くわして、死体を目撃したとか、
家の前で、特に彼女の部屋の前で、誰か亡くなったとか、
貴方の部屋で誰か亡くなったとか。
そういう事が、半年前頃に無かったか聞いてみた。
しかし、そういう事は無いと彼女は言う。
こういう電球が消えるという場合、ネズミや漏電、ペットも考えられるが、
新しい電球に変えると点くというし、部屋にペットは居ないというし、
また、電気が消えるというのが、決まって真夜中という事を考えると、
はやり、霊が関与しているのではないかと思った。
その証拠に、そんな時、決まって誰かが部屋に居る様な気がすると彼女は言うからだ。
そこで、彼女に、
「その家に住み始めてから、誰か亡くなりましたか?」と聞いてみた。
すると、約1年前に父親が他界したという。
つまり、父親が他界してから半年後に、次女の部屋の怪奇現象が始まっている事になる。
霊現象には、色々な物がある。
例えば、幽霊の姿を目撃する事や、ラップ音がしたり、
自然にドアが開いたり、コップが飛んで来るようなボルターガイストや、
声が聞こえたり、今回の様に電気が消えたりと。
しかし、実は、その現象は一律ではない。
起きる現象によって、霊の強さが大体だが分かるのだ。
自然にドアが開いたり、コップが飛んで来るという場合、
かなり強い霊が居る事になる。
足跡がついていたり、濡れていたり、
ハッキリ聞き取れる声が聞こえたり、手にアザが残っている場合は、やや強い霊。
それに比べると、幽霊の姿だけ目撃したり、何となく声らしきものが聞こえたり、
ラップ音が聞こえるというのは、普通の霊だろう。
では、今回の部屋の明かりが消えるケースはどうかと言うと、
やや弱い霊だろう。
実は霊にとって、電気を消したり、電気器具を一時的に故障させるのは、
霊現象の中で、一番やりやすい現象なのである。
だから、電気が消えるというのは、一見とても怖い現象ではあるのだが、
現象の中では、一番弱い。
電気が消えるこの現象だけなら、そう怖がる事は無いのだ。
とは言っても、高校生の女の子にとっては、部屋が真っ暗になるのは怖い。
さて、どうするかなぁ。
私の勘では、電気を消しているのは、1年前に亡くなったお父さん。
お父さん、何か彼女に言いたい事があるのかな。
とりあえず、彼女には、安心させる為にも、
電気が消えるという現象は、霊現象の中でも一番弱いものだから、
怖い事が起きる事は無いからと言い、
それも亡くなったお父さんが、やっている可能性が高いと伝えた。
そして、今度電気が消える事があったら、
こう言う様にアドバイスした。
「お父さんでしょ、
お父さんだったら、怖いからもう電気を消さないで、
私に伝えたい事があったら、夢の中に出て来て。お願い。」
その後も、そう伝えても、何度か電気は消えたという。
しかし、何度もお願いすると、2ヶ月後、
夢の中にお父さんが出て来たという。
そして、夢に出て来たお父さんは、彼女にボーイフレンドは良く無いと言ったという。
実は彼女、ネットで知り合った男性と、近々会う予定だったという。
しかし、彼女の方もどんな人か興味があったので、
結局会いに行ったそうである。
ただ、父親に夢で忠告されたので、
念の為に親友に一緒について来てもらった。
実際に会ってみると、
とても優しい人で、彼女と友人にも食事を奢ってくれ、
友人もその時、笑顔でとてもいい人ね。と言って食事していたという。
ところが、彼と別れた後、
電車の中で、友人が本音を言ってきたのである。
「あの男は止めた方がいいよ!」
理由を聞くと、
「何か、誠実そうじゃなかった。チャライ感じがした。」と言う。
親友は、私よりも男性を見る目がある子だった。
それに、私は全然気がつかなかったけど、
友人は、細かい所まで見てくれていたという。
それは、3人で食事している時だった。
食事中に彼に2度電話がかかってきたという。
その時に、彼は「ちょっと失礼。仕事の電話だ。」と言って2度とも席を立ったという。
その一瞬の仕草を友人は、見逃さなかったというのだ。
友人いわく、
仕事しているのに、名刺くれなかったし、
電話を取って、席を外すのはまぁいいとしても、
ポケットから出した携帯が、違う機種だったというのである。
「2つの機種を使い分けてるなんて、普通の人じゃないよ。」と言うのである。
父の忠告もあったし、彼女は友人の意見を聞き、
それ以後、彼からの誘いを断ったという。
すると、ネットでの付き合いも、突然一方的に切られたそうである。
END